戦略の本質: 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2005年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532165291
作品紹介・あらすじ
戦後60年の戦略不在に終止符を打つ!大逆転を生み出すDNAを戦史から解明。
感想・レビュー・書評
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1.購読動機
戦略。ちまたにあふれる言葉。
定義の理解をしたかったため。
2.結論
戦略とはどの領域でたたかうか?
そう、戦いかたではなく、勝てる領域を選択することがポイントである。
勝てるか?は未知数。
したがって、要素は自社が詳しい領域であること。
3.2.が具体的に理解できる戦事。
毛沢東、そしてスターリングラードの戦い。
どちらも、地の利を生かしている。
特に後者は最後の砦での戦い、市街戦だ。
当時の読了後の興奮は、20年以上前の世界史の授業に加えたいエッセンスである。
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◆戦略とは、「何かを分析することではない。本質を洞察し、それを実践すること。認識と実践を組織的に綜合すること」である。
◆戦略を左右し、逆転を生み出す鍵はリーダーの信念や資質にある。日本のリーダーには、徹底的にリアリズムが欠落していると同時に、理想主義も貧困である。優れた戦略的リーダーは、これらを同時に達成している。リーダーには、理想主義的リアリズムが求められる。
◆戦略論は、人間世界を研究対象とする社会科学の一分野である。自然科学との重要な差は、対象としての人間が意図や価値を持ち、その実現にむかって思索し、予測し、行動し、修正し、環境の影響を受けつつ、環境を変えていく、能動的・反省的な存在である、というところにある。人間の世界を対象にしているということだ。
◆人間は、主体的にコンテクストや状況を察知し、その意味を言語化し、ダイナミックなコンテクストの中で持てる知識や技能を行使していく。人間の世界は、客観的事実ではなく、その都度コンテクストに依存する「解釈」によって成り立っている。一方、自然科学は、事象を特定のコンテクストから独立させて捉え、普遍妥当の原理原則を追及する。人間と人間世界の洞察なしに戦略の本質をさぐることはできない所以だ。
◆賢慮型のリーダーは、環境や現場を直感する。生きたコンテクストを分析的に対象化するというより、その中に身をおき、細部の語りかけを察知する(認知科学でいうアフォーダンス)。同時に、自らの哲学、歴史観、審美眼を綜合したビジョンにもとづいて、直感を大きな潮流(全局)と関係づけ、現実の本質を洞察する。
◆綜合されるべきものは、科学的知識としての理論的なknow why、実践的なスキルとしてのknow how、そして実現すべき価値(達成すべき目的)としてのknow whatである。これが戦略、リーダシップの本質を考える根底にある。
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途中まで読んだ放置していたものを読了した。
久しぶりに書物を精読した。というのは、近現代史に関する知識が欠けているために、それらを補いながら読んだためだ。
例えば、中東に関して。
第二次世界大戦のときにイギリスは二枚舌の外交を行う。ユダヤ人に対して建国の支援を、アラブ人に対してもオスマン帝国からの独立を約束して、戦争支援を取り付ける。その約束が果たされないと悟ったユダヤ人は、シオニズム運動によって1948年イスラエルを建国する。それに反発したアラブ人は建国の翌日からイスラエルに侵攻し、第一次中東戦争(パレスチナ戦争)が起きる。その後、1956年にエジプトがスエズ運河を国有化した第二次中東戦争(スエズ動乱)。1967年にイスラエルがシナイ半島を奪った第三次中東戦争(6日戦争)。そして、1973年に第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争)が起きる。本書はこの第四次中東戦争を仕掛けたエジプト・サダト大統領の戦略に注目する。和平のために限定戦争を仕掛けた彼の天才性に感服した。 -
38656
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東2法経図・6F開架:391/N95//K
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戦史好きには、たまらない本と思う。有名な近代戦に一端に触れることができ、好奇心を満足させることができた。特にエジプトにおけるサダトの働きはには感心した。こういうのが政治というのだろう。日本の政治家からは想像できない話しであると思った。
本としては、入れ込み過ぎの研究書になっていて読みにくい感じが拭えないのは、ご愛嬌か。 -
太平洋戦争(日本vsアメリカ、ソ連vsドイツ、イギリスvsドイツ)、、ベトナム戦争、中東戦争、毛沢東vs蒋介石等の戦略の分析。小が大になぜ勝ったか、もしくはなぜ勝てなかったか(勝てなかったのは日本だけ)の論理展開はなかなかのもの。歴史書としてもどうぞ。