無花果の森

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171056

作品紹介・あらすじ

夫の暴力から逃れ、失踪。過去を捨て、未来を見失い、世間に怯える絶望の暗い谷底にかすかに射した一条の光-孤絶にあえぐ現代人の心の闇に迫る傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞小説らしい常道。映画監督の夫のDVから逃走した女、夫婦のゴシップを追う週刊誌の記者との逃亡先での出会いと恋の進展。

    逃げ落ちた街で女は女流老画家のお手伝い、男はオカマのバーの居候として根無し草として息をひそめて暮らしている。

    人は、その人の社会的な背景に関わりなく、その人の本質を見抜き、存在として受け入れる。
    老画家、天坊女史、オカマのサクラさん・・・。人間のおせっかいではない、深い優しさや厚みのある洞察力こそ、書きたかったことなのかも。

  • 逃げた先で出合った2人、静かに発展していく関係。いつ見つかってしまうのか!?と思いながら読んでたけど、いい意味で期待裏切ってもらった。舞台が身近な岐阜大垣だったので、情景も浮かんで楽しめた。

  • 湿度の高いDV話だったらどうしようと思ったが
    裏切ってくれてよかった

    死んだまま生きるだけの人生に
    突如、生きる希望が生まれることはある
    そのことが文字となって目に飛び込んできたとき
    自分だけではないのだと思ってしまった

    その生きる希望に満ちた時間が
    いつまで続くのかを考えはじめてしまったら
    途端に希望は絶望にかわってしまう
    いつもとなりに絶望がある
    息をひそめて

    でも絶望のままではなかった
    読み進めるうち
    「あぁ、そうなるのかな」と想像しながらも
    ラストに安堵した自分がいた

    ただ
    ふたりがそれぞれ自分を偽って
    生きるために用意された部屋がどちらも
    すえた臭いが漂っていて読んでてつらかった
    そこだけは・・・その部屋ではわたしは無理だな・・・

  • 文庫本の装丁が綺麗。DVの夫から逃げてきた女と指名手配されている男が逃亡先で出会って恋に落ちるストリー。2人を匿う変人の画家とオカマのママが個性的で良い味、出してる。小池さんの小説には、切なさ、甘美が漂うものが多いけど、この作品もそう。タイトルも素敵だなぁと思った

  • 良かった。良かった。途中はそこしかない感じなんだよね。

  • 一気に読める展開、躍動感がすごい!
    約500ページある長編だが、2~3日で読み終えた。
    登場人物はクセのあるひとたちだけれど、シンプルで分かりやすい。
    終盤に差し掛かるまでの心理描写と風景描写が緻密だったことに比べ、最終章をさらっと進めたところが、明るい未来を予想させる終わり方になり良かったと思う。
    名わき役の画家・八重子の人生がどんなだったかも気になるところ。

    主人公の泉は、映画監督の妻だが、DVを受けていた。それを知ったライターの塚本は、泉に取材を試みるが、断られる。
    泉はDVから逃れるべく、夫から逃亡。辿りついた岐阜大崖で、偽名を使い、偏屈な女画家・八重子の元で住み込み家政婦をしながらひっそりと暮らし始める。
    八重子の友人でオカマのサクラとの出会い、そこで働くアルバイトとの出会い、誰にも知られず潜伏生活を送るはずだった泉の生活は、濡れ衣を着せられた指名手配犯と出会うことから変わり始める。

  • 小池真理子さんの小説を久しぶりに読みました。2011年発表で、今年の6月に映画化された作品でタイトルは『無花果の森』。事情があり偽名で地方都市に逃げ込んだ二人は、実は過去につながりがあり、奇跡的な偶然でもって二人はまた会ってしまう。一人はDVからの逃避、一人は濡れ衣を着せられた犯罪からの逃避。あり得ない話を見事に読ませきる手腕はさすが小池真理子さんです。一読の価値ありです。

  • やっぱり小池真理子さんの本は読みやすい。
    ちょっと暗い雰囲気と八重子さんのキャラが好き。

    ただちょっと、終盤はいまいちかな。

  • 久しぶりの恋愛もの...といっても、爽やかじゃないけど。くらーい恋愛ものでした。けど、なかなか良かったですよ。

  • 2013.11.7読了。図書館。初めて著者の作品を読んで、なかなか良いと感じる。人間模様が素敵です(^O^)/

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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