アナロジー思考

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492556979

作品紹介・あらすじ

戦略思考・仮説思考・フレームワーク思考・ラテラルシンキング…すべての思考は、「類推」から始まる。『地頭力を鍛える』著者が「考える」ことの原点を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 演繹法、帰納法と並ぶ思考様式である「アナロジー」。
    1番初めは学生時代のビジネスリテラシーが皆無だったころに触れ、当時は内容はあまり理解していなかったのですが、、、。
    社会人経験を多少経て読み直してみました。
    読んで思ったのは、「アナロジー思考」はその思考様式を手段として身につけようとする類のものではなく、目の前の課題を解決しようとする過程で自然と身についていくものなのかなと。
    自分が知らない領域の課題解決に真摯に向き合う過程で、過去の自分の経験(自分の知っている領域の課題解決)、抽象化したエッセンスが役に立つと思います。
    「アナロジー思考を身につけよう!」と考えるより、目の前の問題解決を深堀って成功体験を積んだ上で、「なぜその成功を生み出せたのか?」をしっかり振り返り、抽象化したエッセンスを自分の血肉にしていくことが大事だと感じました。

    「アナロジー思考」の基本を学ぶのに最適な本です。

  • ◾︎学び
    ・アナロジー: 複雑な事象に潜む本質的構造を見抜きそれを別の分野に応用・転用することである 
    ・アナロジー思考力=抽象化思考力 

    -大きな構造変革を必要としている
    →そんな時代に求められるのは個別な具体論ではなく抽象化された構造レベルの議論
    →→それがあって初めて個別の具体論が意味を持つ

    ・ビジネスの場面では
    1. 自分の理解 2. 他人への説明 3. アイデア創出
    の三つの目的が挙げられる

    1. 自分の理解
    -知っている領域の知識を未知の領域に適用, 応用し理解するため
    2. 他人への説明
    -未知の事象や概念を説明する場合、類似する聴き馴染みのある領域と関連づけて理解を促進させる
    3. アイデア創出
    -直接・間接的知識(経験, 読書)をいかに活用し増幅させられるか 

    ・2種類の「似ている」
    1. 表面的類似
    -属性(形や音、色、名前)レベルでの類似
    2. 構造的類似
    -対象物の相互間に存在する「関係性」や、それらを組み合わせた3つ以上の構造
    ⚪︎単に商材や業界が似てるだけでは本質的にバッティングしない
    →競合を考える上でビジネスモデルまで把握する必要性が理解できる

    関係/構造の基本パターン
    ・2者間の関係
    1. 対称型(並列関係、対立関係、相互因果関係)
    2. 非対称型(因果関係、順序関係、大小関係)
     ┗意識すべきことは因果関係なのか相互因果関係なのかを区別し伝える、または解釈すること

    ・2者間の集合関係
    1. 一方が一方を包含してる関係
     ┗十分条件or必要条件
    2. 一部共通部分がある関係
    └1. AでもBでもある
    2. AであってBでない
    3. BであってAでない
    4. AでもBでもない
    3. 共通部分がない関係
    →混同しないよう図解で関係性を明確に表現し共有する
    ・3者以上の関係を「構造」と呼ぶ
    └ツリー型
    └循環型
    └順序型
    ⚪︎目に見えない構造を発見し、応用するかがアナロジーを活用する最大のポイント

    -共通点の見つけ方-
    ・一般化:
     -上位の概念として包括する一般的な言葉に置き換える
    ・単純化:
     -複雑に見える事象に対し、目的に合致した部分のみ特徴を抽出する
    ・構造化:
     -個別の具体的自称間の関係や構造を明らかにする

    ◾︎NA
    ・日常的に物事を構造的に見抜く意識をする
    →他に同じような構造がないか、何に転用できそうかを考える
    ・自己紹介の際に、単に説明するだけで無く、相手が興味を持つ表現を行う

  • ■ Before(本の選定理由)
    具体↔抽象トレーニングなど、著者の本を読むのは3冊目と思う。アナロジーという言葉は聞いたことがなく、イメージも湧かない。どんな概念なのだろう。

    ■ 気づき
    推論を分類すると、アナロジーは③と深く関連するらしい。抽象化して、共通点を見出し、理論として別の物に適用すること、と理解した。
    →①分析的推論
    ※ex)演繹論
    →拡張的推論
    →②帰納的推論
    ※経験から一般化
    →③アブダクション
    ※科学的仮説や理論を発案

    ■ Todo
    抽象化の悪いところにも言及していて好印象。特に具体で話をしている相手(たとえば妻)に抽象で返して「共感してくれない・すぐに話を一般化する」と怒られるのは、私自身何度も経験している。。

  • 抽象化とは、アナロジーとは何かを具体的に表現するという、抽象化してこの本の内容を表すと極めて面白い記述になる本だ。

    私がこの本を通して学びたかったことは、アナロジーとは何かという事と、アイデアマンに一歩近づくための方法である。
    結果として二点共に理解できたし、今後のアクションも明確になったと言える。以下に自分なりのまとめを書いておく。

    ・アナロジーとは
    単純に日本語に訳すと「類推」をいうものである。
    例えば、IQクイズで?を埋めるときや、難しい事柄を具体例で表す時に使われるものだ。
    これは、物事を構造化することで気付く内容であるが、類似点には二種類ある事がビジネスへの流用において大事な点であると感じた。
    具体的には、表面的類似と構造的類似だ。前者はユニクロとしまむらである。
    後者は飲食店とタクシー業者を例にとる。
    観光地の飲食店は一見さんのお客さんがメインになっており、住宅街の飲食店は常連さんがメインになっている。同様に、都会の駅前のタクシーは人の量が多い為一見さんがメインになり、田舎の駅前のタクシーは利用客が限られるであろうから常連さんがメインになる。
    こう見ると、一見関係ない飲食店とタクシー業に構造的類似点が生まれてくる。。結果として前者であれば「一度でも買って貰うこと」を主題として商品や会社の認知度を上げる宣伝広告が重要になるし、後者であれば商品やサービスの品質や顧客を維持する事が重要になるだろう。
    他の例としてはアパレルのベストプラクティスとして挙げられるファーストリテイリング製品から、「ユニセックスなデザイン」を借りてきたキリンの氷結や、「ちょうどいい」を借りてきたEKワゴンが構造的類似による類推から生まれてきたものとして挙げられている。

    ・アイデアマンになるには
    この構造的類似に気付こうという意識は勿論重要だが、「借りてくる」という概念がある以上そもそものインプットが大切である。
    これを下記の式にすることで、アイデアマンは表すことができると思う。
    アイデアマン=知識・経験量×アナロジー力

    今後の行動としては、色々なものを抽象化することで、引き出しを増やしつつ類推のトレーニングを行っていきたい。




    疲れて後半書く気力失った。

  • ある分野のことを別の分野のことに応用してアイディアを考えるというプロセス(これをアナロジー思考と呼んでいる)について説明がなされている書籍。

    アナロジー思考を行うにあたっては5つのステップがある。
    1.アナロジーを使って何をしたいのかという課題を設定する。
    2.当該課題を抽象化して特徴をつかむ。
    3.アナロジーの源となるベース領域を選定する。
    4.ベース領域からターゲット領域への対応要素をマッピングする
      →これによりターゲット領域の知見を得る。
    5.評価・検証を行い、必要に応じて1.のターゲット課題を修正する。
    要は、何か新しいアイディアを考えるにあたって、別の領域からアイディアを「借りてくる」のだが、どこから借りてくるかについては、「逆を考えてみる」といい(例えば、仕事で悩んでいるとき、遊びの場合はどうするかを考えてみる等)。
    そのほかは、次のようなものがあげられる。
    ・よく知っている世界(e.g. 自分の専門領域など)
    ・進んでいる世界(e.g. 先進国など)
    ・身近な世界(e.g. 近所で起きているイベントなど)
    ・極端な世界(e.g. SFの世界など)
    このように「借りてくる」にあたってはまた、借りる元と貸す先の構造の類似性を理解しておく必要があることも留意する。

    類似性については、「表面的類似」と「構造的類似」の2つがあるが、重要なのは後者である(前者はパッと見でわかる類似なので、ここにフォーカスしても新しいアイディアが浮かぶ可能性が低かったり、価値が無かったりする)。
    構造的類似に気づくためには抽象化の力が必要であり、抽象化にあたっては次の方法が有効となる。
    ・一般化:ピラミッド/ツリーを上に上がっていくイメージ
    ・単純化:角ばっているところを削ぎ落し、本質を削り出すイメージ
    ・構造化:関係性に着目して先の単純化をする
    抽象化が行えれば、より遠いところの構造的類似性に気づくことができ、斬新で有効なアイディアを作り出しやすい。

    また、本書では抽象化の力のみならず具体化の力も必要であることが説かれている。
    例えば、勉強をしているときに、「なんだか抽象的でわかりにくいな…」というところに出会ったとする。そういったところは、身近でわかりやすいレベルまで具体化する必要がある。
    書物や講演等で新しく得た知識を使えるものにするためには、「わかりやすい」具体的な話を抽象化し応用できる状態にするのと同時に、「難解な」抽象的な話を具体化し理解を進める必要もあるのである。
    このように、抽象化と抽象化の階段をスムースに上り下りできるようになると、知識の応用の幅は格段に広がる。

    一朝一夕に身につく技術ではないと思うが、普段から具体的な事象は抽象化し知識としてストックし、抽象的な出来事は身近なものに置き換える訓練を意識的にやっていこうと思う。

  • アイディアの出し方を論理的に、視覚的に学ぶことができ、考え方を整理することができた。
    いろんな知識を知っているだけの物知りで終わらずに、つなげることができるアイデアマンになれるよう日々本を読み、人と喋る時にうまくアウトプットできるようになりたいなぁ。

  • 【before】この本を読む前の私は、これらを知りませんでした。
    ・「才能の最良の指標は、アナロジーに気づく能力である」ウイリアム・ジェームス
    ・アナロジーとは「複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、別分野に応用すること」
    ・新しい概念を説明する時に頻繁に利用される。これまで人類が発見してきた様々な新しい概念も、初めは既存の概念とのアナロジーで説明されてきた。
    ・アナロジーを使う3つの目的は、自分の理解・他人への説明・新しい発想。
    ・アナロジーとは、全く関係ない世界から借りてくる発想のことである。
    ・「進んでいる世界で存在するが、同じ構造だが遅れている世界では存在していないもの」を発見してその穴を埋めることで、遅れている世界にとっての新しいアイディアとなる。これがアナロジーの基本。
    ・アナロジーはアブダクション(仮説的推論)の一つである。
    ・抽象化の代表例が「数字」と「言葉」
    ・対称性(シンメトリー)が、構造的に美しいものの代表例である。我々が「美しい」と感じているのは、そこに潜んでいる構造のこと。
    ・スマートグリッド(次世代送電網)は、家庭や工場ごとにスマートメーター(インテリジェント端末)を取り付けて、電力需要を正確に把握し供給と最適にマッチングさせて電力の全体最適化を図る技術のこと。
    ・個人と組織の構造が「もはや巨大な生産手段が不要」という構造的変化を促す要因を引き金として、集中型から、再び産業革命以前の分散型に戻ってきている。
    ・ダーウィンの進化論、アインシュタインの相対性理論など革新的なアイデアが、発表時に一般に理解されにくかった最大の原因は「類似領域がない」つまりアナロジーが利かないことだった。

    【気づき】この本を読んで、これらについて気づきを得ました。
    ・アナロジー思考力の強い人は、あらゆることを関連付けて考え、全ての事象を学びとアウトプットの対象にする。
    ・個別事象を抽象化して応用することは人間の知能の基本で、高度な知的活動。
    ・時代は大きなパラダイムシフトを迎えている。物理空間から、バーチャル空間。クローズドから、オープン。ハードな結び付きから、ソフトなゆるい結び付きへ。
    ・往々にして「限られた領域しか対象のアイディアに使えない」と思い込んでいる。
    ・制約条件内だけでは組み合わせも限定され、陳腐なアイディアになってしまう。
    ・「佐藤可士和の超・整理術」大きさ・形・硬さ、全てバラバラだから整理がしにくい。BOX というフレームを設定してフォルダのように入れ子にすれば、見た目は驚くほどすっきりする。ボックス内は多少乱雑になっても構わない。
    ・アナロジーに重要なのは構造的類似を見つけること。表面的類似に比べて見つけるのが難しい分、その価値も大きい。
    ・類似性の発見に必要なのが抽象化能力。表面的類似性を意識することなく構造的類似性を探り当てる能力こそ、抽象化能力に他ならない。
    ・抽象化能力の中でも「構造化」という思考はアナロジーでは特に必要な能力。
    ・「言葉」という抽象化の武器により、人類は飛躍的な知的発展を遂げてきた。
    ・抽象化思考力が高い人には「図解してシンプルに考える、極論して二項対立で考える、例え話が上手い、美しさにこだわる」などの思考の特徴がある。
    ・現在の歴史教育を考えると、「構造を把握する」というトレーニングが不十分。
    ・「他人の開発したものは信用できない」という考え方が、オープンイノベーションが進まない主要原因となっている。まさに個人にも当てはまり「仕事を任せられない人の構図」とほぼ一致する。
    ・「忙しいから〇〇ができない」→要するに「優先順位が低い」といっている。
    ・抽象概念を扱うことは、いわゆる難しい本(抽象度の高い言葉で書かれた本)を読み、いかに身の回りの経験と結びつけて抽象概念のレベルで考え抜けるか、が問われる。数学や哲学の本を読むのは、こうした位置付けでも有効である。

    【TODO】今後、これらを実行していこうと思います。
    ・「対象領域の外側」から持って来て、アイディアの質と量を飛躍的に広ける。(これが「借りてきて組み合わせる」の意義)
    ・効率的に整理するために、適切な収納箱を用意する。
    ・単発の整理だけで終わらせず、常に意識して継続し習慣化する。
    ・整理されていないことを「気持ち悪い」と感じるようにし、継続・習慣化する。
    ・有効に収納するために、思い切って捨てる。
    ・オープンイノベーションの発想をする。(個人の強みを生かしながら、自分の弱い部分は専門家に「外注する」ことで、スピードに対応)

  • アナロジー思考とは、類推すること。知らず知らずのうちに日常的に行っていました。新しいアイデアを生み出すには、「遠くから借りてくる」=異なる分野のアイデアをその分野に落とし込む必要があることを学びました。また、日頃から抽象化思考能力を高めるために、類似点を見つけることやたとえ話を上手くする訓練が必要だと思いました。途中、わたしには難解な箇所も多く、完全に理解することはできませんでした。

  • 「アナロジー」(類推)とは、新しいアイデアを考える際に、既存のアイデアを借りてくる力のこと。例えば、他業界のヒット商品の「コンセプト」を借りてくることで、新たなヒット商品を生み出せることがある。この思考の構造や、必要となる「抽象化思考力」などについて『地頭力を鍛える』の著者が解説する。

    第1章アナロジーとは何か、なぜ重要なのか
    第2章アナロジーのメカニズムを解明する
    第3章アナロジーの基本は「構造的類似点」を探すこと
    第4章アナロジーに必要な抽象化思考力
    第5章 科学やビジネスに応用されるアナロジー
    第6章 アナロジー思考力を鍛えるために

  • アナロジーの使い方やメリット・デメリットについて解説した本
    他の世界の構造を対象とする世界に当てはめて類推する

    同じ作者が書いている具体と抽象という本を先に読んだ方が話が入ってきやすい

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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