その問題、経済学で解決できます。

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制作 : Uri Gneezy  John A. List  望月 衛 
  • 東洋経済新報社 (2014年8月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492314494

その問題、経済学で解決できます。の感想・レビュー・書評

  • 最近の経済学で大流行している比較対象実験(Randomized Control Trial)を用いた研究結果について詳細に記述している良書。

    以下に、興味深かった点を挙げておきます。
    ①子どもの成績を伸ばすためには?
    子どもの成績を改善しようと思うのであれば、ご褒美をあげることが何よりも大切である。ご褒美とは、何もお金だけで無い。トロフィーやチョコレートでも良い。努力に対して報酬を与えることで、子どもが勉強をするインセンティブを引き上げることができる。

    ②女性は男性よりも劣っているのか?
    日本においても、管理職に占める女性の割合は男性のそれよりも圧倒的に低い。これは、女性が生まれながらにして、マネジメント能力や経営管理が出来ないからなのだろうか、それとも、会社の雰囲気などの文化的な要因によって影響されているのか。この問題に対して、筆者は、母性社会が強い村と父性社会が強い村を比較して、女性がどのように振る舞うのかについて検証をします。その結果、女性が先天的に経営管理能力が劣っているのではなく、適切な競争条件が整備されているのであれば、女性も自身のキャリアを伸ばすことができることが明らかとなった。

    ③差別はどのように生じるのか?
    筆者は、差別の中でも経済的差別に関して言及している。経済的差別とは、統計的に平均値が低いもしくは高い集団に対して、差別的な感情を抱くことである。例えば、黒人と白人を比較すれば、前者の方が明らかに犯罪率が高い。それゆえに、黒人は暴力的であるという差別意識を抱きがちである。

  •  実際にお金を払ったり状況を変化させる「ランダム化実地実験」をすることで、細かいインセンティブの差を見出す、という研究の一般向けの本。
     ランダム化実地実験が行動経済学の一分野かどうかはわからない。しかし、ランダム化実地実験(行動経済学?)は、マーケティングと心理学だったらマーケティングにより近い感じがする。とはいえ、どっちもよく知らないけど。
     一方で、ランダム化実地実験(行動経済学?)を経済学に踏みとどまらせているのは、ランダム化実地実験(行動経済学?)がインセンティブ(特に金銭的なインセンティブ)に注目している点ではないか。
     心理学だと(たぶん)そこまで金銭的インセンティブにこだわらないだろう。マーケティングは金銭的インセンティブにかなり興味があるが、とにかくまず儲けなければならない(ほんと?)だろうから、少し視野が狭そう(このあたり、かなり妄想)。
     ランダム化実地実験(行動経済学?)という方法はバーノン・スミスの「実験経済学」とも手法が異なるようだ。

  • 子供に勉強のやる気を起こさせるためにはどうしたらよいだろう。
    寄付金をより多く集めるにはどうしたらよいだろう。
    新車を安く買うためにはどうしたらいいだろうか。
    訪問販売でより多く売るためにはどのようにしたらよいだろうか。
    社員のパフォーマンスを上げるためにはどうしたらよいだろうか。

    こんな疑問は日常生活でもよく考えると思う。
    これらに対する回答は、昔ながらの迷信や習慣ではなく、科学ー特に実験に基づく行動経済学ーによって与えることができるし、そうあるべきである。

    最近はビッグデータという手法が流行っているが、こちらは非常に大きい(ビッグ!)データ群から相関関係を主とした分析を行う。ここで注目してほしいのは、因果関係ではなく、相関関係であるということだ。
    悲しいかな、人間は相関関係と因果関係を混同しやすいらしい。
    たとえば、ある広告代理店のCEOが、広告をTVで流した量とその売上げの正の相関を証拠として、「どうだ!広告を流せば流すだけ売り上げが伸びているぞ!」ということができるだろうか。
    一方で、夏時期にアイスクリームの売り上げと溺れる子供の量のグラフ(こちらも正の相関だ!)をみて、アイスの売り上げが多い年に、子供にプールに行かせることを禁止する親がいるだろうか?
    実は、両者とも本質は全く同じだ。つまり、相関はあるけれども因果関係は必ずしもイコールではない、ということである。
    (ネタバレだが前者は、たまたま広告を流した時期がクリスマス的な売り上げが伸びる時期であるため広告と売り上げの因果関係があると錯覚した例で、後者は暑くなるとアイスを買う人とプールや海に行く人が増えるので相関がある、というだけの話だ)

    ということもあり、真に因果関係を調べたい場合は、従来のよく整備された実験環境を構築して、対照群と比較して検討する必要があるのだ。
    一昔前は、大規模に実験する環境、資金、アイデアがなかったので困難であったが、ここ最近の実証経済学の流行をうけて大規模な社会実験も可能となってきたらしい。

    本書に記載されている例として、子供成績を上げたいと思うのはほとんどすべての親御さんの願いであろう。
    この場合、どのようにしてやる気を出させるのがもっとも有効であろうか。
    物でつる場合と、お金そのものズバリを上げる方法がまず考えられるが、物を上げる場合も本質的にはお金を上げることと等価なので、お金という尺度で実験をしてみる(小さい子供は、お金よりもおもちゃの方が喜ぶだろう!というご指摘はもっともである。これについても本書では研究成果を披露しているので本書参照)

    1)何もしない(これがベースとなるので比較対照群)
    2)事前に1000円あげておいて、前の成績よりも下がったら1000円を没収する
    3)事後に、成績が上がった場合に1000円をすぐにあげる
    4)事後に、成績が上がった場合に1000円を少し時間を空けて(1か月等)あげる

    この4つのケースで成績があがったのはどのケースでしょうか?
    1つだけ劇的に上がったケースがあります。
    詳しくは本書で。


    また社員のパフォーマンスを上げる問題についても同様に実験した結果が披露されている。
    こちらは個人でインセンティブを与える場合と、チームとしてインセンティブを与える場合とで結果が異なるという興味深い結果が得られたそうだ。
    詳しくは本書で。


    というように、このようなテーマは普遍性があり、知っていると意外と役に立つことがあるかもしれない。
    お勧めできる一冊である。

  • 人はインセンティヴで動くが、単に与えるだけでなく、どれだけ与えるか、どのような形で与えるかによって、反応の仕方はまるっきり変わってくる。

    著者の研究グループでの事例を織り交ぜながら、インセンティヴの掘り下げを行っている。

  • 「・・・経済学で解決できます」というタイトルだが、分野は行動経済学で、テーマは社会実験。
    内容は面白いが、実験とその評価は少し粗雑な印象を受けた。社会実験なんてこの程度なのだろうか。
    訳文はくだけて読みやすくはあるが、不快に感じる部分もあり残念。

  • 実地実験を行う経済学派の各種成果の話。特に、インセンティヴをどう効かせるか、どうかかわっているか・いないかを、経験や勘ではなく、実際に試してより良い方策を見つけようという話。

    まず、本書のタイトルと内容が直接的に結びついていなくて、期待を裏切っている気がする。
    元の英文はをんでいないからわからないが、このくだけた文章の調子が忠実に訳しているからなのか、そういう訳をしているからか、少し鼻につく。
    内容を的確に表すタイトルを付けて、ターゲットの読者に届ければ、それを望む読者には高評価になるのかもしれない。

  • 人がどのようにしてインセンティブにより動かされていくのか、どうすれば自分たちの思ったとおりに人々に動いてもらえるのか。様々な課題をランダム化比較試験で、実証しながら答えを出していく筆者達のアイデアや行動力に脱帽。
    これを読んだから、他人に対するインセンティブの与え方が劇的に向上するわけではないけれども、少なくとも子供には短期的なインセンティブの方が良いのである。更に面白いことにインセンティブが消失してからも良い行動が続く傾向があるというのも大変興味深い結果である。

  • 行動経済学の本。


    興味深かったのは3点。

    「お金」というインセンティブは万能ではない。むしろ悪く作用することもある。これは、ダン・アリエリーも述べていた、「社会規範」と「市場規範」に通じる。(金銭的な指標を持ち込むと悪くなる人間関係がある)

    P.346がなるほど、と思わせる内容。
    本書では、実地実験の大切さと有用性を述べているが、大企業などでは実験が行われない。
    その理由は、企業がなかなか動かないことも去ることながら、管理職の腰がひけることにある、とのこと。
    これまでのやり方をなぞっていれば、慣れているし、安全。また難しい経営判断をする際、実験をするとなると「私にはわからないんです」って言っているようなものだからだ、と著者は述べる。

    これについての解決法はトップダウンとボトムアップ。
    上の人が実験を計画して実行し、分析する。ボトムアップなら現場の人が実験をし、コストベネフィットを上司に報告すること、とのこと。


    また寄付の集め方は参考になった。見栄や「暖かな光」仮説という、寄付するといい気分になるということが、寄付の源になるという。また、寄付のお願いに「寄付の依頼のDMはこれっきりにしてください」というチェック欄を設けると、寄付が増えるというのは興味深かった。


    実際に実験をする場合は統計学が必要になる。
    『統計学が最強の学問である』と相性が良さそうな本。

  • UC San DiegoのRady School of Management教授のUri Gneezy師の著作。学術的にも実務的にも面白い。この本もっと日本でブレークしても面白いと思う。ベンチャーが事業開発にとって必要な「実験」の組み立て、この分野、サンディエゴと日本のビジネス連携でも、色々と仕掛けていける可能性があるのではないかと思います。

  • 実地実験経済学(現実の世界で経済学のランダム化実験を行う)の紹介。ニーズイーは、『ヤバい経済学』(イスラエルの保育所の実地実験)で、ジョン・リストは、『超ヤバい経済学』(実験室実験の問題点指摘)で紹介されている。
    何が人のインセンティブ(動機づけ)になるかは、思い込みと実際とは一致しない可能性があり、また、どれだけどんな形で与えるかによっても結果がまるで違ってくる。ならば、ランダム化して実験で調べてみよう⇒意外な結果が判って面白い⇒その結果を使ってインセンティブに働きかける施策が打てる、という話。
    Googleでは、1万回/年実験を行っている模様 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140331/262064/?P=4&mds だが、第11章では、インテュイット、ヒューマナ、ディズニー、中国の万利達等の企業の例が紹介されている。ネット広告業界では、既にA/Bテスト http://diamond.jp/articles/-/52085 としてランダム化対照実験が普通に行われているが、今後他業界にも浸透して行くか。

  • 行動経済学者により、保育園から大企業まで様々な分野で行った実験踏まえて人間がどういうことにモチベーションを感じるか、経済学でどのように問題を解決できるかについて、豊富なネタと合わせて紹介されている。実ビジネスでも間違えなく使えるのだ!という主張はごもっともだが、残念ながら自分の仕事でどう活かせるかはすぐに良い考えが浮かばない…

  • まあ,お話しとして面白い,かな.本書は最初から最後まで,どの場面でどんなインセンティブが最も効くか,という実験の紹介なのであるが,言い換えると,如何に人をコントロールするか,というお話しなので,感覚的にちょっと合わない.アメリカの荒廃校を改善するインセンティブの実験は面白いのだが,人を教育する立場にある身からすると,やっぱりちょっと....

  • 行動経済学と人間の本質について実験で確かめるところが新鮮。読みやすかった。

  • 教育、寄付、ビジネス、途上国支援など、人々を行動に駆り立てるインセンティブを数多くの実地実験によって解き明かします。分からないことは小さく試すがビジネスの鉄則、意外とえぐい方法が人を動かすことに思わず苦笑です。

  •  この経済学の本は、なかなか面白い。「実地実験」を通して語られる様々な問題への解決策が。同様の本として「ヤバい経済学」という本が浮かんでくる。

     今はやりの「ビッグデータ」に関する話題が載っている。ビッグデータにも問題点があると指摘している。それは因果関係ではなく相関関係に依存していて、しかも、大きすぎてどうやって進んでいったらよいのか途方に暮れると言う点だ。数字やデータをこねくり回していて知らぬ間に難しい理論だけが独り歩きして実態とかけ離れることになりかねない。

     インセンティブに注目している。どうすれば人が良いことをするのだろうか、インセンティブが「どう働くかを理解しないといけない」と指摘している。読んでいくとインセンティブとハサミは使いようだと分かる。

     教育問題、差別問題などを取り上げている。一貫しているのは、「経済学の武器は大事な問題を実行可能なやり方で解決することなんてことにまで、ちゃんと役に立つと僕たちは確信している」というように、少しでも良くなる方法を考えて実践することが必要だと説いている。ウーン、どこかの利権経済学の専門家とは大違いだ。その方は、どこかの大学教授である人材派遣会社の会長で、政府の諮問機関の議員という矛盾した人の事を指す。自らの「フィールドワーク」に基づく「利権経済学」の本を書かないかなとふと思った。

  • 対照付きの実地実験で人間の行動を解き明かす。男女の稼ぎの差は社会的なもの。損失回避の方が強力。幼少期からの学習支援が効果的。差別の理由は、悪意より経済的評価の方が大きい。

    結果やストーリーは既に別の本で読んだことがあるものが多いのだけれど、この本が最初だったのか?

  • ■書名

    書名:その問題、経済学で解決できます。
    著者:ウリ ニーズィー 、ジョン・A. リスト

    ■概要

    ノーベル経済学賞最右翼!
    行動経済学ここに極まる!

    「この50年で最大のイノベーションだ!」(『ヤバい経済学』著者レ
    ヴィット教授)

    対象は教育・ビジネスから途上国支援まで

    子どもの成績を上げるには?
    ワインをたくさん売るには?
    保育園のお迎えの遅刻をなくすには?
    娘の競争力を高めるには?
    お得に買い物をするには?
    恵まれない子に寄付してもらうには?
    社員の生産性を上げるには?

    「人はインセンティヴで動く」は当たり前! 大事なのは、誰にいつ
    どのように仕向けるか。
    子どもの成績を上げたいとき、あなたならどうするだろうか? 実は、
    ご褒美をあげるだけでは不十分。ご褒美を渡すタイミングや種類に
    よって、結果は全然違ってくる。
    本書では、『フォーブス』誌で「世界で最も影響力のある経済学者
    」に選ばれた最先端の行動経済学者が、実地実験という最強の武器
    で、人をやる気にさせるものは何か、人はインセンティヴにどう反
    応するかを解き明かす。意思決定の奥深くをあぶり出し、ビジネス
    の現場にも差別や格差という大問題にも解決策を出す画期的な一冊!
    (From amazon)

    ■気になった点

    ・女性は男性ほど競争が好きではない。
     ただし、適当な文化のもとでは、女性は男性と同じくらい負けず
     嫌いになるし女性より男性の方が競争を好むという状況がたくさ
     んある。

    ・もっと儲けたいなら実地試験をやりましょう!

  • かなり話題になっていたので期待に胸を膨らませて読んだのですが…

    個人的には「合わない本」でした。内容の良し悪しではなく、純粋に相性の問題だと思います。なんというか、そもそもこの類いの話題にあの手の文体を組み合わせた時点でダメ。

    そんな中で収穫と言えば、「やっぱりフォーカスグループとか消費者アンケートなんて、あまり意味ないんだよなあ」と再認識できたこと。地域限定パイロットやる方がずっと速いし確実と。耳が痛い。

  • いわゆる「ビッグデータ」から求められた結果がただの相関関係であるのか、因果関係であるのかは判断するのが難しい。多くの場合ビッグデータを元に解析された結果というのは相関関係であることが多く、且つもっともらしいので因果関係があるとたやすく誤解されやすい。
    著者達は、この誤解を行わず正しい結果から正しい答えを出すために、実社会、実経済の中で実験を行い実際の因果関係を解き明かしていく。

  • 11/17
    サポートメールのブックレビュー

    実験

  • 「子どもの成績を上げるには?」「保育園のお迎えの遅刻をなくすには?」「恵まれない子に寄付してもらうには?」といった課題に対して、どのような仕組みを講じれば成果が最大化するのかについて検証、解説したもの。結局インセンティブをどう設計するかなのだが、誰に、いつ、どのように仕向けるかという工夫を、世の中の人々はあまり考えていないようである。地域活性や社会問題の解決等、この点を考慮することで成果があがるだろうということがたくさんあり、一読に値する。

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