組織デザイン

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532110239

作品紹介・あらすじ

有効に機能し、生産性が高い組織に共通する仕組み(論理)を理解することが、組織を作り出すためのはじめの一歩である。組織デザインの原則を理解すれば、現在の組織の問題点も見えてくる。本書では、組織をデザインする際、カギとなる要素として、仕事をどのように分業、調整するかに注目し、解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 以下のブログに刺激されて読んだ。
    https://note.com/fujimuradaisuke/n/n75b4018c5896

    理論から具体例、数字による例示、また社員の心理的な側面まで幅広くカバーしており、自社の組織デザイン検討にとても役立った。
    職位の低い社員にも上流の戦略、目的について考えさせる為に機能別分業ではなく事業部制やマトリクス組織を作ることが有効という考えは納得。組織が肥大化すると効率化のために機能別分業になりがちだが、自分の経験的にも全体を見渡せる業務経験につくことが視座を広げる最も有効な手段だったので、是非若手もそうした経験ができるようデザインしていきたい。
    組織を複雑化させすぎると意思決定に支障をきたすという点は気をつけねばと思った。私自身検討の抜け漏れを防ぐ為ついつい連絡会などのインフォーマルな会議体を設けがちだが、それはそれでメリットがあるにしても意思決定のヒエラルキーはシンプルに維持しておく、というのは肝に銘じておきたい。
    水平関係の為に設置されがちな調整担当が奇妙な権力を生むことがある、という点はアメリカでPMO (project management office)という部署に触れて強く感じた。プロジェクトの進行を差配するが故にPMOの理解が得られないと話が進まない。実際のところPMOは業務に詳しいわけでは無いので正しい判断ができないことがしばしばあり、円滑なプロジェクト推進を妨げるケースが多いが、リーダー的な立場だと思っているのか周りも強く言わないからか権力が強く、対応に苦慮した。顔を突き合わせて会話が難しくルールで縛るしか無いアメリカの特徴もあるが、組織の複雑化に伴いプロマネ手続が煩雑になっていることに由来しており、手続の簡素化を進めてシンプルな判断ラインを作ること、他チームと直接摂政の機会を設けることなど紹介されている解決策をとっていた。
    マトリクス組織を作ると嫉妬を生む、という点は、社内でもダブルハットの業務が際限なく増えているので留意せねばと思った。組織デザインは上下関係や評価と不可分なので、こういう心理面にも配慮して考えなければならいことを気づかせてくれた。

  • 組織設計(組織デザイン)の教科書的な本
    どのように組織(体制)を作るか。どう考えるか。
    セオリーや型。その崩し方。等々。
    実際に考えて悩んできた内容が学問として
    体系だてられて書かれてある。
    若干、教科書的な文体でわかりずらい面も
    ありますが。それを差し引いても、実学書としては
    非常に良書だと思います。

    ①分業のタイプ(垂直分業・水平分業・機能別分業・並行分業)の特徴と
    科学的なメリット・デメリットの分析
    ②事前の調整として標準化
    ③作業の流れ(処理プロセスのスムーズな連動・生産工程・バッチサイズ)
    ④ヒエラルキーのデザイン(事後調整手段としての・管理の幅・例外処理)
    ⑤水平関係とその追加的措置(ヒエラルキー組織の調整事項)
      情報処理機会の削減-環境マネージメントと戦略的選択・スラック資源)
      情報処理能力の強化-情報技術への投資・水平関係の設置
      水平関係の設置-直接折衝・調整担当職(リエゾン)・連絡会研究会の設置・プロダクトマネージャーの設置・マトリックス組織・小さな事業部

      事業部制と機能別組織とそのマトリックス組織
    ⑥結びに変えての部分は非常にまとまっていてここだけを教科書として
     読んでも非常に有用であると思います。

  • なるほど、この人は、全体としてよくオーガナイズされていて、論理(筋)と整合性を非常に大切にした記述をしています。おそらく著者も厳しいくらいに論理立てを意識しているのだと思います。読んでいて、とても好感を持つことができますし、分かりやすく、腹に落ちます。いいんじゃないでしょうか。

    自分の会社もかなり頻繁に大掛かりな組織改正をする会社だと思いますが、この本を読んだ後では、振り返ってその(少なくとも表向きな)意図が何となくわかるような気がします。まあ、それは気のせいなのかもしれませんが、機能別組織、事業部制組織、プロジェクトチームなどの一般的なメリット・デメリットくらいは意識できてないといけないのかもしれないです。

    『組織構造は戦略に従う』(チャンドラー)そうなので、少しはその辺りも考えて仕事ができるようにならんといかんのかな、と思わされました。

  • 組織デザインというと、どのような部門を設置して、部門間のレポートラインをどのように引くかといった、組織内のヒエラルキー構造の設計をイメージしていたが、本書では組織の特徴整理から始まり、組織の基本類型や効果的に機能させる方法等、組織デザインの本質について解説がされており、気づきが多かった。

    曰く、組織は「分業」でなされた仕事を一つに纏め上げて「調整」していくためのものなので、「分業」と「調整」が特徴となる。分業には事業軸/機能軸の2つがあり、調整手段としては、標準化とヒエラルキーがある。中でも、事前の想定が難しい事象に対する調整手段として、ヒエラルキーが効果的とのこと。
    組織デザインの全体像を把握できていれば、分業態勢や標準化度合いでヒエラルキー強度を調整する等、より納得感の高い説明も可能で、仕事でも役立ちそうな気がした。

  • 既存組織のアレコレを体系的にまとめてあり、ざっと全体を押さえるには良書。ただとにかく文章が読みづらい。サッと頭に入ってこない。帯にある通り「テキスト」。机に座ってしっかり勉強する本。もしくは「ん?」と思ったときに辞書的に使用する本。

  • とても面白かったです。

    ・組織的とは、分業と調整という特徴をもつ
    ・分業とは、役割を分化させること
    ・調整とは、多様な役割の時間的・空間的な連動を確保する努力
    ・組織デザインとは、分業と調整手段のパターンである。極めてトレードオフな関係の中で、現実的なバランスをとっていく作業。
    短期効率↔︎長期蓄積、現場の主体性↔︎組織の統率、等

    「組織という非常に複雑なシステムを設計する為には、原理原則に通じた現実主義者にならなければならない。」p24 ↔︎単なる事情通

  • 組織のあり方について基礎から学ぶことができて非常に良かった。オリを見て再読したい。

  • 文章的には少し読みにくい。
    しかし、組織というものを知る、学ぶ、そして考えるためにはとても有効な一冊だと思う。

  • あまりよくわからなかった。抽象的だからだろうか。

  • 良くまとまっていて好き。折に触れて読み返したい。
    組織的とは分業と調整である、って定義がまず好き。
    ヒエラルキーを否定的に書くんじゃなくて、必要なものとして書いているのも最近のなんちゃって組織論との違い。

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2023年 『わかりやすいマーケティング戦略〔第3版〕<2色>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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