医学部に行きたいあなた、医学生のあなた、そしてその親が読むべき勉強の方法

著者 :
  • 中外医学社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784498048546

感想・レビュー・書評

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  • 岩田さんが受験指南書?と思い手に取ったら、ある意味予想通り、「医者よそのままで良いのか」本でした。研修医指導に関わってる方に呼んでもらいたい一冊。

  • WX018

  • 岩田氏の研究費のために購入しました(笑)。
    医学生に限らず、学生のときは目の前のテストを追っかけるだけで精一杯。
    そんな学生への提言であるが、理想だよね~、で、終わりそう。
    それでも、目指す地点を知っているのと知らないのとでは全然ちがうだろう。
    そして、私のような年の者にもいえることなのである。
    どうして?という思いはこれからもクチに出していくぞ!(笑)

  • 息子が医学部を受けたいと言ったこともあって手に取った本。しかし、医学生というよりも、日本の受験エリートとそのシステムに対する批判の本として読むべきなのかもしれない。

    「医学生は質問に答える能力は極めて高く、そして質問する能力はとても低い」というのは、そのまま受験エリートや、さらには日本のビジネスマン全般に当てはまる。そして、かつて受験勉強を得意としてせっせと勤しんだ自分にもそのまま当てはまる。そして、いま受験勉強をせっせとしている息子にもきっと。

    世の中にはわかっていないことの方が多い。特に医療の現場ではそうだ。質問する能力が、医者という職業においては非常に重要であるにもかかわらず、受験エリートでもある医学生にはその能力が欠如してしまっているということだ。
    もちろん、医療の現場以外でも当てはまる。「現実社会では「正しさ」ははっきりしていないことのほうが多いのだ」

    確かに海外では、何か質問はないかと言われたときに、ひとまず手を挙げることから始まる。生徒は、最後に質疑のやりとりをすることを前提として講義を聞いているし、質疑によって新しい何かを見つけたり、その日の講義の印象を強くすることができるということも知っている。ときには、何でそんなことを聞くのかという質問もあるが、それも含めて質問するという姿勢と能力が培われているように思う。また、先生の方も質疑でのやりとりを含めて全部を講義と考えているし、質疑応答の技術も先生に必要な技術のひとつと心得ているようだ。『ハーバード白熱教室』でのサンデル教授の講義でのふるまいも職業としての技量として持っているものだという印象を受ける。そして質問をする、自分は無知であり、それを補完するためのコミュニケーションを求めるという姿勢は絶対的に必要な資質であるように思うのだ。

    言ってみれば、受験にパスするためには効率的な勉強法を身につける必要があり、そのため医学部に集まった学生は効率的な勉強を身に付けることができた人間だけが集まっているということができるのかもしれない。質問をする、好奇心を持つ、というのは効率的な勉強にはマイナスに働く。効率的な勉強法は、学問に対する姿勢としては決して優れたものではないのに。さらに悪いことには、日本の学生が入学した後、努力することを怠る傾向にあることだ。著者は、学生だけではなく医局の先生についてもそれは当てはまると言う。本職の医学的知識だけでなく、日本の学生が英語ができないのは、受験で点数を取るためだけではないコミュニケートするための英語を勉強することが苦手だからなのかもしれない。

    著者は、受験の弊害として他者との比較についても言及している。他者との比較が嫉妬心を呼ぶ。それは何も生み出しはしないのに。

    何だかこれまでの自分の反省の方が強くなってしまった。個人的にはある意味でぐっときた本。


    そう言われると武蔵高校の教育方針っていいなと思ってしまう。


    『名門校「武蔵」で教える 東大合格より大事なこと』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087208974

  • おお、岩田先生が勉強法、子育て法のマニュアル本を!?と思ったら全然違った。
    最後には医学部にまぁ行かなくても良い、とか言い出す始末。
    確かにまぁ単純なマニュアル本は書かなさそうよね。

    むしろそんなマニュアル化した勉強、現状に対する強烈なアンチテーゼ。
    勉強の本質とは、一生楽しめる勉強とは、を掘りさげた内容。

    頭が良いの定義によっては「医者は案外頭が良くない」とか「勤勉でない」といった論考は大いに首肯させられるものでした。
    何よりページターナーで最後まで一気に読ませてしまうところが良い。
    楽しく刺激的な読書ができました。

  • [三葛館医学 490.7||IW]

    拝啓、医学部生のみなさま。今週は、みなさまにとってなかなかに耳の痛い本が入ってまいりました。
    本書の著者は神戸大学大学院に在籍される先生ですが、
    以下の目次からも伺えるように、現代の医学部生の有りようや学力について憂慮されておられるようです。ご自身が在籍する大学についても手厳しく批判されていて
    読んでいるこちらが心配になるほど。
    入学当時のフレッシュな気持ちが薄れてしまった方、最近、モチベーションが上がらない、など気の弛みを自覚されている方は、ぜひ本書をお読みになって入学当時
    の向学心を取り戻されてみてはいかがでしょうか。

    目次------------------------------------------------------
    なぜ今、医学部なのか
    医者は実は頭がよくない?
    英語力のない日本の医学生
    『学問のすすめ』はアンチ学問的
    シラバスが壊す好奇心
    「質問する能力」と臨床医療
    「頭がよい」とはどういうことか
    なぜトンデモ科学にだまされるのか
    「わからない」は、本当にわからないか?
    〔ほか〕
    ----------------------------------------------------------

    (ゆず)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=90143

  • タイトルだけだと一見ハウツー本と誤解されるかもしれないが、全く違うもので、いまの日本人みんなに読んでほしい本。勉強するとはどういうことか。知性とは?コミュニケーションとは?効率って?質問することの大事さ。など勉強の本質についてとても納得させられる。日本人の医学生・医者は圧倒的に努力が足りない、それは怠惰だから、と辛口な話から始まるが、これを読むと筆者が暖かく応援してくれているのがわかる。高校生の時に読みたかったな、けど、今気づけてよかった。

  • わかりたい、と、思って読んでいるし、「相手(岩田先生)の言いたいこと」が、自分の考えている方向性と似ていることもあり、「抗菌薬の考え方、使い方Ver.3」ほどの衝撃は受けないまでも、知性や質問する能力、飛躍について考えさせられた。

    また、今の悩みの一つである、子供の育て方として、良い質問をすることができるような、事象についての疑問の持ち方について、「頭がよい」指導者たる対応が子供に対してできているか?について、ヒントをもらった気がする。

    一つだけ決定的に違うのは、「嫉妬」に対する考え方。時間の無駄とのことだが、私からすれば「嫉妬」を前向きにとらえ、その人を超えられるように、努力の原動力にしたい。

    医師ほどではないが、薬剤師も専門職の端くれとして、同意する部分が少なからずあった。私自身は、テストが嫌いで、テストをパスする最低限の勉強しかしてこなかったが、大人になって自由に勉強できる立場となり、学ぶことを楽しく感じる。とは言え、岩田先生程の努力は無く、言語に対する感性もいまいちであり、これからの努力に期待したい。

    最後までクリティカル・リーディングしたつもりである。本の残りを意識して、最後の方は読了が目的ではなかった読書であったと思う、多分。

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著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。著書に『コロナと生きる』(朝日新書、内田樹との共著)、『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル新書)ほか多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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