食品の裏側―みんな大好きな食品添加物

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492222669

作品紹介・あらすじ

添加物の世界には、消費者には見えない、知らされていない「影」の部分がたくさんあります。食品製造の「舞台裏」は、普通の消費者には知りようがありません。どんな添加物がどの食品にどれほど使われているか、想像することさえできないのが現状です。本書は、そんな「裏側」を告発するはじめての本だと思います。

感想・レビュー・書評

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  • ベーコンを自作したことがある。友達が「スーパーで売っているものとはまるで別物」と言うので、やってみる気になったのだ。
    道具さえあれば時間がかかるが簡単だ。基本的には「塩すり込んで寝かせて煙でいぶす」だけ。材料は豚肉と塩だけ。お好みで胡椒とハーブくらい。

    で、ワクテカしながら食ってみて、美味い!というより?となった。
    スーパーの「ベーコン」とは味も香りも歯ざわりも違う。より美味い、より柔らかい、という「量」の違いではなくて、「質」が違う。「まるで別物のように美味い」という意味だと思っていたのだが、これは普通に別の食い物では? 林檎と梨のように。

    これが「ベーコン」だとすれば、ぼくがスーパーで買っていた「ベーコン」って何なんだろう?
    言われてみればあの柔らかさも妙だ。自作ベーコンは豚のブロック肉を70~80度くらいで熱燻して作るが、歯ごたえはしっかり残る。切るには包丁がいるし、そのまま食うのはちょっと無理。でもスーパーの「ベーコン」は素手でちぎれるほど柔らかく、そのままむしゃむしゃ食っても美味い。これっていったいどうやって作っているのだろう? 調べてみる気になった。

    種明かしは本書で。というか、本当は先にネットで調べてショックを受けたのだけれど。キーワードは「プリンハム」。この製法は秘密でもなんでもない。知ったら黒スーツにサングラスの男が後ろに立っていた、ということもない。スーパーの「ベーコン」のパッケージの原材料ラベルには、ちゃんと「大豆たんぱく」「卵白」と書いてある。ベーコンに大豆? 卵?

    高級スーパーに行って、大豆や卵の入っていない、「ベーコン」を探してみた。gあたりの値段を計算したら、大豆入りベーコンの2倍から3倍高い。スーパーの大豆入りベーコン/大豆なしベーコン、自作ベーコンの3つを食べ比べてみた。
    ・・・ああ、そうだったのか。

    著者は食品添加物がみな悪というわけではないと繰り返す。ぼくもそう思う。知らずに食っていた大豆ベーコンは普通にうまかった。安いし長持ちする。自作ベーコンは冷蔵庫に入れておいても、2週間もすると大丈夫かな、という気分になる。
    食品添加物は国の安全基準をクリアしている。自作ベーコンは誰の審査も受けていない。はなくそほじった手で触ったかもしれないし、床に落として3秒ルールを適用したかもしれない。どっちが「安全」かと言ったら、大豆ベーコンのほうかもしれない。
    本物のベーコンではない、というだけの話なのかもしれない。

    それは選択肢だ。
    ぼくは大豆ベーコンがベーコンではないことを知らなかった。ベーコンのパッケージの裏を返してラベルを読んだ記憶はあるが、「卵? 風味付けにでも使っているのかな?」と思っただけだった。
    今は大豆ベーコンと本物ベーコンの違いを知ったので、これからはどちらを選ぶか自分で決めればよい。

    気になること。
    食品添加物を使うと、旨いものが安くできる。そうすると本物は高いので売れなくなる。売れなければ食っていけないから、本物を作る人はいなくなり、手に入らなくなる。
    それは間違っていると思うけれど、そうさせるのは消費者だ。大豆ベーコンと本物ベーコンの違いを知らないぼくのような、普通の買い手だ。

    大事なこと。
    子供の頃にどこかでスタインベックの掌編小説「朝食」を読んだ。畑で働く人たちの食べる焼きたてパン、カリカリベーコン、熱いコーヒーの「朝食」が悶絶的にうまそうで、思えばあれがぼくの食いしん坊の原点かもしれない。
    でも、ぼくは今まで彼らが食べていたベーコンを、大豆ベーコンだと思っていたのだ。
    本物ベーコンの味を知った今、はじめて本当に「朝食」を味わった気がする。これはぼくにとってはきわめて大事なことだ。

  • 定期的に恐怖の現実を忘れまいと、この手の本を読んでいる。
    一番怖いのはこれを読んだ時の恐怖がだんだん薄れていく事。日常に埋もれて慣れてしまう事。
    怖い。怖いけど、日本で全ての危険な添加物を避けようと思ったらほとんどスーパーでは買えるものが無くなってしまう…回避のしようがないと言う怖さ…
    出来るだけ食べ物に手をかけて作れる物は自分で作る事。安さに食い付かない事。

  • 加工食品に含まれる添加物についての本
    著者がかつて添加物を売ったり、添加物を利用しての
    加工食品にかかわっていたようでその辺の話は興味
    深かったです
    今の日本では添加物から逃れることは無理そう
    普段から知らずに一日数十種類くらいは摂取してそう
    でこの先体への影響はどうなんだろうと思います

  • タグ 読ませたい

    ◆きっかけ
    2016/6/15 午後の紅茶のビターショコラミルクティーを飲んでいて、ふと成分表を見ると「シリコーン」の文字が。シリコンって、シャンプーとかに使われているあのシリコン!?今まで食品添加物の話を聞いても、「結局は食べられるものなんでしょ」と、あまり気にしていなかったが、今回は何だか気になってしまった。そして関連する書籍を読みたいと思った。

    ◆感想
    手作りをがんばろう。と、励みになった。

    みりん風調味料については、妊娠したくらいから何となく気になって、高くても本みりんを選ぶようになった。

    でも他については、普通に売っているのだし、食べて死ぬわけではないし、安全だから出回っているわけで…と思い、少し気にするものの、そこまで神経質にはなっていなかった。安さ便利さにかまけて買っていた。

    筆者も言うように、添加物の恩恵は計り知れない。私も独身一人暮らし時代、冷凍食品やコンビニ、チェーン店の食べ物には相当お世話になった。でも、食品業界でクスリと呼ばれている添加物。食べて気持ちのいいものではない。育児中で専業主婦の今、果たして家族にやすやすとこれらを出して良いものか。家事、こどもの教育や遊び、家族団らんの時間、自分の時間…これらも大切だが、一番大切にしたいのは何なのか?考えると、私は、食だ。時間の使い方、見直そう。献立考えから調理、食器洗いまで、食にまつわる時間をもっと割いてもいいのでは。

    娘が一人暮らしをはじめるときに、読ませたい。添加物をとるなとは言わない。独身時代は、特に、その恩恵を受けるだろうし、その便利さを使うがゆえに、使わないよりも栄養が取れるということもある。使わずに、食が細くなったり、食べなくなったでは、逆効果だ。意味がない。ただ、頭の片隅に知識として知っておいてもらいたいこと。読ませたい。私自身もだが、そのときの環境、状況、気持ちでも、どんな選択をするのかは変わってくると思うし、それでいいと思う。ただ、頭の片隅にはいつも、置いておきたい。

    ・自分の育った家庭も、添加物をあまり気にしない家庭だった。母親は料理を手作りしてくれたし、その料理も美味しくて大好きだが、大人になって、意外と加工品や素を多く使っていることに気がついた。また、父親はかなりよく食べる人で、夕食後もよくアルコールに加え、アイスや菓子、カップ麺やコンビニ惣菜も食べていた。母親も、午後の休憩にはよく菓子パンを食べていたし、ジュースやインスタントの甘い粉末飲料が好きだった。私自身はどうか。お茶や甘しょっぱい煎餅や和菓子が大好きな子供だった。親ほどには甘いものやインスタント好きではないが、スナック菓子等、普通に食べていたと思う。添加物に疑問を持たない家だった。でも、今は私も家庭を持って、親となった。改めて考え直す機会かもしれない。

    ・本書では、個別の添加物が人体にどんな影響を及ぼすか、また、どれだけ研究が進んでいるかの現状については詳しく触れられていなかった。これについては、また別の書籍を探して学びたい。

    ・食品に限らず、よく使う整髪剤ケープについて、最近、毎日吸っているが大丈夫なんだろうか、どんな影響があるのだろう、と思ったり食器洗い洗剤その他についても同様に考えることがある。関連書を読んで色々知りたいと思う。

    ◆引用

    ・新漬たくあんが好評だった理由は、低塩であることはもちろんですが、食感がポリポリ、しゃきしゃきしていること。これは、昔ながらのおばあちゃんの手作りたくあんでは出ない感触なのです。添加物でつくり上げた食感と言っていいでしょう。    みんな添加物の味を「おいしい」と言って食べているのです。…p70

    →まさに私だ…

    ・「炭酸カルシウム」もカルシウムには違いないのだか、骨を強化する作用もゼロではないでしょう。しかしそれは、ひじきや小魚に含まれるカルシウムには及びもつかないものなのです。…p115

    ・なぜ「たんぱく加水分解物」が、これほどまでに日本人に受け入れられたのか。    それは、日本人は元来、味噌やしょうゆなど、アミノ酸にうまみを感じる食文化を持っていたからです。    「たんぱく加水分解物」というのは、非常に濃厚で強い味なのですが、問題なのは、この濃い味を子どもたちが「おいしい」と覚えてしまうことなのです。…p164

    ・「化学調味料」もそうですが、「たんぱく加水分解物」は子どもが大好きな味です。    しかし、一度この味を知ってしまったら、野菜や本来の天然のだしなど、淡白な味を「おいしい」と思えなくなります。味覚が麻痺してしまうのです。…p167

    →私が自分で取った出汁は味がしない…と思うのはこのせいなのか!??野菜は蒸しただけ、茹でただけ、も好きだけれど。

    ・「ブドウ糖果糖液糖」(中略)空腹時にこんな糖度の高いものを飲んだら、血糖値がどれだけ上がってしまうか。    血糖値の急激な上昇は、糖尿病の引き金となってしまいます。(中略)古来より、私たち日本人は、米からブドウ糖を摂取してきました。    米のでんぷんは体内でゆっくりと分解されてブドウ糖に変わり、エネルギー源になります。それならば血糖値が急上昇することもありません。(中略)甘味料として使われる「サッカリン」は発ガン性を疑われていますし、(中略)毒性という意味ではこういった添加物のほうが高いかもしれませんが、「ブドウ糖果糖液糖」には、ゆるやかに、しかし確実に、子どもの体をむしばんでいくという怖さがある。(中略)「甘いものの食べすぎは虫歯になるからいけない」    もはやそんなレベルの話ではないのです。…p175

    ・味覚が壊れていくこと、糖分をとりすぎるということも危惧するべきことですが、このようなものが使われ、安易に食べ物がつくられ、与えられる。しかも、安くて手軽に手に入るーーそう子どもたちが思ってしまうことが怖いのです。   体をつくる食べ物は、こんなに簡単で単純で安くはないはずです。    一度の食事が、食べるのは一瞬でも、どれだけの手間がかかるのかを、子どもたちに教えなければいけないのです。手間のかかる食事は、子どもの「体」だけではなく「心」をつくることを知ってほしいのです。…p177

  • 読んだら世に蔓延する食品添加物がみえるようになります。今までみえてるはずなのに無視してたんですよね、そんな自分にはもう戻れません。
    「食品添加物=悪ではない」と本著は繰り返し述べています。大事なのは光と影を知った上で、自分なりの付き合い方を考えることだと。

    内容の衝撃もさることながら、読み物として、文章や構成に引き込まれる面白さが在ったことは予想外で楽しく読書できました。攻撃的な本かと誤解してたんですけど、柔らかい本でした。

    ↓心に残った1行

    「(子どもたちの)味覚が壊れることも怖い、毒性の問題があることも怖い。しかし、それ以上に化学的につくられた食事によって食卓が壊れていく。それが一番怖いのです。」

  • なぜ食品添加物は危険なのか?について答えられていないため、内容の意味について非常に疑問。なんとなくこういう風に作った食べ物は体に悪そうだよねという論調が延々続く。
    情報開示を広く呼びかけているところは好感が持てるが、食品添加物商社に長く務めたわりには具体的な方法に触れていない。
    要は程度問題なので、情報によるリスクコントロールを行い、糖分が過剰摂取状態ならそこを第一に切る、などの対策が必要となるんだろう。
    ぶどう糖果糖液糖についてはもうちょい踏み込んでも良かったのでは。

  • 添加物を悪者にするつもりはないとしつつ、
    「詳しくない人はとりあえず不安がってなるべく避けることが大切」
    と言わんばかりの誘導的な議論なのは引っかかる。
    動物実験での基準値の決め方に関する記述も、致死量と無毒性量を取り違えており悪質な誤り。
    門外漢でもすぐ調べられる(た)この程度の毒性学のイロハにつまづく著者って一体…。

    食品メーカーが添加物の導入を選ぶ背景や著者の転機など、
    当事者の体験談としては臨場感、ドラマ性に溢れ読みがいがある。
    しかしそれらを振り返っての提言の信用度は、商品の原材料を気にする私から見ても疑問。
    この本に織り込まれた“添加物”を知らずに頭ン中に摂取しないためにも、
    本書への批判本(松永和紀著『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』など)も併読すると良い。

  • ミートボールに30種類の添加物が入ってるとか、明太子や漬物に大量の添加物が入ってるとか、ショッキングな記述がてんこ盛り。添加物を一概に悪と決めつけていないところが好感を持てた。今の世の中添加物を一切取らないのは不可能なので、あまり神経質にならず、付き合っていきたい。

    それにしてもジュースに半カップの砂糖が入ってる換算になるとか、酸味料や香料などの表記は、実際には何種類もの添加物が入ってるとか(何種類でもまとめて表記できる)
    、想像してたより何倍もの添加物を摂取してたことを知り、愕然とした。

  • 食に対する意識がガラリと変わった!!

    私は今まで添加物が何かは理解していたけど、それが体に与える影響とか、何の目的で使われているかをあまり深く考えたことがなかったです。だから、食品のパッケージに「無添加」と書かれていても、そこに惹かれて選ぶなんて事をしたことがなかったです。


    添加物に対して知識のない私は読みはじめてすぐ衝撃の連続でした。

    ーー''普段コーヒーに入れているミルクが、水とサラダ油と添加物だけでできていることを知らない。サボテンに寄生する虫をすりつぶして染めた「健康飲料」を飲んでいるとは思いもしない。「体のため」と買って食べているパックサラダが、「殺菌剤」のプールで何度も何度も消毒されているのを知りようがない。いま食べたミートボールが、大量の添加物を使って再生された廃棄寸前のクズ肉だと言うことなど想像もできない。''ーー

    こんなのもっと前に知りたかったよー。というのが率直な感想です。「安さ」「手軽さ」「便利さ」の代償にありとあらゆる添加物(毒性の高い添加物も含む)が使われてるなんて知りもしなかったです。この本を読み終わった今は、コンビニのおにぎりやサンドイッチはなるべく食べたくないと思ったし、カップラーメンももう食べたくないって思うレベルで添加物が嫌になりました。この気持ちがいつまで続くか分かりませんが、、、。

    この本のおかげで食生活を見直そうと強く思えました。今後、添加物がつきものの加工品はなるべく買わないようにしようと思ったし、いくつかの添加物が入ってるドレッシングも今はネット上にいろんなレシピが載っているので、それを参考に無添加ドレッシングを作ろうと思いました。そして、これから食品を買う時は裏の表示を見てから買うよう心がけるのと、同じ食材でも無添加とそうでない物があれば、多少高くても手間暇かけて愛情こめて作られた無添加の食品を選びたいと思えました。
    この本のおかげです♪

  •  食品添加物の神様とも呼ばれた経験のある、元添加物営業マンが食品の実態を暴く本書。著者が携わったクズ肉ミートボールを、我が子に食べさせることができなかったというエピソードが印象的。15年以上前の本だが、多少の改善はあれど目覚ましく食の安全が守られるようになったかといえば、変わっていないだろう。
     夏頃から添加物を気にして選ぶようにしてはいるが、日々買い物の難しさを痛感している。「添加物=悪、無添加=正義」ではなく、添加物の光の側面にも目を向け、共存の道を探ろうというスタンスに好感が持てる。続編も読んでみよう。

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著者プロフィール

安部 司(アベ ツカサ)
安部司(70万部『食品の裏側』著者、「無添加の神様」とも呼ばれる)
1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。
NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。一般社団法人加工食品診断士協会の代表理事。
2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、新聞、雑誌、テレビにも取り上げられるなど大きな反響を呼んだ。現在70万部を突破するベストセラーとなり、中国、台湾、韓国でも翻訳出版されている。その他の著書に『なにを食べたらいいの?』(新潮社)、『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)、『「安心な食品」の見分け方どっちがいいか、徹底ガイド』(祥伝社)などがある。

「2021年 『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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