意思決定のジレンマ

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532169565

作品紹介・あらすじ

「家族旅行で英気を養うか、子どもの将来のため貯蓄するか?」「絶滅しそうなフクロウを守るか、木こりの職を守るか?」「嘘をついた従業員を許すか、すぐに解雇するか?」どちらも大切だが、同時に両方は選べない!ビジネスからプライベートまで、そんな問題に直面したときの「選択脳」を鍛える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 企業倫理の話。知識、規模、臨時の過ち。どれについてもシステムが結果を拡大する。正対正の倫理上のジレンマと正対悪のモラル上の誘惑の区別。内面的抑制の必要性と、ない人がいることの認識。徳目としての正直、責任、尊敬、公正、思いやり。正対正の倫理上のジレンマ、正義と情、短期と長期、個人と社会、真実と忠誠。最も多くの人のためになる一番良いことをする。最も重要だと思う規範に従う、自分が他人にしてもらいたいことを行う。正対悪。法律、規制(職業上の行動規範)、直観嗅ぎ分け、新聞の一面に載ったら、もし母親だったら。正対正。ジレンマの4類型判断、解決原理功利主義、規範、黄金律の適用、第三の選択肢の検討、意思決定、決断の反省。

  • 要約
    - どちらも大事だが、どちらも選べない、といった選択の事例をいくつも紹介している。
    - 正対悪の決断が簡単なのは当然。難しいのは正対正の時なんだ。


    4つのパラダイム
    1. 真実vs忠誠:仲のよかった同僚が不正により解雇され、再就職の際に推薦状を書いてくれと頼まれた。正直に書くのか。
    2. 個人vs社会:一緒に捕虜として捕まっている友人が、明日拷問されたら国の機密情報を話してしまうので、殺してくれと頼んできた。
    3. 短期vs長期:家族旅行で英気を養うべきか、子供の将来の為に貯蓄すべきか。
    4. 正義vs情:野球部のエースである自分の息子がタバコを吸ってるところを見つけた。明日は決勝戦。コーチに言うか。


    Values-Tactics ladder
    「価値観」「目標」「計画」「戦術」と、抽象的なバリューから具体的なアクションへと降りてくる梯子において、梯子を下がるに連れて合意形成は難しくなる。公立学校の倫理規範の策定の例:

    価値観:正直であることは大事である
    目標:カンニングをなくす
    戦術:カンニングが横行している公立学校をなくして全部私立にする

    - 価値観という抽象的なものに関してはほぼ全員が賛成できる。が、具体的な戦術になると大きな波紋を呼ぶ。ビジョンの下に人は集まってくるが、到達する方法に関して必ずしも皆が賛成するわけではない。
    - 重要なのはまず上位の価値観で強い合意を得ること。これが合意できていれば、具体的な戦術で例え大きな非難を浴びることになろうと、価値観を繰り返し思い出させ、組織としての強さを維持できる。この逆はできない。



    感想
    - 難しい意思決定の事例紹介がひたすら繰り返される。その度に「で、どうやって決めればいいの」となりがちだが、筆者は具体的なhow toを何も教えてくれない。モヤっとすると同時に、この読書体験ですらやはり「答えはない」に帰結するんだろうな。答えを求めてしまうが、意思決定ってそんなにシンプルじゃないよ、というメタ的なメッセージにも感じた。
    - 改めて「決断に正解なんてない。大事なのは決断を正解にすること」というどこかで聞いたことのある根性論に帰結してしまうなと感じた。
    - またMBAでこなす大量のケースも本質的には「意思決定のトレーニング」だ、ということをどこかで読んだことを思い出す。
    - あまり本筋ではなかったがvalues-tactics ladderの話は妙に納得感があって残っている。企業においてMVVの重要性が繰り返されているのもこれが理由なんだろうなと思う。特にトップダウンの極端な意思決定が求められる時、特にそれが正vs正の難しい判断の時。反対意見はもちろん多く出る。その時に組織に求心できる力の源がが価値観=Valueなんだろう。

  • 「家族旅行で英気を養うか、子どもの将来のため貯蓄するか?」「絶滅しそうなフクロウを守るか、木こりの職を守るか?」「嘘をついた従業員を許すか、すぐに解雇するか?」どちらも大切だが、同時に両方は選べない!ビジネスからプライベートまで、そんな問題に直面したときの「選択脳」を鍛える一冊。

  • ビジネス・エシックスは時宜において触れておきたい分野で、本書をとりました。本書で言う「あれも正しい、これも正しい」、「正」対「正」の倫理的問題、これらに対するフレームワークを提示して考える契機をもらいました。
    コンプライアンスという言葉が時折軽く感じられる中、本書を通じてその意味付けをそれぞれ行ってみることが適切でしょう

  • コンプライアンスについて、考えを深めるための本。コンプライアンスといいながら、ほとんど倫理、すなわちプリンシプルについてのケーススタディ。

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