BCG 経営コンセプト 市場創造編

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492557723

作品紹介・あらすじ

日本で設立50年を迎えた
ボストン コンサルティング グループの最新経営手法

本書で解説されているのは、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の経営メソッド。
BCGは1963年にアメリカのボストンに誕生し、初期にはエクスペリエンス・カーブ(経験曲線)、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)など、経営史に残るコンセプトを開発・発表してきた。その後に開発されたBCGの経営手法をそのOBであり、そして、早稲田大学ビジネススクール教授である内田和成氏が解説しているのが本書である。

ビジネスを取り巻く環境の変化は加速し、いくつもの変化が重なり合い、複雑さを増している。
こうした中で求められるのは、飛躍的な成長(イノベーション)を実現する経営手法、そしてそれを実現する組織能力である。
本書は飛躍的な成長を実現する戦略メソッドに焦点を当てている。
グローバル経営、デジタル化、イノベーション、リスクマネジメント、株主価値向上など、企業の本質を変える戦略メソッドがくわしく解説されている。
飛躍的な成長を実現する組織能力については、姉妹本である『BCG 経営コンセプト 構造改革編』(菅野 寛著)に詳しい。

感想・レビュー・書評

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  • BCG日本支社設立50周年の区切りとして纏められた経営コンセプト書。「新規市場編」と銘打っており、事業開発や新規市場を主とした論点でよく纏まっている。が、全体的に尖りのない一般的な話、それこそ浅い新書で拾えるレベルの話題が続く。(それでもBCGにはノウハウやナレッジの蓄積があり強いのだと伝わってくるが)しかしながらケーススタディとTSRの章はBCGの切り口や分析手法、視点などは非常に参考となる。

    それほど新しい発見に気付かされるものがある本ではないが、時代とともに役割と立ち位置を柔軟にリポジションしリノベーションしていく戦コンファームのしたたかさが感じ取れる本である。

  • 新興国市場に対する対応、デジタル化に対する戦略や、シナリオプランニング等について、BCGでの事例も含めて解説されていた。
    特にシナリオプランニングについては、生々しいシナリオにするために、どのような組み立て方をするのかは参考になった。
    デジタルやTSRについては、実際の課題に取り組む際は、語られている視点の重要性がわかってくるのだろう。

  • TSRだけでも読む価値あった。この章は今後も思考整理のために何度か読むことになりそう。

  • まず、全体的にBCGのコンサルの知見がありつつも、自社の宣伝も多かったです。

    1章
    グローバル化の話でしたが、いささか一般論すぎるかと。そりゃそうだよね。ということが多かったです。


    2章
    デジタルトランスフォーメーションとデジタライゼーションの概念がきちんと峻別できていないと感じました。デジタルトランスフォーメーションと言いながら既存オペレーションの高度化のはなしになっています。カード再発行のはなしとか出てきますが、トランスフォーメーションならカードを無くすという方向性になるはずだと思います。デジタルを使ってどのようにビジネスそのものを変えていくかに興味があったので残念でした。

    3章
    「大企業のビジネスモデル・イノベーションがうまくいかない5つの要因」というのは確かにその通りと思いました。

    4章
    シナリオプランニングはできたらいいのですが、なかなかいいシナリオが作れない。ありきたりのものになってしまうのが悩みなのですが、いささか理想論だったかなと感じました。

    5章
    「TSR」という株主のインカムゲインとキャピタルゲインを増やしましょうという話。キャピタルゲインを構成するマルチプルをどのように定義して計算するのかが肝だと思うのですが、そこはBCGのデータを使えばできます。ということで、うーんと感じました。

    いくつか重要なところはあったので、そこだけチェックすればOKかなと思いました。

  • 今のトレンドを解説している。

    グローバルにしろ、
    デジタルやビジネスモデル、シナリオプランニング
    あるいは、財務戦略にしろ、やはり大事なことは、
    何のために、誰に何を提供するか。
    そのため、どこからどう金を調達して、どう使うか。
    これが、全ての基本であろう。

    グローバルであれば、現地の人に。
    裕福層なのか、そうでないのか。
    財務戦略であれば、投資家に。グロースなのか、
    バリューなのか。
    それによって、とるべき打ち手が異なる。
    まずは、相手をしっかり理解すべき。


  •  新事業創造のお勉強。かなり教科書的。

     実際、消費者向けビジネスを営む先進グローバル企業は、広告費におけるデジタル(ペイドリサーチ、SNS、モバイル、その他オンライン・マーケティング)の比率を高めている。一般消費財(食品、日用品等)業界の先進グローバル企業は、広告費の30~45%程度をデジタルに費やしている(2014年時点)。これに比べて日本では、大手一般消費財企業でも10%内外といったところだろう。ただし、これら先進的グローバル企業でも、アドテクを使いこなせている広告主はほとんどいないのが実態である。

     よく見られる例を2つ紹介しよう。ひとつは、リターゲティングで回数多く出しすぎると効果が大幅に低減することである。…インプレッションごとに課金されているが、…全出稿の4割以上が、効果がきわめて低い10回以上の表示だった。この企業に限らず、多くの企業で、広告露出の上限回数を定めることで、無駄な費用を3~4割削減できた。
     もうひとつの例は、表示されていても、実際にはユーザーに見られていないケースだ。たとえば画面をスクロールしないと見えないような場所に広告が表示されているために、実際にはほとんど見られていない。

    ・大企業のビジネスモデル・イノベーションがうまくいかない5つの要因
    ①既存ビジネスからのしみ出しの発想で、大胆な発想がない
    ②成功体験をもとに発想し、消費者や事業者の今のニーズを把握できていない
    ③既存ビジネスへの配慮から、イノベーションのジレンマに陥る
    ④リソースの配分やアセットの活用が不十分
    ⑤関連プレーヤーとWin-Winの関係が構築できない

    ・大企業においてビジネスモデル・イノベーションを成功させるための留意点
    ①既存の商品・サービスを超えて広い視野で考え、ドメインの変更も辞さない姿勢で臨む
    ②過去の勝ちパターンにとらわれず、外向きの視線で、現行ビジネスモデルが顧客に強いている妥協を探求する
    ③短期的目標・業績との摩擦を乗り越え、中長期的な視点で組織能力を高める
    ④部門間の壁を超え、中長期的視点で最適なリソース配分とアセット活用を実現する
    ⑤外部の関連プレーヤーとWin-Winの関係を築き、エコシステムを拡張する

     抽出したトレンドは、事業インパクトの大きさ、自社の準備状況、不確実性の3つの視点で評価して絞り込む。…特に注意すべきトレンドは、自社への影響が大きいことがわかっているのに、企業として備えが不十分なものや、実際に起こるかどうか不確実なものだ。これらを「ブラインドスポット」と呼んでいる。

  • デジタル分野における事業創造の流れは次の3つである。

    1. イノベーションフェイズ
    2. インキュベーションフェイズ
    3. コマーシャリゼーションフェイズ

    現状とあるべき姿のギャップに着目する。そうしたギャプにこそイノベーションのチャンスが潜んでいる。

    ビジネスモデル・イノベーションのケーススタディとして、オーストラリアの航空会社の競争が上げられている。

    2000年にヴァージン・グループが、オーストラリアの国内線に参入した。プレミアム長距離路線のような乗り心地を低価格で提供し、またたくまに30%のシェアを獲得した。それに対して、カンタスは別組織で低コストの新しいビジネスモデルを立ち上げた。2004年に運行を開始した新しい会社はジェットスターであり、顧客が自分で食事や歯ブラシの有無などを選択できるアラカルト方式を導入することで低コストを実現したということである。2007年にヴァージン・ブルーはディスカウントモデルを諦め、ビジネス路線に主軸を移したという。

    ここでのポイントは、低価格のニーズを持つ層にターゲットを設定し、それに適した商品、サービスを展開するなどバリュープロポジションの実現のためのバリューチェーンをつくり直した事、さらにはカニバリを恐れずに別組織を設立して、自律的に運営させたことによる。いわゆるイノベーションのジレンマを乗り越えたのである。

  • デジタル分野における事業創造の流れは次の3つである。

    1. イノベーションフェイズ
    2. インキュベーションフェイズ
    3. コマーシャリゼーションフェイズ

    現状とあるべき姿のギャップに着目する。そうしたギャプにこそイノベーションのチャンスが潜んでいる。

    ビジネスモデル・イノベーションのケーススタディとして、オーストラリアの航空会社の競争が上げられている。

    2000年にヴァージン・グループが、オーストラリアの国内線に参入した。プレミアム長距離路線のような乗り心地を低価格でていきょうし、またたくまに30%のシェアを獲得した。それに対して、カンタスは別組織で低コストの新しいビジネスモデルを立ち上げた。2004年に運行を開始した新しい会社はヘットスターであり、顧客が自分で食事や歯ブラシの有無などを選択できるアラカルト方式を導入することで低コストを実現したということである。2007年にヴァージン・ブルーはディスカウントモデルを諦め、ビジネス路線に主軸を移したという。

    ここでのポイントは、低価格のニーズを持つ層にターゲットを設定し、それに適した商品、サービスを展開するなどバリュープロポジションの実現のためのバリューチェーンをつくり直した事、さらにはカニバリを恐れずに別組織を設立して、自律的に運営させたことによる。いわゆるイノベーションのジレンマを乗り越えたのである。

  • BCG元日本代表の内田和成氏の本。著書多いイメージ。「仮説思考」とか。

    感想。うーん、頭のいい人は、こうビジョンで全体感を語り、そこで網羅されてるでしょということなのか。話が大きすぎて、市場創造の素人の私にはなんだかピンと来ず。

    備忘録
    ・アジア全体で同じ売上高あげる場合、少数の国に集中してしてシェアをあげる形の方が収益性が高い。
    ・S字カーブの前倒し。
    ・新興市場に挑む場合には、成熟市場の日本と同じような成長スピードで事業計画を考えていると、主に供給面で見誤る。
    ・海外M&Aのガバナンスでは、任せすぎても、手を入れすぎても失敗する。信頼と透明性が大事。
    ・シナリオ検討時にはメガトレンドを抑える。
    ・TSR(株主総利回り)とその分解は初見。
    TSR=キャピタルゲイン+インカムゲイン。
    キャピタルゲイン=利益成長+マルチプル変化。
    利益成長→PL、マルチプル→戦略やIR。
    インカムゲイン→フリーCFや財務戦略。

  • BCGの経営のコンセプトについての本。
    いまのトレンドが反映されており、なかなか面白かった
    <メモ>
    ■グローバルアドバンテージ
    新興国で勝てるビジネスモデルの構築
    会社におけるポートフォリオマネジメント
    グローバルガバナンスの構築
     が必要

    ・デジタル時代の新規事業開発には一貫して自社で関与しコントロールすることが求められる

    ・まずは収益性よりストーリーを重視して評価する
    開発はMVPミニマムバリューポイントに絞って取り組む。
    ・ウォーターフォール型ではなくアジャイルで高速ピボットを繰り返して開発する

    ■ビジネスモデルとは
    バリュープロポジジョンとオペレーションモデルの組み合わせ。
    誰に対していくらでどんな価値を提供するか。それをどのような体制で実現するか。
    バリュープロポジジョンはターゲット 商品サービス 収益モデル
    オペレーションモデルは
    バリューチェーン、コストモデル、組織構造

    ■ビジネスモデルイノベーションがうまく行かない理由
    1 既存の延長、大胆でない
    2 成功体験に牽引され顧客が見えてない
    3既存への配慮
    4投資が不十分
    5 関係者と適切な関係構築できてない

    新規事業は既存とは組織を分けつつ、意思決定者は共通させる、適宜連携する会議体を持つなど、既存アセットも活用できるようなバランスをとって進めることが重要

    ■シナリオプランニングの良いシナリオの条件
    非連続で想像力をかきたてられる
    複数のシナリオが包含されている
    自社事業の将来のあり方を大きく変えている

    ■トレンドはインパクトのおおきさ、不確実性の大小、自社の準備状況から絞り込む
    特にインパクトが大きく不確実性が高いまたは準備ができてないものに優先的に取り組む

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著者プロフィール

早稲田大学名誉教授。東京大学工学部卒業後、日本航空入社。在職中に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。同社のパートナー、シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。
この間ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心にマーケティング戦略、新規事業戦略、グローバル戦略の策定、実行支援を数多く経験。2006年度には「世界の有力コンサルタント、トップ25人」に選出。
2006年、早稲田大学教授に就任。早稲田大学ビジネススクールでは競争戦略やリーダーシップを教えるかたわら、エグゼクティブプログラムに力を入れる。早稲田会議創設。早稲田大学ビジネススクールと日本経済新聞のコラボレーション企画『MBAエッセンシャルズ』創設。
著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』『ゲームチェンジャーの競争戦略』『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『意思決定入門』(日経BP)など多数。

「2023年 『アウトプット思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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