労働市場改革の経済学

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492260975

作品紹介・あらすじ

派遣労働や有期雇用への規制強化論では、それによって雇用機会が減少し、正社員になれるどころか、非正社員の仕事も失われるという失業リスクは、なぜかほとんど考慮されていない。派遣社員を含めた非正規労働者にとって大事なことは、その働き方自体を否定されるのではなく、より良い働き方への改善を図るための制度・規制の改革である。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館
    挫折

  • 労働者の移行の難しさ。

  • 94労働市場改革の経済学 八代尚弘
    ・労使対立ではなく、正社員と非正規社員との間の労労対立について考察した本
    ・欧米諸国:職種別の労働市場が前提→労使間対立
    ・日本:長期雇用保障を前提→労使間での利益の一致→だが、雇用保障されている正社員と非正規社員の間の労労対立
    @cpa_1992
    労働分配率
    ・米国:一定←不況期には人員削減。好況期には増加して調整
    ・日本:不況期に上昇、好況期低下。人員数調整による対応はしづらい

  • 新聞等でもよくコメントが出る著者の考え方には、筋が通っており、納得する部分が多い。労働問題に限ったことではないが、これほど問題点が明らかになっているなら、政府は、労働市場のあるべき姿を示し、その実現に向けて課題解決を行うべきだろう。

  • 経済学の観点から、労働市場の規制改革について書かれている。普段触れている労働法の観点と違うので、理解できないところもあるが、「同一労働・同一賃金」に向けては、規制強化だけでなく、より現実的な労働市場政策が必要だと思った。

  • 自分が「正社員」側であることを割引いても、明らかに違和感を感じていた民主党の労働市場規制強化政策について、的確な批判をしていると思う。とは言え、ここで書かれている内容は特に目新しいと感じなかったのも事実だし、つい「人事部はもういらない」を読んだ時の衝撃と比べてしまって、物足りなさを感じてしまう。

  • 日本の労働慣行の問題点について様々な視点から論じた本。本書の中で重要と思われることを一部抜粋する。
    ・バブル崩壊後でも正社員の雇用は増えていた。それは、一時的な不況と考えられていたからである(現在はこの逆)
    ・日本の海外直接投資の流出が流入を大きく上回っていることは、労働市場へ悪影響を及ぼす
    ・日本の「解雇規制」の問題は、規制が厳しいことではなく、予見可能性が低いことである
    ・派遣労働者が正社員の雇用機会を代替することを防ぐために、派遣には期間制限がある
    ・派遣規制をすると、製造業で海外移転が発生し、正社員の雇用機会も縮小する危険性がある
    ・失業なき労働移転が可能であった特殊な時代は終わった
    ・バブル期でも出生率は低下していた
    ・男女間で結婚相手の学歴に関する非対称性が存在する
    ・平均的労働時間は減ったが、正社員の労働時間は一定のまま
    ・定年制の意味は、労働生産性よりも賃金が高いというギャップを清算すること
    ・公共職業安定所の事業を民間に委託・開放することが必要

  • 読みたい。

  • 日本の終身雇用制度の問題点を探る本である。
    非正規雇用者による問題点、彼らを容易に規制することの危険性。

    そんなことが書かれていた。

    日本の労使が経営サイドと協調的であり、
    労使協調なんていう諸外国で聞きなれない言葉が出てくる灰経緯には、
    お互いが会社の存続に共通の利益があるという視点は面白かった。


    経営側には会社の安定的存続はその使命でもある。

    一方、労働者側にとっては、年功序列賃金を標榜するい多くの日本企業にとって、若いうちの賃金は将来に払わされる点で、若い頃の労働賃金を強制的に会社に貯蓄させられているわけであり、それを手に入れるためには、企業に潰れられてしまっては困るという。
    双方にとって会社の存続が望ましいのはそうした理由による。

  • 労働市場改革への提言書。日本における現状の正規労働者を企業に対する出資者と定義し、労・労の克服に向けた雇用ルールの明確化、派遣労働禁止から保護法への転換等を提案している。城氏や池田氏と同一論調。日本の高度成長の持続(~1990年以前まで)、ピラミッド構造と労働力不足という条件でのみ成立し得た、日本的雇用慣行(新卒一括採用、終身雇用、年功序列)を固定、維持し続けることによる弊害が非常によく分かる。現行の介護保険の様に、育児保険の構想は個人のワークライフバランスの為にも求められると思う。

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著者プロフィール

昭和女子大学副学長,特命教授

「2022年 『日本経済論・入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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