- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492222058
感想・レビュー・書評
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数学が嫌い過ぎて、この本さえ10年以上放置してしまった。本には読み時があるという。世界史やイデオロギーそして聖書を知り、古典と言われる書籍にも多少触れた今、まさに読み時だった。やっと最後まで読み切ることができ、この10年間で得た知識が大変役に立ったと思った。
この本の最初は、聖書の話で始まる。なぜ西欧諸国は論理に強いのか。そして日本、中国との対比の中で、各国の歴史をおさらいできる。中盤くらいでやっと数式が出てくる。経済学の数式だ。この辺はとても説明が丁寧だ。そして最後にわっと結論が出る。で、次は?という間に本は終了する。次は?と思うから、もっと経済学が知りたくなる。大変工夫された本だと思った。
ずっと手元に放置されていて気づかなかったが、著者は結構有名人だった。しかも、色々な本の中で著者の論が引用されていたりするのを目にする。数学嫌いの私だったが、アマゾンを見ていたら、他の著書も読んでみたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーん、私も数学は大っ嫌いだし興味もないのですが、小室直樹氏の著作なので、つい魔が差して買ってしまいました(苦笑)。
ただ、数式などはほとんど出てこないので、なんとか読めるかもしれません(自爆)。
評価は小室氏の本というだけで最低でも4はつけちゃいます(笑)。
目次
1 数学の論理の源泉―古代宗教から生まれた数学の論理
2 数学は何のために学ぶのか―論理とは神への論争の技術なり
3 数学と近代資本主義―数学の論理から資本主義は育った
4 証明の技術―背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明
5 数学と経済学―経済理論を貫く数学の論理 -
元々私も「数学嫌い」の一人である。本書は数学に興味を持つきっかけの一冊である。数理論理学すなわち形式論理学の分野を扱っているため数式もほぼ登場しない。数学知識は不要だが、史学や哲学といった文系的素養は要求される。背理法や対偶が原論の範疇かという気がしないでもないが内容は面白い。
小室氏は数多くの「原論シリーズ(?)」を出版しているが、本書も思想としては左寄りでやや過激、些か偏ってる感は否めない。それゆえ読んでいて極端で面白いともいえる。本書で述べられる「絶対的唯一神との対話」という概念理解が出来るかが論理学のポイントだろう。神視点からの演繹的証明と、聖書視点での帰納的証明の不完全性の指摘などはなかなか興味深い。
中等・高等での数学教育は、具体性ある算数教育から急に、抽象的な数式や公式へ移行するため興味を失いやすい。私がそうであった。本書のような尖った人間臭さがわかったほうが、多少回り道になったとしても数学に興味を持てると思うが、どうだろう。 -
後半の100ページはなにが書いてあるかサッパリわからなかったけど、非常に勉強になった。
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数学嫌いな自分ではあるが、その原因は数学に対する根本的な理解がかけていたからだと思う。個人的な経験談ではあるが、大学に入るまで数学の重要性や意義を誰も教えてくれることがなかった。特に高校数学においては基本的な公式、定理をとりあえず覚えてから論理展開を行うというのが一般的なやり方であるが、そもそもなぜいきなり前置きもなしに公式を覚えさせられるのかという疑問が常にあった。もちろん数学に限らず、基本的事項はとりあえず覚えるということはいずれにせよ必要ではあるものの、それらがなぜ重要でどのような意義があるのかという理由はもっと厳密に私達の思考と連関があるように思われる。本書は数学を一神教、論理学、歴史という例を持ちながら数学的概念の日常例、思考の規則、そして数学の普遍性といった出来事を面白く解説している。
「ゆとり教育」の弊害として再び教科書のページが再び増量されている。このこと自体に問題はないのだけれども、単純にやることを増やすだけでは余計に学問離れが促進するだけであるように思われる。そもそも、学問の面白さを伝達する知的好奇心の育成こそが学業におけるもっとも重要なテーマであり、それを養うことによって主体的な探究的な勉強を独創的な見地から行うことができるのである。教科書の付録にでも本書の内容のような本質的な事柄が書かれていれば、学問をする意義というものが早いうちからわかってもらえるのではないだろうか。 -
本書のタイトルに「数学」とあるが、いわゆる数学の専門書ではない。数学の基盤となっている思考方法が社会とどのように関わっているかを説いている。著者は社会科学系学者の小室直樹氏。哲学、宗教、法律、経済と幅広い領域にわたって数学との関わりを解説している。数式はほとんど出てこないし、数式を解説することが本書の主眼ではないのでタイトルにあるように数学が嫌いな人にとっても読みやすいだろう。一方で、いわゆる理系の人にとっては本書で述べられている数学的素養は当たり前のことのように感じるかもしれない。しかし、数学的思考と社会との関わりという視点は新鮮に映るだろう。その意味で本書は数学嫌いな人よりも学校教育で数学が得意だった人こそ読者にふさわしいだろう。
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数学嫌いな自分にはぴったりなタイトル、でも中身は形式論理学の本。よくゼミとかで十分条件ではないけど必要条件だとかなんとか言われたりしますがこれ読むとスッキリします。あと背理法やら帰納法といった証明技術の話も数学嫌いな自分としてはためになりました。(2006/8/3読了)
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数学は実は楽しい。一つも公式を覚えていなくても、そう思わせる小室氏の文体には魅力が溢れている。
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数学と経済。
分かりやすい。