- Amazon.co.jp ・本 (55ページ)
- / ISBN・EAN: 9784494021338
感想・レビュー・書評
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北海道の人と馬を巡る絵本。
池田良二の木版画から、北の大地の広大さと静寂を感じる。
暴力は迷信や戦争の形で現れる。暴力を前に言葉を持たない馬や心優しき人は何ができるというのでしょう。
川で馬を洗っている人と馬の静かな幸せに満ちた情景に、日常の暮らしの愛しさが伝わってくる。それは、多くの言葉を重ねるのと同じくらい、それ以上に雄弁に暴力の悪を訴えているように思える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3本だけ足首の白い馬、“三本白”。不吉だとされる三本白に生まれついたソンキを、父と不仲になってまで、兄は命を救って育てた。
太平洋戦争末期、出征して間もない兄がひょっこり帰ってきた。その翌日、兄は死んだ。可愛がっていたソンキに蹴られて……。
図書館本。
戦争や因習、価値観の差などをひそやかに問題提起した作品。あえて分類するならヤングアダルトだろうか?高校生以上の鑑賞にも耐える作品だと思う。
おさえめの文体に、具象と抽象の中間のような銅版画がよく似合う。現実的な話に幻想的な雰囲気を添えている。 -
兄と三本白の馬ソンキの姿がずっと心に残る,美しく悲しい思い出.父親の不器用で身勝手な愛も哀しい.版画と物語が響き合ってしみじみといい絵本だ.
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烏兎の庭 第三部 雑評 5.10.08
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/bunsho/sapporo.html -
とある縁があって偶然知りました。
重い、重い、そして悲しいお話。
「馬と、体格の悪いひとりの青年とを殺したのは、いったいだれなのだろう。」(本文より)
最後のページを捲ると、祈りのようなものを感じる。
語りたいことは沢山あるのだけれども、私が言葉を重ねるだけなんだか遠く離れていきそうな感じです。 -
わたくし、お仕事柄児童文学にかかわる本を扱うことが多いのですが、この作品は『中学生はこれを読め!』という推薦図書冊子から知った一冊です。ほんとうにすぐ読むことができますが、ラストの三行の意味をじっくり考えてみたり、全体にわたってこげ茶色のトーンに自分の気分を重ね合わせながら読んでみたり、、、短いながら考えさせてくれる本です。イメージが表示されないのがもったいない。。。
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…正直、どうレビューを書いたらいいのか、悩みます。<br>できるだけ先入観なしで読んでいただきたいので。<br><br>馬が好きな私は、ただタイトルの『馬』に惹かれて書店で立ち読みし、そのまましばらく放心状態で立ちつくしていました。<br><br>
戦争にまつわる物語のうち、いちばんにお薦めしたい一冊。馬の版画がたいへん美しい絵本です。 -
馬が昔労働の担い手だった頃の悲しい話。こんな衝撃的な本は読んだことがありません。大人のための絵本。版画も素晴らしい。