ヒットメーカーの寿命―阿久悠に見る可能性と限界―

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492556283

作品紹介・あらすじ

マーケティングの天才の「成功法則」は、なぜ15年しか通じなかったのか?「天才作詞家」であり、「市場の開拓者」「時代の企画者」異能の「怪物」の正体に迫る、初の本格的評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 市場化可能性
    ネガがポジに反転することで生じる言葉の商品価値、市場化可能性 ex. 「また逢う日まで」の男女の別れ
    日本人のメンタリティは基本的に「暗い」と見切った阿久悠にとって、いたずらに明るさを装ったのでは、歌のリアリティを損なう。だが暗くて貧しい歌を、彼は真っ先に禁じ手にした作詞家でもあった。偽りの「暗さ」「貧しさ」から、リアリティを引き出そうというのは、すでに時代錯誤である。ただ一方で、浮き足立った明るさの幻想から覚めない限り、この国に「あの鐘をならすのはあなた」は永遠に現れはしない。その両要素の冷静な見極めが、阿久悠の時代を読むパースペクティブ、一筋縄ではいかない"複眼"の正体だった。
    「明るく豊かな時代の希望」「暗くて貧しい時代の希望」をベタに歌にしない
    電信の整備、交通機関の発達、自動車社会、住宅の洋風化、食生活の変化、生活様式の近代化と、情緒はどういう関わりを持つだろうか。「歌にならないものは何もない」という、作詞にあたって阿久悠が追求した無限の市場可能性は、この問いかけによって条件づけられ、阿久悠的な詩の世界の緻密な構成と細部のリアリティを保障していたことになる
    歌謡曲の究極は「飢餓」と「憧憬」である

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著者プロフィール

文芸評論家。1952 年北海道室蘭市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。著書に、『評伝 西部邁』(毎日新聞出版)、『戦後思想の「巨人」たち』(筑摩選書)、『文学者たちの大逆事件と韓国併合』(平凡社新書)、『ヒットメーカーの寿命』(東洋経済新報社)、『吉本隆明1945-2007』(インスクリプト)、『戦後日本の論点』(ちくま新書)、『江藤淳』(筑摩書房)、『評伝 中上健次』(集英社)など、監修に『別冊太陽 中上健次』(平凡社)、『電子版 中上健次全集』(小学館)など、編書に中上健次『現代小説の方法【増補改訂版】』、『中上健次[未収録]対論集成』(以上作品社)などがある。

「2023年 『評伝 立花隆 遥かなる知の旅へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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