オランダモデル―制度疲労なき成熟社会

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著者 : 長坂寿久
  • 日本経済新聞社 (2000年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532148218

オランダモデル―制度疲労なき成熟社会の感想・レビュー・書評

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  • オランダモデルと言われるようになったオランダのパートタイム革命。パートタイムと正社員の賃金、社会保障格差を無くした。夫婦で働くとき、2.0or1.0でなく、1.5の働き方が増えた。正社員が同じ仕事量のまま週4日になったなど、良い所だけではないかもしれない。

    オランダの国としての特色が網羅的に記述されていて興味深い。

    ・移民が暮らしやすい。オランダ内で日本人街を作ると、代表の顔だけはっきりしていれば、容認してもらえる。

    ・政治において、キリスト教派と川の流れによる地政学で主に4つの強固なソサエティがある。

    ・子供の意見を政治に取り入れる事に力を入れている(教育的に)。国連会議にきちんと子供代表を率先して送った数少ない先進国だし、子供に理解できる説明を求め、子供が必要だと思った活動にODAを支給したりしている。

    ・安楽死、ソフトドラッグは、許可されている訳では無く、グレーにして管理している。マリファナは輸出入、生産、販売は違法だが、使用に関しては違法では無い。むしろ、依存症と考え、代替のメタドンという薬品を病院で無料入手も可能。マリファナを吸えるコーヒーショップも、一定のガイドラインを守れば、起訴を見逃す、という形で管理している。安楽死もガイドラインを守れば、起訴されないという管理。インフォームドコンセントにより、患者が熟慮し、真摯で継続的な申し出があり、回復不能で耐え難い肉体的、精神的苦痛が存在し、他の医者との相談の上でならば、医者が安楽死させても、「起訴されない」。

    ・空港と港湾のインフラがとても良く整備されている。治水の歴史からインフラの整備が文化とも感じられるくらい徹底している。その物流の力があるので、ヨーロッパの生花市場をアフリカの安い生花と闘っても存続できる(生花は鮮度が命なので)。

    さて、このような社会の特徴は国の成り立ち、文化、が大きい。日本がアメリカナイズされる傾向というのは、お互いに文化の尊重が少ないからなのだろうかと、ふと思わされた。

  • 「最後に柱状社会的伝統についてのわたしの実感を述べたい。オランダで三年半暮らしたが、前任地のシドニー(オーストラリア)やニューヨーク(アメリカ)と比べてじつに精神的に自由であった。・・・。日本人的であることを許されながら、オランダ社会に溶け込んでいけるという寛容性を感じるのである。これが、日本人がオランダ社会で住みやすい理由であり、駐在員がほかの国よりも好きになる大きな理由の一つだと思っている。」(p.81/82)
    この人はオランダが好きなのであり、気に入ったのであり、性が合ったのである。揶揄する気はない。むしろこのことにこそエスニック・ツーリズムを行う意味があるのである。日本人は避けようもなく日本人的であるが、日本人のバリエーションは広く、各人は多少なりとも異質なものを持ち、日本文化に違和感を抱えているはずである。他のエスニシティーに接し、その文化が多少なりとも性に合えば、そのままでは後ろめたさとなりかねない日本文化(文化体験が日本文化のみの場合は=世界文化)への違和感が、自己肯定感となり、その個人内部の文化が文節化するのである。このメカニズムを通じて「観光客を媒体とした異文化の伝達と吸収が行われる」(小沢健市、「観光の影響・効果Ⅰ」、『観光学』(塩田正志・長谷正弘編著)、1994年5月、同文館、東京、p.194)のである。

  • 気になる。読もう。

  • 日本に、そっくりそのままオランダモデルを導入することは難しいかもしれないけれど、今後の日本の進むべき方向性に大いに参考になるオランダ。考えさせられる1冊であることには、間違いない。

  •  著者の長坂寿久氏の豊富なオランダでの経験と熱く明瞭な分析に、オランダの市民社会を短期間で理解することができます。海抜ゼロのオランダが治水の歴史のなかでつくってきた市民社会は、まさにリアルなソーシャルメディアです。そこでは、自由であることと引き受けていくことが同じものとして考えられており、その成熟した市民社会の姿に感銘を受けました。
    オランダは「柱状社会=ピラーソサイエティー」というものを形成しています。それぞれの地域でコミュニティが独立しており、それぞれの違いを認めています。素敵だと思うコミュニケーションがたくさんあり、コミュニティの質として大変成熟しています。拙著「ソーシャルメディア進化論」で指摘した、日本社会が抱える問題点のひとつに「繭化」というキーワードがあります。柱には天井を支えるという共通の目的がありますが、繭にはそれがありません。これらについての理解がなければ、私にはソーシャルメディアの未来をイメージすることは難しかったでしょう。

  • 「自由の国」オランダ

    古い固定概念の悪いイメージしかなかったけど

    ま、でもまた悪い方向に向かってるらしいとも聞くのでちょっとやるせない

    キーワードは「コンセンサス(合意形成)」

  • マリファナの所持を1976年から合法化しているオランダの背景についてある程度、客観的に書かれた本です。

  • ワークシェアリングの成功例として、オランダモデルを知りたかったので読む。2000年に書かれた著書。

    かつて‘オランダ病’とまで言われていたオランダだったが、‘オランダの奇跡’とまで言われるほど、雇用労働形態の改革が成功を収めた事例が印象に残っている。
    パートタイム労働者の賃金を正社員と同じに引き上げ、パートを選ぶか正社員を選ぶかは、個人の意思に任せ、様々な労働形態を生み出した。
    それにより、夫婦で1.5人分の給料を生み出すことができるようになり、雇用の安定が生まれたとのこと。
    オランダモデルをそのまま、日本に取り入れることは賢い行為ではないが、成功している形態をしることは、自分達の成功に向けての一つのヒントになるだろうと感じる。

    オランダでは、売春とソフトドラッグが合法であることの説明が印象に残っている。まず、‘飾り窓’と言われる売春であるが、人間にはグレイゾーンと呼ばれる部分が必ず必要になるという考えの元、これを取り締まらないとのこと。それは、グレイゾーンにしておけば、ある程度の監視が出来るからである。それは、申請式にし、税金を納めることを必須とすること等である。そうすれば、これらの人達はマフィアに流れることなく、秩序を守れるということにつながる。ドラッグにおいても同様のことが言える。少しはめを外せる場所を設けておくことで、それ以上にはめを外すことはなくなるのである。といった具合の説明である。日本にも風俗があると思うと、同じことなのではないかと思う。ドラッグについては納得できないが、拡大解釈をもてばタバコと同じことなのだろうと思う。

    オランダが‘寛容の国’といわれる根拠が印象に残っている。「ドイツは民族(人種)によってドイツ人たるが、オランダ人は信条によってオランダ人たる」。オランダはマイノリティの組織化の自由が完全に認められている背景を考えるとこの言葉は簡潔に的を得ている。

  • <a href="http://loggedreviews.blogspot.com/2009/02/living-extra-small-living-nice.html" target="_blank">read review: レビューを読む:</a>

  • オランダの「コンセンサス」のシステムが、
    多様な意見を取り入れて考え、実際的な解決を求めていることが印象的。
    例えば麻薬については
    「麻薬が合法とされている国」という誤解があるが、
    何でもかんでも禁止とせず、根絶できないなら被害を最小限にする、
    というのが基本的な考え。
    つまり、問題を顕在化させることで当局が管理できるようにしている。
    しかしその一方で、教育課程での指導の徹底、麻薬中毒者への支援体制など
    警察や各省庁との関わりの深さは見逃してはならないと思う。

    個人の意見を大切にし、周囲がサポートする制度は
    教育システムとあわせて見てみると一貫性がありわかりやすい

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オランダモデル―制度疲労なき成熟社会の作品紹介

「オランダ病」から「EUの優等生」へ-膨大な財政赤字と高失業率を克服した「賃上げ無き雇用創出」はなぜ可能となったのか。政府=NGO=企業という「奇跡」を生んだしなやかな連携。

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