スティーブ・ジョブズ-偶像復活

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492501474

作品紹介・あらすじ

アップルコンピュータを創った男のビジネス史上最も偉大な第二幕。カリスマの虚像と実像を追った「非公認」ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • スティーブ・ジョブズの半生をまとめた一冊。
    単純にすごい人なんだろうな、くらいの印象しかなかったんで、あえて買ってみたわけだが、思いのほか破天荒な性格であるということに驚かされました。まぁ、ある意味、型破りな天才でないとあういうイノベーションは生まれてこないのでしょう。
    Apple創業から、一度追い出されるまで彼のやったことは、第三者的に見てお世辞にも褒められるようなものではないかもしれないけど、それでも結果的に時代に大きなインパクトを与えるモノを作り出したのだから、その結果は誰からも否定されるものではないだろう。
    個人的に面白かったのはピクサーへの出資のきっかけがコンテンツでなく、ハード(システム)だったということ。結果的にはこの出資で得た金銭によって、現在のAppleの復権につながっているのだから本当になにが起こるかわからない。
    この本が出た後も、iPhone、iPadとイノベーションは続いていくわけだが、これを読むとその流れさえも必然のように思えてしまう。人間的には決して尊敬できる人ではないのだけど、人をひきつける魅力という一種カリスマ的なものがこの手の創業者にはあって、このひとはそれが人一倍抜きん出ているということなんでしょう。

  • もの凄い分厚い一冊で、海外出張の飛行機でと思って、前に購入しましたのを思い出し、ハワイへのお供に連れ出しました。

    Appleコンピューターの創設者にして、みずからの創設した会社を追い出さられ、その後見事に舞い戻り、誰も想像しなかった形で会社を復活させた、時の人『スティーブ・ジョブズ』氏のお話しです。

    正直な感想としては、割りと『不快』にさせてくれます。大きな会社にありがちな内情を、彼のエゴの赴くままに、永遠と聞かされる感じです。辞めた会社の同僚にひさびさにあって、食事に行ったはいいが、ひたすらその当時と変わらない、会社のゴシップを聞かされる、あの感じを思い出しました。

    程度の差はあれ、こういう人っていますよ。他の一般人と一線を画すのが、

    ・やり遂げる力と、
    ・正攻法ではないにせよ、人を巻き込む力

    だと思うんです。もちろん、巻き込まれた人の悲鳴は、永遠と本書で紹介される訳ですが。

    でもなんだろう、この悔しい感じは?

    真剣に感情を紐解いてみると、そこに残るのは、

    『認めたくない絶対的な無邪気さ』でした。

    ナンダカンダ言っても、羨ましいってことなんでしょう。好きに好きなことをできてしまう人って。でも、同時に、個人の強欲を良しとする時代って、リーマン・ブラザーズとともに無くなってしまったような気がしていて、そろそろ、みんなで幸せになれるエンデイングも必要なんだと思うんです。

    マイケル・ムーア監督の『キャピタリズム』に紹介された、従業員の全員が、会社の経営に関わるモデルって、うそのようで、同時に会社のパフォーマンスが、システムを導入する前より上がっているっていうのも、納得できるんです。

    私?

    37シグナルズの会社経営が理想です。

    『小さなチーム、大きな仕事』小さい会社ですが、それが何か??

  • 瞑想や禅など、インドの旅をキッカケに東洋思想にのめり込み、それがデザインにも大きく影響を与えたと言われるジョブズ。ところが、その半生は、禅的思想とは似ても似つかぬ、煩悩や愛憎にまみれた選択の連続だった。そんな人間スティーブ・ジョブズに迫り続けた一冊。
    ところがその結果、無味無臭で「天才」と薄っぺらく祀り上げる本と比べて、本格的にその「天才」たる所以を如実に物語ることに成功している本とも言える。

    ビジネスパーソンはもちろん、人間に興味が尽きない文学好きにもオススメしたい一冊。

  • あのスティーブ・ジョブスの生まれ、少年時代の性格、インド放浪、スティーブの人生を短くまとめた本。

  • 贖罪の読書となりました。

    人がどのように円熟の境地に向かうのかと、恐れ多くも自分のこれまでとを比較しながら読了しました。

    本書を私は二つの観点で読みました。
    ① 1970年代以降のAppleを中心としたアメリカのPCテクノロジーの発展史
    ② スティーブ・ジョブズという人物の足跡

    500ページを超える大著に「やれやれ、アメリカ人は大著が好きだな。」とゆっくりと取り組むことにしました。

    読み始めて最初の頃は、電子工作ギークたちがどんどんとテクノロジーの地平線を超える冒険に乗り出していく様にワクワク感を感じていましたが、話の中心がスティーブ・ジョブズに移っていき、彼の様々な傲慢なエピソードに話がうつるとだんだんとうんざりしてきました。

    レストランでの食事で、注文したものが出てくると難癖をつけて取り替えさせたり、自分でお金を払うのを拒否したり。
    IBMとの契約で、IBMが出してきた契約書を中身を見ることなくページ数だけで、IBMに再作成させたり。
    自分のプロジェクトがうまくいかないと、他のうまくいっているプロジェクトからメンバーを引き抜いたり。

    スティーブ・ジョブスは「サイコパス」であるという話は聞いていたので、こうした不愉快な話が出て来るたびに「サイコパス」の裏付けてとして受け止めながら読み進めました。

    しかし同時にスティーブ・ジョブスの時代の先を読むセンスにも共感し、その共感が読み進める原動力となったこともあります。

    こうしたスティーブ・ジョブズの人間の部分に本著のフォーカスが移動すると、ネクストステップ社、ピクサーなどのイノベーティブな企業での話よりも彼自身に私の興味もまた移っていきます。

    本著はiPodで終わります。2005年出版の本ですから、iPhoneやiPadの話はなくまたスティーブの膵臓癌による死去の話はありません。神話として終わるのではなく、生きている経営者の話として物語は続くというところで終わっています。

    読み終わったとき、私はスティーブの生き様を自分の生き様に重ね合わせていました。

    私は今日まで、多くの人に失礼な言動を投げかけてきました。多くの人を怒らせました。あるいは悲しませもしたし、傷つけもしました。意識してやったこともあるし、ついうっかり不注意でやってしまったこともある。自分をよく見せたいから、負けたくないから、自分を守りたいから。との時々でいろいろな思いがありました。

    本書の最後の方にこんな一節がありました。

    「スティーブは、起業によって「大金持ち」になる人々をたくさん見てきたが、その多くが「自分を偽って、大きく報われるかもしれない経験から逃げて」おり、自分自身の価値を見つける機会を逃したり、「手にした富を正しく位置づける」チャンスを逃したりしているとも感じている。スティーブ・ジョブズは、自分が荒野をさまよっていた時代を見ているのだ。子どもっぽいプライドと尊大さにより、自ら招いた流刑の年月を。ジョン・スカリーからは、アップル社内の研究開発ラボを率いるというぴったりの役職を提示されたのに、誇りを傷つけられたと拒絶してしまった。そして、独りで荒野をさまよい、ようやく、何を捨ててしまったのかに気づいたのだ。当然の報いは、神々でさえもうけるもの。でも、後に家に帰れる場合もある。」

    この一節は自分に響きました。自分を見ているようでした。私は多くの人を傷つけてきた。それはまるで荒野をさまよっていたのと同じで、人を傷つけたことはそのまま自分に跳ね返って、まさに「自ら招いた流刑の年月」でした。

    スティーブは晩年そのことに気づいて自らを律するチャンスがあったように見えます。私も自分の過去の行いに気づいてここ数年言動にことさら注意を払っています。

    コロナウィルスが私の命をいつか奪いに来るかもしれないですが、自分の命が尽きる前に、そうした至らなかった自分とはきっぱりと決別した態度で生きていたいと思いました。

    本書を読み進める価値を途中で見失いましたが、最後まで読み切って自分を見つめ直すことができたことで、満足感を持って読了することができました。

  • 2020/4/7
    iPod発表までのスティーブの伝記。
    ジョブズは狭量、短期にして、visionary、タフネゴシエーター、卓越したプレゼンター、極限まで成果を出させるリーダー。
    カウンタカルチャーに染まった10代〜20代、ウォズニアックと出会いブルーボックスの開発やアタリで新規ゲームを開発。PC黎明期にウォズニアックがapple2を開発、優秀なマーケティング会社を口説き落として最初のムーブメントを起こした。macintoshで部分的な成功を収めるが、lisaプロジェクトやmacの失速を背景に、狭量な人間性もあって社内のマネジメントは混乱状態となり結果的にappleを追放される。
    Appleの主要メンバーを引き抜き、nextを創設し理想のコンピューター開発を目指す。並行して、コンピューターグラフィック用コンピューター企業としてPixarを買収。Pixarは天才ジョン・ラセターによるアニメーション部門が、フルCG映画を市場初めて作り、かつ興行的な成功とオスカーを獲得する。配給元、マーケティングパートナーのdisneyとのタフな交渉を重ね事業としても大成功する。Nextのコンピューターは成功とは言えないが、開発したOSのNextstepはOSを求めていた古巣Appleの目に留まる。ジョブズの類稀なプレゼンテーションにより採用されることとなり、Apple復帰につながる。apple復帰後はiTunes msの立ち上げ、ipodの開発を行い、寛大さや共感力というリーダーとしての円熟味をまし、ビジョナリーとしての才能を遺憾なく発揮してコンテンツとソフトウェアに強みを持つ強いAppleを作り出した。

  • エキセントリックな言動が目立った若いころから、革新的なビジネスモデルを次から次へと打ち出す時代の寵児になるまで、艱難辛苦の中からいかに学んできたかが克明に記されていて興味深い。天才一日にして成らず、ということだ。

  • 個人的に大好きなjobs本。jobsがどういう人物で、どういう人生を歩んできたかがよく分かる。特に周囲の人達とのやりとりはナカナカ見物。(ジャンルイガセー、ジョンラセター)

  • ベストセラーになったジョブズ公認の伝記、とほぼ同じ内容。
    こちらの方が先に出ててて、先に読んだ。

    こちらの方が、ずっとおもしろい。
    「i-Con」っていう題名も、シャレてるし、ジョブズの感性に近いと思う。
    公認の伝記は、いろんな偉人の伝記も書いてる作者のものなので、なんだか教科書っぽくて、つまんなかった。

    ただ、これはジョブズがまた生きてる時期に書かれているので、最後の時期のジョブズは描かれていない。その部分は、公認の伝記によく描かれている。

  • Steve Jobsの一代記。まだ生きている時の作品。

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