勝海舟と福沢諭吉: 維新を生きた二人の幕臣
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2011年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532167844
作品紹介・あらすじ
幕府の軍艦・咸臨丸でともに渡米して四十年。在野で文明開化の旗手となった諭吉は晩年、なぜ武士道を賛美し海舟を厳しく批判したのか。近世から近代へ。日本の何が変わり、何が変わらなかったのか。
感想・レビュー・書評
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/56150 -
テーマ、視点、切口、意外性、とても素晴らしく、当事者の手紙等の引用も客観性の創出を感じられるが、新書版で必要十分。
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今年、たまたま「氷川清話 (講談社学術文庫)」と「学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)」を読んだんで、まとめ的に読んでみた。
人物的に好き嫌いでいえば、断然に勝海舟の方が人間的に面白いと思うが、いずれにしても当時の人達はホント若い頃からメチャ勉強してたんだな....ってのを再認識。
オレももういい年だけど、やっぱ勉強はだな.....って今更ながらに思う (´・ω・`) -
【きっかけ】
ネットで偶然発売を知った。福沢諭吉と勝海舟の両方に興味があるので購入。
【感想】
慶應義塾を創設し、文明開化をリードした福沢諭吉は開国佐幕派の幕臣だった!?
一般的なイメージとあまりに違いすぎてにわかに信じ難いのですが、著者は資料を駆使して幕末から明治にかけての諭吉の実像を明らかにして行きます。
「福翁自伝」では決して語られることのない幕臣になった喜び、幕政改革への希望と挫折、だからこそ生じた勝海舟との確執など読みごたえたっぷりの一冊です。 -
日経書評
ともにかいりんまるで渡米したふたりだが、海舟は西欧列国に挙国一致で臨むべきとの国家思想、諭吉は幕臣であったため、幕府絶対主義で、戦後も再三の出仕養成も断り、武士道のやせ我慢、つまり精神主義を貫いた。
二人の国家思想の違いを浮き彫りにした作品。 -
福沢諭吉と勝海舟を中心に、幕末~明治を振り返る。
2人を軸に周囲の人間関係や各人の思想、周囲が2人に与えた影響等がよく分かる。
この時代が描かれている本を読むと、今以上に時代の変革期だったんだとつくづく感じる。先人がどのような思いで日本を思い、どのように状況を変えていったのか。 -
福沢諭吉が最晩年の幕府役人だったこと自体はよく知られた事実だが、そのころの言動について改めて検討を加えたのが本書の最大の特徴である。福沢といえば『福翁自伝』という有名な自叙伝があるが、筆者はその記述は後年の福沢の立ち位置をかなり反映したものであり、一定のバイアスがあると主張する。
また、同じことは勝海舟の聞き書きである『氷川清話』にもいえるという。幕末維新期にきわめて対照的な行動をとった勝と福沢だが、その実像を明らかにするためには、リアルタイムで残された記録を突き合わせながら、もう一度、追いかける必要があるのだ。
筆者はすでに幕末維新期に関する書物をいくつも出しているが、明治の視点からではなく、江戸の視点から「幕末維新」をとらえると、また違った側面が見えてくるという主張は、本書においても重要なメッセージを投げかけている。