銀輪の巨人

著者 :
  • 東洋経済新報社
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本棚登録 : 211
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502341

作品紹介・あらすじ

瞬く間に世界最強にのぼりつめたとてつもない自転車メーカー「台湾巨大機械」とは何者なのか!?ニッポン自転車産業の強烈な空洞化はなぜ起きたのか?同じ危機にあった台湾はなぜ奇跡的な成長を手にしたのか?はじめて解き明かされる自転車インダストリーの現代史。

感想・レビュー・書評

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  • いよいよまた3週間に亘る長旅、ツール・ド・フランスが6月30日に開幕する。今年はオリンピック開催年と云うことでスタートが例年に比べやや早くなっているが熱い夏に変わりは無い。

    そんなロ-ドレース・ファンに取っては台湾製「GIANT」のロードレーサの名前はお馴染みのもので、古くはONCE、Telekom、T-Mobileと続き今はRabobankが採用している自転車として知られている。

    GIANTがプロ・チームに採用される経緯やその後の苦労などは此れまでもあちこちで見聞きしていたが、本書はGIANTの起業から今に至るまでの企業としての成長とその経営者の視点に焦点を当てた物語。と、云う事で本書は朝日新聞の経済記者にして台湾駐在の記者が書いたもので、書店でもスポーツの棚には置いておらず、「経済書」のところに置いてあるので要注意。

    それにしてもまさかGIANTの創業者であり会長・劉金標の前職が鰻の養殖だったとは驚愕の事実だ。

  • GIANTの勢いと、(自転車業界に限らないが)日本メーカー凋落のコントラストが悲しい。2トップが去ったらGIANTはどう変わるのだろうか。

  • 一部の自転車ファンからはバカにされることも多いGIANTだが、個人的には
    圧倒的なコストパフォーマンスに優れた自転車だと思っている。

    そのGIANTについて書かれたノンフィクション。

  • 台湾の自転車メーカー「GIANT」の創業者はどうやって一大メーカーを作り上げたかを描いている。日本の自転車メーカーが衰退している原因なんかもわかる。
    まず道路交通法の整備がないと、日本ではロードバイクは一部の人の趣味を抜け出せないだろう。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784492502341

  • 最近ジャイアントの自転車を買った。最終調整を待っている間何気なくとったのが本書だった。自転車購入の決め手はコスト・パフォーマンス。本書にはその秘密が詳らかに描かれている。決して順調なときばかりでなかったが、ものつくりのこだわりと経営戦略が効いたようだ。これは月並みの表現だが、同社が日本で展開している現状を見ればよくわかる。これからも楽しいんでいこう。

  • 以前に結婚披露宴で新郎の友人という新聞記者が、友人として一言を求められて、時事問題と絡めたご自分のご高説を滔々と述べ始めて、こいつは何しにきたんだアホかと思った。

    で、この本。著者は朝日新聞の元台湾支局長だそうです。はっきり言うと、自転車というものに対する愛情も関心も全くないまま、自分を目立たせるために使えそうな美味しいネタを見つけたので、適当にインタビューして適当に資料を見て書きましたよ、って本。たぶん。披露宴での新郎の友人の記者と同じ。どんな話も、自説を語るためのネタでしかないわけです。

    時々レビューで「自転車が好きな人にオススメ」とか書いてる人がいるけど、何をおっしゃる。長く自転車好きをやってる人なら呆れてむかついてくるし、最近好きになった人には間違った情報を教えこむ、そういう本です。ま、さすがに全部が全部ウソ間違いと言う気はないけどね。でも以下に挙げたような問題があるから、どこまでが真面目に調べた信じるに値する情報なのか全く信用できなくなるんすよ。

    例えばジャイアントがツールに出て行った時の話。著者はまずロードバイクにおける素材の変化の話を持ち出して、それまではスチールが中心だったところに、ジャイアントはカーボンを持ち込んだって紹介するわけです。それから、ジャイアントがTCRでもってツールに乗り込んだって書くわけですが、最初にオンセに供給されたTCRはアルミなんすよ。まだまだマスドロードでカーボンなんか使われてない時代の話です(TTバイクには使われていたけど)。ロードの世界ではスチール→アルミ→カーボンという風に素材が置き換わっていった、そしてスチール→アルミへの転換においてジャイアントがスローピングフレームと共に大きな影響力をもったことは、ロードレースの世界のことをちょっとでも関心持って調べたら、すぐに分かること。たぶんジャイアントの会長さんがカーボンのことを強調してたから、初代TCRもカーボンなんだろ、くらいの気持ちで書いているよこの人。

    本当の意味での興味がないことは、ツールでの成績のところでも分かる。「ジャイアント・オンセチームは、2002年にツール・ド・フランスで総合優勝、個人総合で2位、5位、6位を勝ち取るという大活躍を見せた」だって。あのね、ジャイアントがオンセのメインスポンサーだったことはないから。サブスポンサーですらないんじゃないかな。ただの自転車供給スポンサー(それだって、当時としてはすごいことだったけどね)。それにね、ツールで総合優勝って言ってら個人総合のことだから。チーム総合優勝なんてオマケです。偉すぎてそのことが分からんのだろうね。要するに興味ないから調べてない。これもたぶん、ジャイアントの会長さんの言葉か、ジャイアントの広報用資料をそのまま使ってるだけなんだろうね。ちなみに2002年の「個人総合優勝」はアームストロングです。今は空位になってしまったけど。それは本書刊行後のことで、そこを言っているのではないので為念。

    他にもね、それまで強い関係にあったシュインが、ジャイアントには秘密で中国企業との提携を模索し始めたことが1987年に判明したと書いた次の段落でね、「ジャイアントの行動は素早かった。1986年にオランダでジャイアント最初のヨーロッパにおける現地法人を設立し...」って書くわけですよ。時間が逆転してるつーの。気にならないのかな、そういうところ。気にならないんだろうな。適当に書いてるから。冷静に考えたら、シュインがジャイアント離れを模索し始めたのと同じくらいに、ジャイアントもシュイン離れを模索していたんじゃないの?とか勘ぐることはできて、そこをちゃんと調べてくるのかジャーナリストの仕事なんじゃないの?と。でも興味ないんだろうなぁ。

    ところどころ、面白いなってところあります。社風が基本的にポジティブで、失敗を恐れずに失敗してもどんどんやれって空気だとか。ジャイアントから出てくる商品を見ても、それは分かる。「えー、こんなの出しちゃうんだ!」って商品でも出してきて、売れないとなるとサッと引っ込める。けど数年してからまたちょっと趣向を変えて出してみたりね。大企業のはずなのに身動きがやたら軽快って印象はあって、それが社内の人へのインタビューからも出てくるのとかは面白い。面白いけど、じゃぁ他の自転車会社と客観的に比べるデータとかがあるわけでもないから、まぁ、社内の人がそう言ってるから、そのまま書いたんだろうなぁ。あたってる気もするけど、本当かわからんよなぁ。てかジャーナリストなら、そこを突っ込んで調べるのが仕事なんじゃないの?ドヤ顔で腕くんだ写真を著者紹介に載せてる暇あったらさ、とか思っちゃう。

    まぁ「自転車」の本じゃなくて、「自転車産業」の本だからって言い訳するのかもね。でもそれなら、よく分かってない/調べてないことを書かない。しったかはダメって会社で習わなかったのかな。そのせいで、肝心の部分の信ぴょう性が暴落してるからって話です。

    で、最後にこう言って結ぶんですよ。「本書が・・・自転車という機械の意味、自転車という産業の重要性、そして自転車に乗ることの意味までも読者の皆さんが考えるきっかけとなり、日本の自転車産業の復興や自転車文化の育成に役立つヒントがわずかながらでも見つかることを心より願ってる」だって。ご自分が適当にしか考えてらっしゃらないですよねw

    結論:新聞記者には気をつけろ(みんな知ってる)

  • 職場の自転車愛好者の間で話題になっていたので、しばらく前から積ん読してあった。
    最近、業界で大きな位置を占めるようになった台湾の自転車メーカー「ジャイアント」について創業者、成り立ち、戦略とともに、日本の自転車業界の衰退について朝日新聞社の記者が取材して描き上げた本である。
    アメリカの有力企業のOEM先として創業したジャイアントだが、袂を分かつときに自社ブランドを立ち上げる。
    直営店経営にこだわり、安売りはせずに高価格帯の商品に焦点を当て、早い時期からツール・ド・フランスという自転車スポーツの頂点となる大会でアピールを重ねた結果、世界中でブランドを認められたまさに自転車業界の「ジャイアント」となる。
    台湾は国を上げて業界を支援し、還島と呼ばれる自転車による台湾一周が国民の間でもブームになり、国内でも自転車は大きな位置を占めるようになってきている。

    反面、日本の自転車業界は衰退の一歩をたどっている。
    私が小さい時にはブリジストン、丸石、ミヤタなど有名所がいくつもあったのに、今は見る影もなくママチャリばかりになっているそうだ。
    しかもそれさえも台湾や中国企業へのOEM委託だとか。

    馴染みのない業界だったので、なかなか興味深かった。
    久しぶりに自転車でかっとばしたくなってきたな。

  • ジャイアント自体の、話としてはいまいち薄い。
    ジャイアントを核にした、自転車産業の、日本と台湾、中国の歴史の動きと現状に至る分岐。それを語っている。
    印象は薄い。

  • 名前だけしか知らなかったGIANTという会社の成り立ち、成し遂げてきた事が時系列的によくわかった。

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著者プロフィール

野嶋 剛(のじま・つよし):1968年生まれ。ジャーナリスト、大東文化大学教授。朝日新聞入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長、国際編集部次長、アエラ編集部などを経て、2016年4月に独立。『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『認識・TAIWAN・電影――映画で知る台湾』(明石書店)、『蒋介石を救った帝国軍人――台湾軍事顧問団・白団の真相』(ちくま文庫)、『台湾とは何か』『香港とは何か』(ちくま新書)、『新中国論――台湾・香港と習近平体制』(平凡社新書)など著書多数。著書の多くが中国、台湾で翻訳刊行されている。

「2023年 『日本の台湾人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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