現代中国の父 トウ小平(上)

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制作 : 益尾 知佐子  杉本 孝 
  • 日本経済新聞出版社 (2013年9月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532168841

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現代中国の父 トウ小平(上)の感想・レビュー・書評

  • [皇帝ならぬ皇帝]改革開放政策を強調し,中国の現代化に多大な影響を与えた鄧小平の生涯をまとめ上げた超大作。著者は,『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を世に送り出したことでも知られるエズラ・F・ヴォーゲル。訳者は,著者の研究助手を務めた経験を有する益尾知佐子と東アジアの経済に関する著作を自身でも発表している杉本孝。原題は,『Deng Xiaoping and the Transformation of China』。


    尋常ではない分量に読む前から圧倒させられてしまいますが,内容の濃さに読後は更に圧倒させられました。鄧小平の歩みを知るためにはもちろんですが,彼がその人生を捧げた中国,そして中国共産党の歩みを知る上でも欠かすことのできない一冊かと。それにしても,鄧小平の堅実かつ冷静な思考と行動力には恐れ入りました。

    〜鄧小平はむしろ,移行期に総合的なリーダーシップを発揮した総支配人だった。彼は考えを一つのパッケージにして,それを同僚チームと大衆に,彼らが受け入れ可能なペースと方法で提案した。〜

    今年中に読めて良かった☆5つ

    ※本レビューは上下巻を通してのものです。

  • 「マルクス主義は不変の思想枠組みではなく、むしろ経験を踏まえながら再解釈され続けるものである。」

    毛沢東時代からアメリカとの国交正常化までが描かれている。ボリュームはあるが読みにくくはない。

    毛沢東時代に3度失脚したが、最終的には華を退け実質的権力者になった。個人崇拝を嫌った点は毛沢東時代からの反省だろう。

    中国の近代化を強く推し進めた、まさに中国中興の祖だ。

  • 22歳の鄧小平がモスクワ留学中に書いた作文がある。「中央に集約された力は、トップダウンで流れる。上からの指示には絶対的に従わなければならない。民主主義がどの程度許されるかは、周囲の環境次第である。」改革開放を押し進めながらも自由が行き過ぎたと見るや押さえつけた鄧小平。「実事求是(現実から学んで理論を立てる)」という毛沢東の言葉を借りて実利主義者。三度失脚し三度返り咲いたが肩書きとしては共産党軍事委員会主席で初代の総書記は胡耀邦につかせた。上巻は毛沢東〜周恩来の下で実力を認められながら失脚し、毛沢東の死後復権し実権を握るあたりまで。

    まだ10代の頃フランス留学中に周恩来の下で頭角を現した鄧小平は長征にも参加し、抗日戦では八路軍の主力の政治委員となり続いて国共内戦でも前線で戦った。1948年国民党軍60万、共産党解放軍50万が対戦した一大決戦の淮海戦役では開戦8日目に毛沢東の命で設立された総前線委員会の書記として全軍を率いた。兵力でも火力でもおとり、後に犠牲の大きさを批判されたが国民党軍を圧倒し揚子江渡河にも成功しこれがターニングポイントになり49年に中華人民共和国が成立した。後に鄧小平はこの勝利を一生で一番うれしかったことと語っている。

    1956年の第8回党大会で中央書記所総書記に昇進し、政治局常務委員となり共産党最高指導者の一人となった。毛沢東、劉少奇、周恩来、朱徳、陳雲につぎ日常業務仁責任を持つ指導者になった。このころ毛は鄧のことを次代の最も優秀な指導者と見なしていた様だ。一方で毛沢東は自分の権力を盤石にするため絶対的なナンバー2を作らないように部下を争わせ続け、劉少奇を失脚させ周恩来は死ぬまで屈服させ続けた、後に鄧が頭一つ抜け出そうとするとやはり失脚させている。

    1958年から始まる恐らく史上最大の人災、大躍進政策(中国では飢饉が原因で16〜700万人が餓死したとされているがフランク・ディケーターの毛沢東の大飢饉ー中国では発禁書ーによると4500万人)では鄧も当初は計画を推進した。しかし59年夏にはビリヤードをしていて転倒し大腿骨を骨折し数ヶ月療養している。復帰後は毛の指示を実行しながらも現実的な調整を実行した。計画より事実を重視する鄧と思いつきで事を進める毛のすれ違いがこうして始まる。(毛はどうやらどれだけの死者が出ようが全く気にしていない。この間にも東欧に食料を輸出し自分のメンツを優先している)それでもソ連に対して厳しく批判する鄧を歓待するなどまだ亀裂は大きくはなっていない。

    文化大革命は大躍進の失敗に対する毛への批判を押さえ込むために使われた部分もある。劉少奇を獄死させ、鄧小平も1967年には自宅軟禁になった。息子の僕方は紅衛兵からいたぶられ、転落して脊髄損傷を負っても一生下半身不随を負った。鄧は40年間忠実に毛に仕え続けて来たが江西省に追放されたこの時期にいつか来る復活の日のために中国をどうするかを考え続けていた様だ。罪を毛一人にかぶせるのではなく、毛沢東という怪物を生み出したシステム自体を問題視したのだ。これが後にチャイナナインの多数決による合議制を生んだのだろう。

    1973年の老幹部復活にあわせ鄧は毛により周恩来の下に呼び戻された。すでに69歳、現在なら引退間近だ。この時には38歳の王洪文がNo3に取り立てられている。そして周や鄧と言った実力者を攻撃するためには相変わらず江青をけしかけ、やりすぎると止めるを繰り返す毛沢東、ユン・チアンのマオなどにこの辺りは詳しく書かれている。75年1月には鄧は第一副総理に就任し、王とともに毛ー周の後継者候補筆頭に戻った。2月に周が公式の会議からの引退を表明すると鄧は実行役として文化大革命でぼろぼろになった組織の立て直しを次々進めた。先ずはセクト化した軍を解体し規模... 続きを読む

  • 書いてある事はそそられるのだけれど、読みにくい。。、

  • ジャパン・アズ・ナンバーワンを書いたハーバード大のエズラ・ヴォーゲル教授が書いた鄧小平の一生をまとめた本。膨大な資料とインタビューをもとに書かれており、史実が緻密に描かれている。鄧小平の三回の左遷と、1970年代の改革開放、及び1979年に最高指導者となってからの改革開放の様子はとりわけ詳述されている。最期の左遷をされる前は、資本主義や科学技術に対する先進的な考えはありつつも、毛沢東および党古参幹部の前では立場の保全を図り、左遷時にも耐え、反省を認めた書面を何度も党中央に送っている。文化大革命から復権したあとは、より自分の考えを押し出すようになり、3回目の左遷を毛沢東に迫られるも固辞。毛沢東の死後復権してからは、華国鋒、胡耀邦、趙紫陽という3人の党主席を、実質の最高指導者として指導し、ときには利用し、ときには改革開放を強く押しすすめた。各国との関係改善、既存の社会主義と「社会主義市場経済」との理論的(理屈的)接合、中央集権から分権への推進、イデオロギー主義から専門家主義への移行、膨張した人民解放軍の規模縮小など難題を次々と解決。今の中国の発展の礎を築いている。彼の死後の、江沢民、胡錦濤は鄧小平のやり方を踏襲しているだけと言えるかもしれない。深圳や広州、珠海という経済特区の発展、上海の発展の流れもよくわかり、今の中国の地理的経済を知る上でも勉強になる。その意味で、今の中国の状況を知るには欠かせない本。

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】289.2||T||上【資料ID】11301234

  • 鄧小平に寄せる毛沢東の信頼が厚く75年の復活は毛の意向、しかも周恩来への牽制の意味があったとは驚き。毛が中国経済を破綻させた男として自らの歴史を汚すことを恐れ、鄧に期待をかけたということは確かに間違いないだろう。そして75~77年の不思議の連続のように思われたエレベーター人事の意味が解き明かされていく。全てが毛の猜疑心から起こり、そこからの脱却を図る鄧や他の幹部たちの慎重な言葉の選び方に興味を感じる。75年の失脚前の毅然とした姿が、76年の毛死去後に尊敬を集めたということも分かる。そして77年の復活後、主席・首相というポストに就かない中で、事実上No1として華国鋒をしのぎ、権力を確立していく過程を見る中でこの人の並外れた実力、そして毛亡き後の中国の舵取りの難しさを感じる。鄧という英雄の凄さを痛感する。長大な大河ドラマを見る思いがする。それにしてもここまでの真実が良く調べられたもの!

  • 130924 日経23面 特集 

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現代中国の父 トウ小平(上)の作品紹介

三度の失脚から復活し、改革開放へと突き進む-〓(とう)小平と数多くの登場人物のストーリーを織り交ぜながら、あたかも大河小説のように、中国の現代化への道のりを描く。政府要人、党史研究者、国内外の専門家、家族、関係者への聞き取りのほか、日米中の公文書など膨大な文献を駆使し、10年もの歳月をかけて完成した超大作。ライオネル・ゲルバー賞、全米出版社協会PROSE賞特別賞受賞。

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