「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま

著者 :
制作 : 山田 昌弘 
  • 東洋経済新報社
3.23
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本棚登録 : 146
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492223031

作品紹介・あらすじ

「婚活ブーム」の裏側で何が起きているのか!?格差時代における若者の意識と結婚行動の実態。

感想・レビュー・書評

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  •  
    「婚活(結婚活動)」という言葉を作った山田昌弘先生が編者となり,「婚活」についての研究をまとめた一冊。「婚活」という現象をアカデミックな視点で扱った書物としては初の書籍であろう。

    婚活はどのように行われ,どのような効果があるのか(第2章)。婚活を支える立場の人や団体は婚活をどのように捉え,どのように関わり,どのような意味があるのか(第3章,第4章)。「婚活」という現象は社会でどのように流行り,どのように受容されているのか(第5章,第6章)。日本の婚活はどのような特徴があると言えるのか(第7章,コラム)。

    多様な観点から婚活を読み解き,婚活を理解するためのバイブルとも言える書籍。約10年前の書籍ではあるが,婚活のその基本構造は変わっていないため,現代にも通じるものがある。特に終章は今後の婚活を考える上で前提となる話であろう。

    婚活。何が必要で何が望まれるのか。改めて当事者の視点に立ち返って考える必要があるのだと思った。
     

  • なぜ「婚活」ブームがおこったのかを社会学の視点で探っていきます。また、現代においては、結婚したいのなら、誰もが「婚活」が必要であることを教えてくれます。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 現代社会が直面している状況をわかりやすいデータや考察により正しく把握できる読む価値ある一冊。結婚できないのは個々人が原因ではなく、社会がそうゆう構造になってるから仕方ない。ただ結婚したいなら、もう待ってるだけでは結婚できない社会なのだから、就活のように積極的に婚活する必要がある。政府は少子化対策を考えるときは、未婚化についても本気で考えるべきである。未婚化の裏には、労働形態の多様化があり、現代日本の状況は深刻で、政府はもっと本気でこの問題と向き合うべきと著者は投げかける。

  • 結婚の背景にある、日本の経済状況やそれが故の男女の働き方子育て観。
    などがわかりやすく、様々な切り口から整理されていた。読んでよかった。

  • 序 「婚活」現象の広がりの中で
    第1章 「婚活」現象の裏側
    婚活時代出版の敬意
    婚活が社会的流行現象になった理由
    婚活流行の意図せざる結果
    行き詰まり時代の象徴としての婚活と就活
    第2章 若者の交際と結婚活動の実態―全国調査からの分析
    第3章 結婚仲人の語りから見た「婚活」
    第4章 自治体による結婚支援事業の実態―そのメリットとデメリット
    第5章 婚活ブームの2つの波―ロマンティック・ラブの終焉
    第6章 誤解された「婚活」―婚活ブームを検証する
    第7章 アメリカ社会から見た現代日本の「婚活」
    終章 積み過ぎた結婚―日本の結婚の今後

  • ・「婚活」とは、「高収入の男性をゲットする」ということではない。
    ・リーマンショック後、これまでの「男性が稼ぎ、女性は家庭を守る」という図式を成り立たせることは不可能になっている。
    ・しかし、未だに結婚成立の条件が「男性の収入」となってしまっているのが現状。しかも、本人のみならず親もその考えが強い。
    ・パートナーのどちらかが低収入であっても、もう一方の稼ぎで補うという考え方にシフトする必要がある。
    ・p.171「婚活の限界を突破するには「男が働き、女性は家事育児がメイン」という「昭和型結婚観」からの脱却という婚活中の未婚者の意識変換、さらに制度の応援も必要となる」が、共働きの夫婦を支援する制度はまだまだ未整備のままとしかいえない。

  • 自身も「婚活」を経て、結婚しました。婚活という言葉が徐々に浸透され始めた時期だったと思います。実体験で言うと、まだ20代だったからかもしれませんが、「婚活」は自分の求めるスペックを持った人を探す、といった印象の方は多くはなかったように思いました。しかし、巷で溢れ返っている情報をみると、確かに著者の当初の「婚活」の意味とは離れているのは理解できます。個人的には、こういった自分の求めるスペックを持った人を探している人に会ってみたいです(笑)

  • 婚活という言葉を作りだした山田昌弘さんの著書とのこと。

    出会いを増やしたり保育所を増やせば少子化が防げるわけではなく、少子化の原因は未婚率の上昇にあるのです。
    「婚活」とは、出会いを増やして条件のなるべく良いひとと結婚することを目指す活動ということではなく、
    性差役割分担で全員がうまくやっていくのははもう無理なので、男性はコミュニケーション力を、女性は経済力を身に着けることが大前提なのですよ。
    いわゆる理想的な結婚というのはもう現実的ではないので、
    ①理想を放棄する
    ②身近な虚構にはまる
    ③遠くの理想を追い求める
    が現実的な選択肢で、著者は①の選択を意図していたけれど、現在のブームは③の道を辿っているように見えるとの事です。

  • 日本、アメリカ、中国。
    それぞれ婚活の在り方の違いがまとめられていたのが面白かった。
    アメリカのように2組に1組が離婚する社会では、せっかく頑張って婚活しても、関係が破綻しない保証はなく、なかなか精神的に落ち着けないのではないかと思う。
    また中国は日本以上に、裕福な暮らしをさせてくれる男性との結婚こそが成功の証とする考えが主流だという。
    そんな言わば勝ち組になれる女性はごく限られた一部であろう。
    そして日本では3.5%しかいない年収600万以上の独身男性を巡って熾烈な争いが繰り広げられている。
    しかし最近では自分も働くから相手は400万でもいい、という考え方の女性も増えていると思う。

    妥協してでも結婚か、
    妥協するぐらいなら独身か。
    吟味をし過ぎて婚期を逸し、子どもを産みたかったが手遅れになってしまう女性も多くなっているような感がある。
    どうなっても、これが自分の選択、と言い切れる強さが必要だと感じた。

    2014/06/29

  • アジア特有の結婚観。欧米でも100年前までは、日本と同じような結婚観だったことに少し驚き。

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著者プロフィール

大阪府出身。京都大学法学部卒。華々しい英雄伝が好きですが、裏話的なテーマも、人物の個性をあぶり出してくれるので、割と嗜みます。著書に『世界ナンバー2列伝』(社会評論社)など。

「2016年 『童貞の世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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