なぜ、その「決断」はできたのか。

著者 :
  • 中央経済社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784502458101

感想・レビュー・書評

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  • 福島原発事故の際、未曾有の事態に対処した東京消防庁ハイパーレスキュー隊。彼らを率いたリーダーの記者会見を見て驚いた。政治家たちが右往左往する中で、落ち着いて分かりやすく説明する姿に感服した。
    本書の著者はまさにそのリーダーである佐藤康雄氏。1952年生まれの氏は東日本大震災当時59歳。陣頭指揮をとった直後の2011年3月末で定年退職した。
    本書は序盤からずっと氏の消防人生が語られる。時系列で段々と階級が上がっていくのだが、退屈であった。最終盤でようやく福島原発の話になった。そこからは一気に加速した。東京電力とのやり取りや自衛隊との協力体制など、著者でなければ語れないような話が展開されていた。
    2022年現在、氏は70歳。講演会など活躍されているようで嬉しい。記者会見に同席したハイパーレスキュー隊の冨岡豊彦隊長ももうすぐ定年で、今は小石川署長を務めている。
    アムンセンの言葉に「完全な準備のあるところに常に勝利がある。人はこれを幸運と言う。不充分な準備しかないところに必ず失敗がある。これが不運と呼ばれるものである」とある。厳しい言葉だ。

  • 消防士さんの本なんてまず手に取らないものですが、元上司が手がけた本ということもあり、気になって読んでみました。

    消防という、企業とは違う環境なれど、この先の職業人としての人生を少し先取りできた感じがします。一番の違いは「階級」制度。意味を知ってるようで知りませんでした。
    そんな違いがある組織での出来事ですが、企業社会といえど、同じ人間社会。新人のときから退官を振り返っていて、この本でいうと中ほどの30代半ばを過ぎた自分にとっては、仕事への取り組みで参考になる体験がたくさん描かれてました。

    そうそう、最後の震災対応の部分では、コスモ石油の火災は職場からまさに火災発生を目撃して(地震とは関係なかったようですが)、当時はものすごい事態になってると不安になったのを思い出します。
    ついでに、免震重要棟の存在を知らせなかったなど、東電の体質を物語るエピソードもあり、東京消防庁の震災初期対応の記録としても貴重なものかもです。

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