プレミアム戦略

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492532409

作品紹介・あらすじ

レクサスやザ・プレミアム・モルツはなぜ成功したのか?「キャッチコピー」ではなく「戦略」としてのプレミアムを。本格的プレミアム論。

感想・レビュー・書評

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  • ものが良いだけではダメ
    ストーリーが大事、ブランディングって難しいー

  • はじめに
    ・成熟消費社会のキーワード
    ・「キャッチコピー」ではなく「戦略」

    第一章:プレミアムという現象
    ・「欲望の質」
     世界最高水準の日本人の「欲望の質」
      江戸時代の町人文化
       歴史上例のない、支配者(武士)より金持ちな被支配者(町人)
       はり・通・意気・いなせ・伊達男
     「手に入れる」ではなく「使いこなす」

    第二章:プレミアム消費の2つの断面
    ・日常の贅沢ー「ちょっとプレミアム」
     ハレとケ
     ビール、アイスクリーム、TSUBAKI
    ・非日常の贅沢ー「アイデンティティ・プレミアム」
     自分探し・自分らしさ・アイコン・こだわり
     NGワード:ブランド
     高価・希少・選別

    第三章:プレミアムと何か?
    ・プレミアム=プラスアルファの価値
     機能的価値  vs. 情緒的価値
     (見える価値) (見えない価値)
     PREMIUM・LOVE・RESPECT・IGNORANCE
     NGワード:ラグジュアリー=豪華・贅沢・奢侈

    ・プレミアムのメカニズム
     尖った独自の機能的価値
     ストーリー

    ・フラッグシップ
     日常の贅沢(ちょっとプレミアム)・ハレ
     非日常の贅沢(アイデンティティ・プレミアム)・自分探し
      こだわり・高価・希少・選別

    ・価格こそが4Pの中で最上位の概念
     「価格」によりプレミアムを訴求
     フラッグシップが価格を規定
      「いくらで売りたいか」
     驚異的な収益性

    第四章:なぜ「日本発のプレミアム」は育たないのか
    ・「日本発のプレミアム」を阻む4つ壁
     舶来信仰
     御用達制度の廃止・一億総中流社会 vs.ヨーロッパの階級社会
     大量生産・大量販売という産業政策
     デザイン性より機能性重視の思想

    ・それよりも最大の壁は「作り手の欲望の質が低い」こと
     プレミアムを作ろう、という欲望

    第五章:戦略としてのプレミアム
    ・プレミアム・ニッチ戦略
     vs.コストリーダーシップ戦略・差別化戦略
     
    ・プレミアム・パラダイム
     「たくさん売ろう」としない
     「カスタマー」ではなく「ファン」を作る
     「マーケティング」ではなく「ストーリー・テリング」
     
    ・プレミアムにおける原則
     「作りての主観」こそが命
     常に「モダン」である
     派手な広告・宣伝はしない
     飢餓感・枯渇感の醸成
     安易な拡張は行わない
     販路を絞る
     細部にこだわる
     グローバルを目指す
     
    ・日本企業がすべきこと
     本物の「職人」を育てる
     「ストーリー・テラー」を育てる
     上場にこだわらない
     仕事に「ゆとり」を
     「できる」と信じる

    取り上げられている商品・サービス
    ・サントリー:ザ・プレミアム・モルツ 250円(実売)
    ・シャープ:電子レンジ「ヘルシオ」 12万6000円(メーカ希望)
    ・スウォッチ:オメガなどの最高給ブランドを買収
    ・資生堂:TSUBAKI 850円(実売)
    ・ボーズ:原音再生のこだわり vs. バング&オルフセン デザインのこだわり
    ・ポルシェ:911(フラッグシップ)、カスタマーセンターでの受け取り
    ・BMW:5シリーズ(フラッグシップ)
    ・レクサス:LS(フラッグシップ)
     385馬力・燃費9.1kmという動力性能・低燃費を両立
    ・ルイヴィトン・エルメス・グッチetc
    ・千疋屋総本店:10000円超のメロン・20人の生産者
    ・大塚製靴:31万5千円の注文靴・農機は4〜6ヶ月
    ・セイコーウォッチ:クレドール・ノード:取扱店を110に絞る
    ・ミキモト:100粒中10粒しかない「花珠」
    ・タケダワイナリー:20年の歳月をかけた土壌改良
    ・星のや軽井沢:谷の集落に滞在・連泊限定・テレビがない
     3万5千円/人・泊

    おわりに
    ・従来の経営書はHOW、本書はWHAT

  • ローランドベルガー会長による著作。
    ブランド論としては、特に新しいものはなくアーカーなどによって提示された理論を、わかりやすく書き直したものという感じ。日本企業がプレミアム市場において存在感が無いという指摘とともに、そんな中で挑戦する日本企業の事例を巻末にいくつか挙げている。


    ・プレムアムかどうかは作り手が決めるものではなく、あくまで顧客が決めるものである。
    ・プレミアムに必要なものはロゴではなくストーリーである。
    ・伝統とは革新の連続である。by虎屋17代目
    ・プレミアムは消費者の「経済的豊かさ」に「欲望の質」が加わることによって形成されていく。
    ・バブル期にもブランド市場が大きく拡大したが、今との違いは、商品選択の基準が他人の尺度ではなく自分に合うかどうか、自分がどう使うかということにシフトしていることである。

  • ■大前提:社会の成熟化に伴い、大量生産・大量消費の経済から、プレミアムなスマートな消費へと変化した。

    ■プレミアムとは
    ・「プレミアム」とはプラスαの価値。プラスαの価値は「機能的価値」「情緒的価値」の2つから構成される。
    ①機能的価値
    ・消費者が商品やサービスから享受する本来的な価値の部分。
    →作り手の主観から生まれる、レベルの違う上質感を提供しなければならない。
    ②情緒的価値
    ・その商品を手にすることによる精神的な満足、オーナーとしての誇り、作り手に対する共感などの部分。
    →ストーリーを紡ぎ、共感してもらうことが必須。

    ■価格
    ・作り手の論理で決定すべきもの
    ・フラッグシップモデルで頂点価格を決める。
    →フラッグシップというスーパープレミアムがあるからこそ、手ごろなプレミアムの価格帯の値付けが可能になる。

    ■戦略を考える上での前提
    プレミアムというのは差別化戦略ではなく、「プレミアム・ニッチ」という隙間を狙う集中戦略。
    ニッチ戦略を成立させるための3つの要素は以下。
    ①たくさん売ろうとしない:販売チャネルは限定する
    ②「カスタマー」ではなく「ファン」を作る:作り手の主観を受け入れてくれる人(ファン)を作る
    ③「マーケティング」ではなく「ストーリーテリング」

    ■戦略の8つの原則
    以下の要素を外さない
    ①「作り手の主観」こそがプレミアムの命
    ②常に「モダン」であり続けること(原点は残しつつ進化を続ける)
    ③派手な広告・宣伝はしない(本物は派手な宣伝をしなくても、わかる人にはわかる)
    ④飢餓感・枯渇感を醸成する(大衆化せず、希少化する)
    ⑤安易な拡張は行わない(下手に中価格のブランド展開をしない)
    ⑥チャネルを絞り込む
    ⑦細部にこだわる(例えば包装、店舗のデザイン、店員の制服など、顧客の目に触れる全てにおいても、一貫性と完璧性を追求すべき)
    ⑧グローバルを目指す

  • 高級品と低価格帯の商品が売れ、中間価格帯の商品が苦戦。その原因は、格差社会が進んだことではなく、同じ消費者でもこだわる消費とこだわらない消費への二極化が進んでいるためである。

    商品平均単価と商品グレードでセグメンテーションしたときに、自動車・宝石などの高平均単価の高グレードでは欧州勢が圧勝しているが、中~小の平均単価の高グレードでは、プレミアムモルツ、TSUBAKIなどの製品が出てきている。

    単にプレミアムなだけではなく、アイデンティティ・プレミアムが重要で、そのためには高価、希少、選別の3要素が必要。マーケティングよりもストーリー・テリングが重要となる。

    8つの原則
    ・「作り手の主観」こそがプレミアムの命
    ・常に「モダン」であり続ける
    ・派手な広告・宣伝はしない
    ・飢餓感・枯渇感を醸成する
    ・安易な拡張は行わない
    ・販路を絞り込む
    ・細部にこだわる
    ・グローバルを目指す

  • まずまず参考になりました。

  • 赤坂Lib

  • 2007

    今市場・街にはプレミアムが溢れていると。

    レクサスだとかモルツだとか。
    日本人の思考からして
    普段使うもの→日本製
    高価なもの=プレミアム→外国製
    になってしまっている。

    そのため、日本企業がプレミアムの市場で
    活躍できていない。
    当初のレクサスは典型的な失敗例。
    モルツは完全なる成功例。

    じゃあどうするか。
    プレミアムに対する戦略を使っていこうと、
    ローランドベルガーの遠藤さんはおっしゃってます。

    そもそもレクサスとモルツの戦略のちがいはどこに
    あったのか。
    日本企業がすべきこととは。
    プレミアムという商品の原則とは。

    ・・・。んな感じ。
    問題意識から現状分析、問題点把握、仮説構築、
    政策提言というような流れがわかりやすかった。

    巻末にはプレミアムの市場で成功した企業の
    例がのってて面白かった。
    ホントさらっとよめるのでオススメ。

  • プレミアム・モルツだったりレクサスだったり、プレミアム流行りの風潮を解析しつつ、実態とマーケティング理論を組み合わせたのかな、という一冊。
    本の作り方が上手ですね、と揶揄したくなるが、期待を裏切らないほどに独自の考察もあれば意外な真実もある…ものの、概ね結果論に毛が生えた感じで終わってしまっているのが残念。
    で、どうすればよいのか?は、コンサルティングのお仕事をしている以上、1000円そこらの本には書けないですよねぇ。

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著者プロフィール

遠藤 功(エンドウ イサオ)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。2020年6月末にローランド・ベルガー会長を退任。同年7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『現場論』『生きている会社 死んでいる会社』(いずれも東洋経済新報社)『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)『ガリガリ君の秘密』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー書籍多数。

「2022年 『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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