日本的雇用慣行の経済学: 労働市場の流動化と日本経済
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (1997年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532131340
感想・レビュー・書評
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「日本的雇用慣行」として一般的に理解されている雇用システムがある。例えば、終身雇用や年功的賃金や企業内労働組合などである。
その中身と同時に、何故、こういうシステムが出来上がり、長期間続いたのかについては、学者の間にも見解の相違や議論があるようだ。
この本の筆者は、日本的な雇用慣行が出来上がり、それが続いたのは、日本文化固有の理由などではなく、それが経済合理性を有していて、また、雇用システム以外の日本的な経営システムと補完性を有していたから、と主張している。私もそう思う。
経済合理性に合わせて出来上がったシステムは、合理性を取るべき、経済の側の事情が変わったら、変化していかなければならない。日本的雇用慣行が、高度成長期に形づくられたものであるならば、今の日本の経済の状態は、あるいは、雇用動向・人口動態は、当時と大きく変わっている。低成長、高齢化、人口減少など、状況は大きく変わっている。
本書は、その変化の一つの可能性として、雇用の流動化の進展をあげている。そうなるであろうことを、経済学的に予測・分析した学術書。
一読、イシューが、よく整理されていて読みやすく、問題の本質が分かりやすい本だという感想。
1997年の発行、20年以上前の分析なので、状況認識などが、いかにも当時のもの、という部分もあるが、それは仕方ない。
この20年間で、日本的雇用慣行は、もちろん変わった部分もあるが、変わっていない部分もある。私などは、経済の側の変化に比べると、雇用システムの側の変化のスピードは、ゆっくりだなぁと思うが、筆者がどう感じているか、ぜひ、聞いてみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の雇用の歴史と問題点は、これを読むとほぼ理解できるのではないかと思う。
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分類=経営・労働・雇用慣行(日本)。97年1月。