数学嫌いな人のための数学―数学原論

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著者 : 小室直樹
  • 東洋経済新報社 (2001年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222058

数学嫌いな人のための数学―数学原論の感想・レビュー・書評

  •  論理が学問や議論でどれだけ有用なのかを力説した本。

    【メモ】
     本書の目次によると、巻末に「おわりに」があるとののこと。しかし、その「おわりに」がどこにも見当たらないのですが……


    【目次】
    はじめに(平成一三年九月 小室直樹) [ii-vi]
    目次 [vii-xvi]

    Chapter 1 数学の論理の源泉――古代宗教から生まれた数学の論理 001
    1 神は存在するのか、しないのか 002
      イスラエルの神は特異な神
      唯一絶対的人格神との契約
      論理こそ数学の生命
      ユダヤ教理解の鍵
      モーセと神の論争にみる神と人間との契約
      古代ギリシャで論理と数学が合体
      法律の論理は偽物
      アリストテレスの形式論理学
    2 存在するのかしないのか、それが問題だ――ギリシャの三大難問題型 022
      解のない問題もある
      ガウスの大定理
    3 航路は果たして存在するのかしないのか――「解」を目的にしたか否かが問題だ 027
      「解」を目的にしなかった鄭和の大航海
      「解」を目的にしたマゼランの大航海
      方程式の解(根)とは
    4 n次方程式には「解」がある――ガウスが発見した「解」の存在 038
      ガウスの大定理の意義
      解があっても解けない方程式がある
    5 最高の役人は最低の政治家である――マクス・ヴェーバーが発見した「解」のない政治の現実 045


    Chapter 2 数学は何のために学ぶのか――論理とは神への論争の技術なり 049
    1 「論理」とは「論争」の技術なり――東西の論争技術 050
      ヨ-ロッパの論争技術「国際法」
      蘇秦・張儀と韓非子にみる中国の論争技術
      韓非子が説く中国の論争技術
      韓国人・中国人の論理と、論理のない日本人との論争
      なぜ、日韓関係はよくならないのか――論理と非論理の衝突
    2 東西の「論理」の違い 071
      形式論理学が確立した三つの根本原則
      「食物規定」にみる論理の違い
      暖昧なる日本の法律の論理
      法律という名の嘘の効用
    3 数学の論理への誘い 084
      近代数学の“華”形式論理学
      論理学とは何か
      韓非子の「矛盾」とアリストテレスの「矛盾」は矛盾する
      ロバチェフスキー「革命」の本質
      すべて(全称命題)と一部〔ある〕(特称命題)の違い
      形式論理学には昇華しなかった中国の論理

    Chapter 3 数学と近代資本主義――数学の論理から資本主義は育った 109
    1 数学と資本主義の精神 110
      宋代、商業が隆盛をきわめたが
      日本人は「数学的精神」をなぜ失ったか
      数学的思考を否定した「空」の思想
    2 資本主義的私的所有権の絶対性と抽象性 119
      資本主義の根本は私的所有権である
      資本主義における所有の絶対性は数学化される
      日本では考えにくい「所有の絶対性」
      キリスト教が生んだ所有権の絶対性
      数学と結婚した経済学
      中世の所有は占有と不可分
      資本主義における所有の抽象性は数学化される
      社会主義へと後退する日本の資本主義
    3 中国や日本社会の特性 157
      人間関係で左右される中国の所有権

    Chapter 4 証明の技術――背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明 163
    1 形式論理学の“華”――背理法(帰謬法) 164
      背理法(帰謬法)の論理とその威力剛
      非ユークリッド幾何学の発見――パラダイムの大転換
      真理の発見から模型構築へのコペルニクス的大転換
    2 数学を除くあらゆる科学は不完全である――帰納法 179
      近代科学と帰納法
     ... 続きを読む

  • 元々私も「数学嫌い」の一人である。本書は数学に興味を持つきっかけの一冊である。数理論理学すなわち形式論理学の分野を扱っているため数式もほぼ登場しない。数学知識は不要だが、史学や哲学といった文系的素養は要求される。背理法や対偶が原論の範疇かという気がしないでもないが内容は面白い。

    小室氏は数多くの「原論シリーズ(?)」を出版しているが、本書も思想としては左寄りでやや過激、些か偏ってる感は否めない。それゆえ読んでいて極端で面白いともいえる。本書で述べられる「絶対的唯一神との対話」という概念理解が出来るかが論理学のポイントだろう。神視点からの演繹的証明と、聖書視点での帰納的証明の不完全性の指摘などはなかなか興味深い。

    中等・高等での数学教育は、具体性ある算数教育から急に、抽象的な数式や公式へ移行するため興味を失いやすい。私がそうであった。本書のような尖った人間臭さがわかったほうが、多少回り道になったとしても数学に興味を持てると思うが、どうだろう。

  • 後半の100ページはなにが書いてあるかサッパリわからなかったけど、非常に勉強になった。

  • 「所有」の説明は違うのではないかと思ったが、それ以外はすんなりと読めた。

  • 「論理」というターム(学術用語)でいきなり数学と宗教を結びつける。知的な掘削が異なる世界の間にトンネルを掘る。ひとつ穴を開ければ地続きの大地が広がる。言われてみればあっさりと腑に落ちる。神の存在問題は真偽や証明に関わってくるためだ。
    http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_5095.html

  • 数学が嫌い過ぎて、この本さえ10年以上放置してしまった。本には読み時があるという。世界史やイデオロギーそして聖書を知り、古典と言われる書籍にも多少触れた今、まさに読み時だった。やっと最後まで読み切ることができ、この10年間で得た知識が大変役に立ったと思った。

    この本の最初は、聖書の話で始まる。なぜ西欧諸国は論理に強いのか。そして日本、中国との対比の中で、各国の歴史をおさらいできる。中盤くらいでやっと数式が出てくる。経済学の数式だ。この辺はとても説明が丁寧だ。そして最後にわっと結論が出る。で、次は?という間に本は終了する。次は?と思うから、もっと経済学が知りたくなる。大変工夫された本だと思った。

    ずっと手元に放置されていて気づかなかったが、著者は結構有名人だった。しかも、色々な本の中で著者の論が引用されていたりするのを目にする。数学嫌いの私だったが、アマゾンを見ていたら、他の著書も読んでみたくなった。

  • 「数学」がタイトルにつくが数学的な内容はほとんど出てこない。数学と論理学、宗教学、経済学などとの関係や矛盾、必要条件、十分条件、証明などの話が例えや歴史的な経緯を踏まえて解説してある。著者特有の表現もあるため、そこは好き嫌いが分かれるかもしれない。

  • 数学嫌いな自分ではあるが、その原因は数学に対する根本的な理解がかけていたからだと思う。個人的な経験談ではあるが、大学に入るまで数学の重要性や意義を誰も教えてくれることがなかった。特に高校数学においては基本的な公式、定理をとりあえず覚えてから論理展開を行うというのが一般的なやり方であるが、そもそもなぜいきなり前置きもなしに公式を覚えさせられるのかという疑問が常にあった。もちろん数学に限らず、基本的事項はとりあえず覚えるということはいずれにせよ必要ではあるものの、それらがなぜ重要でどのような意義があるのかという理由はもっと厳密に私達の思考と連関があるように思われる。本書は数学を一神教、論理学、歴史という例を持ちながら数学的概念の日常例、思考の規則、そして数学の普遍性といった出来事を面白く解説している。
    「ゆとり教育」の弊害として再び教科書のページが再び増量されている。このこと自体に問題はないのだけれども、単純にやることを増やすだけでは余計に学問離れが促進するだけであるように思われる。そもそも、学問の面白さを伝達する知的好奇心の育成こそが学業におけるもっとも重要なテーマであり、それを養うことによって主体的な探究的な勉強を独創的な見地から行うことができるのである。教科書の付録にでも本書の内容のような本質的な事柄が書かれていれば、学問をする意義というものが早いうちからわかってもらえるのではないだろうか。

  •  本書のタイトルに「数学」とあるが、いわゆる数学の専門書ではない。数学の基盤となっている思考方法が社会とどのように関わっているかを説いている。著者は社会科学系学者の小室直樹氏。哲学、宗教、法律、経済と幅広い領域にわたって数学との関わりを解説している。数式はほとんど出てこないし、数式を解説することが本書の主眼ではないのでタイトルにあるように数学が嫌いな人にとっても読みやすいだろう。一方で、いわゆる理系の人にとっては本書で述べられている数学的素養は当たり前のことのように感じるかもしれない。しかし、数学的思考と社会との関わりという視点は新鮮に映るだろう。その意味で本書は数学嫌いな人よりも学校教育で数学が得意だった人こそ読者にふさわしいだろう。

  • 1、数学の論理の源泉
    2、数学は何の為に学ぶのか
    3、数学と近代資本主義
    4、数学の論理の使い方ー証明の技術
    5、数学と経済学

  • pならばqである(p→q)。
    このとき、pはqであるための十分条件。
    qはpであるための必要条件。

  • 必要条件、十分条件を理解している人間は意外と少ない。これがわかるだけでも本書には価値があるといえるだろう。
    猫は哺乳類である。というとき哺乳類であることは猫であることの必要条件であり、猫であるとこは哺乳類であることの十分条件である。わかってしまえば簡単でこれだけのことであるが、わかってない人間にはわからないのである。
    また矛盾律、同一律、排中律についても解説。

  • 内容的に特に真新しいものがあるわけではなく、数学入門書と位置付けられる。それよりも気になるのは、数学原論を説明するにあたって行っている筆者の論理展開の方法である。全体を通して、筆者の「自分勝手な思い込み=事実に即しない」と「自分に都合の良い強引な論理展開=論理の破綻」で貫かれており、論理を語っている本の著者と思えないことは言うに及ばず、学者としての資質さえ疑いたくなってしまう。結論は学問として既に(著者ではなく)先人が築いて来た内容なので問題はないのすが・・・。小室氏の本は初めて読んだのですが、大きく失望しました。左翼活動家や左翼学者と言われる人たちは自分の考え方を相手に理解してもらうのに論理立てて説明するという手法を取らず、とにかく押し付ける、思いこませるという手法をとりますが、手法だけを取り上げれば非常に似ていると言えます。

  • 数学の話のはずなのに、いや、だからこそ、宗教や法律、文化の話からときはじめている。圧巻。世界にはいろんな論理があるのだなぁー

  • うーん、私も数学は大っ嫌いだし興味もないのですが、小室直樹氏の著作なので、つい魔が差して買ってしまいました(苦笑)。
    ただ、数式などはほとんど出てこないので、なんとか読めるかもしれません(自爆)。
    評価は小室氏の本というだけで最低でも4はつけちゃいます(笑)。

    目次
    1 数学の論理の源泉―古代宗教から生まれた数学の論理
    2 数学は何のために学ぶのか―論理とは神への論争の技術なり
    3 数学と近代資本主義―数学の論理から資本主義は育った
    4 証明の技術―背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明
    5 数学と経済学―経済理論を貫く数学の論理

  • 「数学とは神の論理なり」・・・神がいるかいないか、という命題を解くために発達したというくだり、これを先に知っていればもっと数学が好きになれたのに、と思う。こういうことを数学の先生は隠して教えているのだろうか?それとも知らずに教えてるのか?
    ある問題に対し、「かならず正しい答えがある」と信じて解明の努力をするのが西洋人。「答えが無いということもある」と達観して細かなプロセスを踏まないのが東洋人。単純だがバイタリティがある西洋と、賢いが泥臭さや生命力の薄い東洋といった構図か?
    数学だけでは所詮世の中すべてのことなど解明できない。けれど、「所詮・・・」という考え方が好奇心の芽を摘んでしまってはもったいない。数学に興味を持つことで、細かなプロセスへの興味と興奮を生むことこそ醍醐味だと思う。

  • これに線ひっぱって読むまで、
    必要条件と十分条件の違いがわかっていませんでした。
    今でもよく忘れます。

  • 数学は好きだけど。
    そんな人にもお勧め。

  • すべての文型人間に(文型人間だと思い込んでいる人に)。天才っているもんだ。

  • ボクが初めて読んだ小室さんの本。依頼、小室ファン。
    タイトルに"数学"をうたっていながら、読後に得たのは新しい社会的見地。世界の見え方が本当に変わった。

  • 数学嫌いな自分にはぴったりなタイトル、でも中身は形式論理学の本。よくゼミとかで十分条件ではないけど必要条件だとかなんとか言われたりしますがこれ読むとスッキリします。あと背理法やら帰納法といった証明技術の話も数学嫌いな自分としてはためになりました。(2006/8/3読了)

  • 数学でも算数ではなく論理の方ですね。その歴史と成り立ちの解説です。<br>
    <br>
    一神教と数学の関係、古今東西の論理のあり方、経済学と数学の関係を順序だててわかりやすく説明していきます。「すべては現時点での仮説である」がわかれば、経済学も、あるモデルをもとに実態経済を語ろうとしているにすぎず、正解ではない。ましてや出発点のモデルが宗教的思想を内包していたりする、なんてビックリしました。<br>
    <br>
    ロジックというのはここまで人間に影響を与えるものなんだなあと嘆息です。<br>

  • 数学は実は楽しい。一つも公式を覚えていなくても、そう思わせる小室氏の文体には魅力が溢れている。

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