現代中国の父 トウ小平(下)

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制作 : 益尾知佐子  杉本孝 
  • 日本経済新聞出版社 (2013年9月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532168858

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現代中国の父 トウ小平(下)の感想・レビュー・書評

  • 天安門事件の部分が印象の残ります。

  • 「幹部らは職権を乱用し、現実からも一般大衆からも目を背け、偉そうに体裁を装うことに時間と労力を費やし、無駄話にふけり、ガチガチとした考え方に縛られ、行政機関に無駄なスタッフを置き、鈍臭くて無能で無責任で約束も守らず、問題に対処せずに書類を延々とたらい回しし、他人に責任をなすり付け、役人風を吹かせ、なにかにつけて他人を非難し、攻撃し、民主主義を抑圧し、上役と部下とを欺き、気まぐれで横暴で、えこひいきで、袖の下を使えば、他の汚職にも関与している。」最近の話ではない。1980年の鄧小平の幹部に向けた談話だ。しかしその鄧小平自身が10年も立たずに民衆の感覚から遠ざかり、支持を失い、弾圧する側に回ってしまったのも皮肉な話なのだが。

    改革開放を押し進める鄧と、より慎重で穏やかな発展を望むもう一人の幹部で当時中国に置ける経済政策の最高の専門家陳雲。経済に関する考え方は違うがアクセルとブレーキはお互いが行き過ぎると制御するように働き良いコンビだったように見える。海外からの技術導入が進みすぎると財政が不安定になり、陳がストップをかけ、発展速度が鈍り失業率が増えるとまた鄧がアクセルを踏む。改革開放は高インフレを生み民衆の負担が高まると陳がインフレファイターとして押さえつけた。資本主義社会では金融政策を使うのに対し中国は供給と投資を抑制したのが違う所だが。インフレと失業率の間で揺れ動いたり、それに対し民衆が不満を上げるようになったのは毛沢東時代より中国が民主的になったからだとも言える。

    中国の改革開放に最も積極的に協力したのは日本だった。資本主義社会の知財を理解しなかった鄧は日米などに最先端技術の導入を要請した。当時の日本の経済界はいずれそれが自分たちの競争力に跳ね返ってくるとわかった上でできるだけそれに応じていた。新日鉄の技術を導入した宝山鉄鋼や井戸を掘ったエピソードで有名な松下もそうだ。対中戦の償いをしたいという経済人の思いや、将来的に大きな史上になることを見越した計算などいろいろな事情を含めても1980年代は日中関係が最も近づいた時代だったように見える。天安門事件後最初に中国に対する制裁の緩和に向けて動いたのも日本(とアメリカ)だったが、残念ながら天安門事件は中国政府が求心力を働かせるために愛国教育とセットで反日教育を施したため報われていない。江沢民が原因だと思っていたのだが愛国教育自体は鄧のアイデアでもあり江はそれを忠実に実行した。

    鄧はソ連のアフガン侵攻やいずれ軍事費の肥大が問題になると正確に予測していた。カンボジアに侵攻し東南アジアの派遣を狙いソ連と協調するヴェトナムに対しては侵攻し抗戦する構えを見せた。ヴェトナム戦争で鍛えられた敵にかなりやられてはいるがソ連の介入を牽制すると言った目的は果たした様だ。その後は600万以上いた軍人を300万人台に減らして軍の近代化、精鋭化を進めようとした。文化大革命中に徴用された軍人はここでもやはり役立たずだったらしい。一方で300万人の雇用を吸収するためにも経済発展が欠かせないのは鄧にとっては明らかだった。

    鄧の改革開放をすすめる実行部隊が胡耀邦と趙紫陽だが二人とも学生デモが原因で失脚した。胡は学生の自由を鄧が許す範囲を超えて奨励し中国の安定を揺さぶると評価され、趙も天安門事件の責任をとらされた。胡耀邦の失脚後失意の死に対して集まった学生は民主化を訴え、具体的な戦略を持たずに抵抗すれば政府に主張が通ると考えていた様だ。最初は整然としていたデモも後に先鋭化し、警官隊は北京市民の抵抗にあい無力化され軍隊が出動した。鄧からすれば学生達は改革開放による教育と経済発展の恩恵を受け、それを支えて来た政治の安定化に乗っかりながらその政治の安定をぶちこわす集団でとても許せるものでもなく、弾圧も当然と考えていた... 続きを読む

  •  中国が世界第2の経済大国になる基礎は鄧小平という個性の存在によるものが大きい。鄧の人物に焦点を当てつつ、彼が信頼した部下・胡燿邦、趙紫陽を切らざるを得なかった事情、そして89年の天安門事件の背景とその後の展開を客観的な調査した事実に基づき淡々と書くがその動きの描写はドラマを見るよう。鄧が78年に3度目の復活をして、数年後に発展の基礎ができていたということには圧倒される。また鄧が米国、日本、韓国、ソ連、欧州と良好な国際関係を築いていく手腕父ブッシュ大統領、蒋経国との信頼の深さも凄い!驚きの連続。それらを学問的に節度を持って書いている。この本が中国で昨年出版され、ベストセラーにまでなった!中国の望ましい変化である。「領土問題は後の世代の知恵に」という彼の言葉は、心からの思いだったと肯ける。日中関係の改善へ向けてぜひこの本が貢献してほしい!

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】289.2||T||下【資料ID】11301235

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現代中国の父 トウ小平(下)の作品紹介

21世紀アメリカ最後のライバルとなった超大国・中国。下巻では経済発展の原動力となった広東と福建の門戸開放という実験からストーリーが始まる。毛沢東時代には考えられなかった人民公社解体、香港返還と一国二制度の導入といった成功を積み重ねながら、時代は天安門事件へと向かう。武力弾圧のために軍隊出動を命じた〓(とう)小平は、人民と共産党のあいだに生まれた大きな亀裂をいかにして埋めていったのか?最高の外交関係書に贈られるライオネル・ゲルバー賞、全米出版社協会PROSE賞特別賞を受賞した名著。「年間ベストブック」にエコノミスト誌、FT紙、WSJ紙等が選出。

現代中国の父 トウ小平(下)はこんな本です

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