10年後に食える仕事、食えない仕事

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492261033

作品紹介・あらすじ

グローバル化で職の72%は価値を失う!くいっぱぐれるな!これが日本人だからこそ有利な仕事。カラー図版であらゆる職を4分類。

感想・レビュー・書評

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  • 「はじめに」には、次のようにある。

    《グローバル化がいくら進もうが、日本人の仕事として日本に残る仕事は、必ず残り続ける。逆に、グローバル化で減る仕事、賃金相場が限界まで下がり続ける仕事、丸ごとなくなる仕事がたくさん出てくるのも事実だ。だから、自分がどの領域で稼ぐのかを考え、仕事を選び、能力を高めていかねばならない。本書はその航路図となるものを目指して執筆した。》

     10年前には世界の頂点に立っていた日本の半導体業界が惨憺たる状況になっていたり、家電大手が軒並み危機に陥っていたりと、栄枯盛衰目まぐるしい日本のビジネス界――。
     では、10年後にはどの仕事が凋落し、どの仕事が安泰なのか? 『企業ミシュラン』シリーズの執筆者で、独立系ニュースサイト「MyNewsJapan」のオーナー兼編集長でもある著者が、豊富な企業取材経験をふまえてその見取り図を提示する本だ。

     著者はあらゆる職業を、以下の4つの象限に大別する。

    ①重力の世界――グローバル化の波に直撃され、最低水準給与に収斂されていく仕事。名前は「重力に引っぱられるように給与が下がっていく」という意味
    ②無国籍ジャングル――「日本人であること」が意味をもたず、世界の有能な人材との戦いを強いられる弱肉強食の仕事
    ③ジャパンプレミアム――日本人にしかできない、低賃金の途上国にアウトソーシングできない仕事
    ④グローカル――日本人の強みを生かしつつ、グローバル化にも対応できる仕事。「グローカル」とは「グローバル」と「ローカル」の合成語

     そのうえで、どの仕事が10年後のどの領域にあたるのかが、具体的なエピソードやデータをふまえてわかりやすく解説されていく。

     「10年後に食えない仕事」にあたるのは①の「重力の世界」で、低付加価値なブルーカラー職種の多くがここに入る。この領域の仕事は、低賃金の途上国にどんどんアウトソーシングされるか、外国人労働者に置き換わっていく。
     日本人の7割以上がこの領域の仕事に就いているとのことで、その人たちは10年後には職を失うか、ぎりぎりの低賃金に甘んじることになるという。

     よくまとまっている本だし、仕事の将来性の大まかな見取り図としては役に立つ。
     ただ、本書で「10年後に食える・食えない」の判断軸になっているのは、グローバル化という軸でしかない。いくつか判断軸があるうちの一つであり、本書だけを参考に若者が仕事を選ぶのは危険だ。

     たとえば、私がやっているフリーライターという仕事は、本書の分類でいけば「ジャパンプレミアム」にあたるだろう。日本語で記事や本を書く仕事を、原稿料の安いミャンマー人のライターにアウトソーシングする、というわけにはいかないからだ。
     その意味でグローバル化の荒波とは無縁だが、かといって、「フリーライターは10年後も安泰」とはとても言えない。むしろ、業界そのものの消長という判断軸から見れば、「10年後に食えない仕事」の筆頭にあげられそうだ(笑)。

     また、著者は「不動産業界は、総じて、グローカル職の総合体といってよい」と書くのだが、それは“不動産業界の仕事は外国人に置き換えにくい”というだけのことで、「10年後も安泰」という話ではあるまい。
     むしろ、私のシロウト考えでは、不動産業界の10年後はかなりヤバイだろう。日本の空き家率がどんどん上昇しているのに、(目先の利益を優先してか)いまなおマンションが続々と建っているし、しかも少子高齢化で不動産需要は右肩下がりなのだから……。

     そのように、著者の言う「10年後に食える・食えない」の判断には、首をかしげる点も少なくない。
     とはいえ、「重力の世界」に属する仕事群に未来がないことは同感だし、日本人の仕事に対するグローバル化の影響を概観した本としては上出来だ。

  • 10年後に食える仕事、食えない仕事 単行本 – 2012/2/3

    本書によって正しい航海図を持とう
    2012年2月6日記述

    マイニュースジャパンの編集長である渡邉正裕氏による最新著作。
    タイトル通り経済のグリーバル化によって日本人の雇用がどうなるかを示している。

    新聞、ニュースまたは多くの識者が指摘するように経済のグリーバル化に伴い日本の雇用が減っていくとことは多くの人が認識していると思う。
    (本書内でも示しているがコールセンタースタッフや計算事務員など単純事務作業は中国大連で代替可能になってきており今後働く場として厳しいので避けるべきだ)

    ただこれまでは具体的にどういった職種、どの職業に悪影響が出るのかまで細かく解説した書籍もなく、そのことを感覚的に捉えていただけではないかと思う。
    本書はマトリックス化した図を使いそれを明確に示し明瞭な解説をしている。
    その中でBlue Ocean(青い海)を目指すべきであると。

    **ただ個人的に銀行の営業や住宅の営業などジャパン・プレミアムとされる分類は確かに外国人の参入障壁は高いと思うけれども、その大量採用大量離職などの労働実態を知る者として果たしてブルーオーシャンと呼べるのか疑問に思うものもあった。これではJRの鉄道職の方がよほどマシではないのか?
    それにグローカルエリアと分類される弁護士も法科大学院による合格方式に変更され合格者増加に伴い競争激化も進行しており、違和感が残った。
    本書内のブルーオーシャンの中のジャパンプレミアムとグローカルを盲目的に目指しても成功できるわけでは
    ないと認識するべきだ。逆に営業活動に強い人が銀行営業、住宅営業、弁護士となれば大活躍可能だろう。

    まえがきにも著者である渡邊氏が指摘するように誰もがMBA取得し英語を必死に勉強するということが
    有効な対策ではない事を理解した上で自身の特性を活かすべきなのだ。
    特に汎用品化していく無重力の世界と分類される(インド、中国等の影響をモロに受ける)業種を避け
    あるいはそこから脱出し日本人の強み(インド、中国にはない会社組織に蓄積される集合知など)を組み合わせ、新興国が簡単には新規参入できない製品、サービスを展開し生き残る事が日本企業に求められていると説いている。
    このことはサムスンやLGとの闘いに苦しむに苦しむメーカー郡に対しての方向性を明確に示していると思う。

    また6章の雇用創出へ向けた渡邉正裕氏の政策提言は必見である。
    民主党、自民党の代議士だけでなく若手〜ベテランの官僚の方々にも是非読んでいただきたいと個人的に思った。

    無国籍ジャングル人材の優遇
    イノベーションを積極的に起こすための規制緩和(他業種企業による農業参入など)、
    負の雇用貢献税(雇用を国内に残す企業への減税措置)
    単純労働者はギリギリまで受け入れない・・

    もちろんこれだけで日本の問題が解決するわけではないが、これからの日本に必要且つ有効な雇用対策になるはずだ。

    最後になるが本書は決して万人に対して70億人との闘いをすすめるような非現実的内容ではなく極めて実践的である。
    自身のできること、能力を十分考慮に入れて仕事を選ぼう。そして日本人の強み(匠、チームワークなど)を認識し新しい付加価値のあるものを生み出していこう・・淡いが、はっきりした希望が見えてきたと感じた。

  • この本は必ず皆さん読んで下さい。必須です。
    そして最優先で読んでみて下さい!!
    今後の自らの、更には子供達の仕事の選択を考える上で必須の本です。
    そして自らの就いている仕事がどのような立場にグローバルな世界の中でおかれているのか? これを理解できます。
    だからこそ、お金について学ぶ必要性を再認識もできますからね。
    自分の立場においてはこの本は様々なヒントを新たに 得る事もできました。。
    ちょうど今書いている日記のシリーズとも関係する内容です。
    子供の将来の選択の上でも非常に大切な考えを学べます!!

  • ノマドなライフのための本、第4弾です。
    ノマドとは直接は関係ないのですが、
    フリーランスとして独立した際、
    選んだ業種でお金がきちんと稼げるかどうかの
    半分は決まってしまうといっても過言ではありません。

    そのような時代背景の中、10年後どんな仕事が
    生き残り、どんな仕事が搾取されてしまうのかを
    大胆に予想した本。
    昔から、中国人・インド人でもできる仕事はNG、
    コンピューターでもできる仕事はNGと言われていますが、
    全くその通りで、著者は外国人でも出来る単純作業ではなく、
    日本人特有の強みが活かせる分野で、
    技能ではなく知能で勝負が出来る分野の
    仕事に就くことを勧めています。

    これらの説明を行うために、
    4つの象限に仕事を分けているのですが、
    その分け方がとても綺麗な軸で分けられていて、
    スムーズに著者の主張が理解できるようになっています。
    ノマドには関係なくとも、
    自分の仕事がいまどの位置にいるのかだけでも
    確認する価値のある本だと思います。

  • 図書館でたまたま手に取り、以前読んだ本と内容が似ていると思ったら著者が同じだった。この人は就職関係の本を何冊か書いているんだな。他の本もわかりやすい論調だったけど今回のも同様で、図式化された職種別の特徴が載っていて参考になった。
    人工知能の台頭で仕事がなくなるという話は有名で、そこではサービス業は軒並み苦しくなるとあったが、細かく見ていくと日本の女将さんのように特化したものは生き残る確率があがるらしい。またITと一口に言ってもやはり技術面ではインドには敵わないし、今後東南アジアなどの新興国でIT開発が進めば競争率は更に高くなるので勝負の仕方を考えなければならなくなる。
    アプリの開発なら地元に根付いたサービスを提供できるので今後も需要は見込めそうだし、個人でできてグラフィックなどのデザインも必要となるから人工知能に肩代わりされることもなさそうだ。技術だけだと競争が激しくなるばかりで賃金はどんどん下がる。
    あとは複数言語を習得するなり、他国の文化をよく調べて自国と他国とのブリッジ役を務めるか。そうなったらダイバーシティマネジメントを勉強しておいた方が有利になる。

    まだ自分の職種がこれらの分布のどこに位置するかはわからないが、危機的状況にある7割に入らないよう努力しなくてはいけない。世界から見れば日本の能天気さは異常だ。もちろんこんな競争社会自体おかしなことではあるけど、完全にそこからドロップアウトしてしまえるほどの覚悟も術も今の自分にはない以上、とりあえずこの中で生き残っていかないと何にもならない。
    ばかみたいな世界システムだとつくづく思う。

  • 職業の分類に関して細かいところで疑問はあったが、大まかな内容は納得できた。今後の対策に関して、もう少し詳述されていてほしかった。

  •  「生きがいを持っての社会参加」とまで「仕事」というものを神聖視するつもりはないが、本書の表題の「10年後に食える仕事と食えない仕事」というテーマは、なんとも身も蓋もない「品のなさ」を感じてしまう。
     しかし、「仕事」というものの風景が現在ではだいぶ変わってきていることも実感していることもあり、本書を手にとってみた。
     「フラット化する世界」でわかりやすく考察している「グローバル経済が世界を変えている現実」は確かにあるが、本書で主張するようにそれが明日にでもすべてにわたって世界を変えるのだろうかという疑問を持った。
     「日本から消える計算事務員」として「日本IBMが経理、人事、給与、福利厚生にかかわる計算事務業務とそれを支える情報システムや、その保守管理業務を、まるごとセットで大連に移してしまって、コストを半減させませんかというえげつないコンサルティングを行い、成果をあげている」という。 
     確かそういう事実はあるだろうし、「コールセンター」の多くが人件費の安い中国などに移転している事実もあるとは思うが、マクロ経済書等を読むと、日本の潜在成長率は極めて低いままであり、日本の産業界がすべて上記のコスト削減を行っているようには到底思えない。
     いずれは「世界はフラット化」するだろうが、現在の世界を見るとまだまだ相当長期間の時間がかかるというのが順当なところなのではないだろうか。
     本書を読んで、それぞれが「学習してキャリアアップ」を図ろうとすることは良い事とは思うが、本書の価値観を共有すると「周りはみんな敵」という情けない人間になりはしないかと、ちょっと懸念をもった。
     本書は、現実の一面のみを切り取り強調している懸念が残る、残念な本であると思う。

  • 世界には飢えている人が沢山いることをよく考えなさい。

    という昔ながらのお説教が現実味を増して蘇る本。
    しかし、もはや、このお説教が促す考え方は、「食べものを粗末にするとバチが当たる」ではない。
    もっと刺激的で、「グローバル化が進むと日本人の多くも食えない可能性がある」だ。

    グローバル化した社会では、ハングリー精神旺盛な人たちと競争の影響は避けられない。特に、ガチで競争する職種は食えなくなるよ、とこの本は教える。ちなみに、この本では、移民受け入れがほぼ前提にあることは注意しておいたほうがいい。

    とは言え、社会人がこれを読んでも、転職などの抜本的な対策を取ることは不可能な人のほうが多数だろう。それに、この本の内容も、なぜ10年後って予想するの?とか、職種を分類しただけで日本人の7割ってなぜ?とか、基本的なところにさえ疑問符がつく眉唾もの。大収斂のトレンドを起点に妄想しただけの本に見える。

    ただし、この本をきっかけに、きたる不況に備えることにするのはありだと思う。例えば、
    - 仕事でスキルアップを目指す
    - 資格をとる勉強
    - あんまりお金を使わない人生の楽しみ方を探す(おすすめ本: 「フロー体験 喜びの現象学」「世界にひとつだけの幸せ」)
    - 健康を維持。病気の予防(特に歯は要注意。保険が効かなくなるかも)
    - 家族や友達と仲良くする。
    - 不安に対処する方法を学ぶ(認知行動療法)
    - 自分の行動を修正する方法を学ぶ(動機づけ理論の本、自己管理の本をよむ)
    - 自分の内発的動機をさぐる
    - 自伝を読んで、人生を考える
    etc.

  • イマイチ。ネタ本として流し読みが良いでしょう。
    生き残れる職業、淘汰される職業を4つのカテゴリーに分類するという考え方は興味深いけれど、「なぜこのエリアにこの職業が?」と思うものが多々見られ、それぞれの職業について理解できているか疑わしい。
    「誰にでもできる仕事に未来がなく、他人と換えがきかない仕事は生き残れる」というのは、海外の安い労働力の参入に関係なく、昔からそうだと思うけど。
    ただ、就きたい職業の将来性を常に意識するのは良いことだと思うので、星2ということで。

  • うん、わかってるけどねっていう話。
    ただ、自分の職業はどの位置にあるかチェックしました。

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著者プロフィール

渡邉 正裕(ワタナベ マサヒロ)
ニュースサイト『MyNewsJapan』(mynewsjapan.com)のオーナー、編集長、ジャーナリスト。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日本経済新聞の記者、日本IBM(旧PwCコンサルティング)のコンサルタントを経て、インターネット新聞社を創業。一貫して「働く日本の生活者」の視点から、雇用・労働問題を取材、分析、提言。著書に『企業ミシュラン』シリーズのほか、『10年後に食える仕事 食えない仕事』『35歳までに読むキャリアの教科書』『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『トヨタの闇』など多数。

「2020年 『10年後に食える仕事 食えない仕事 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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