遊星ハグルマ装置

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171063

感想・レビュー・書評

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  • 笹公人さん(歌人)と朱川さんの共著。
    笹さん→朱川さんと繰り返される構成。
    笹さんは歌、朱川さんはショートショート。
    歌と言っても、50代の僕が教科書でよく目にしたようなものでなく、
    「窓辺にて消された夢の数々をマーライオンはきらきら吐けり」
    みたいな現代風刺や捻った作品が多かった。
    朱川さんの32作の中では、
    ⑨暗号あそび 文節の頭の文字を繋げて単語を作る遊びを保育園児たちに教える話(ホラー系)と、⑪⑯㉗のラビラビというウサギに似たスポンジのぬいぐるみが意思を持ち話したりする一連の話がほっこりしたかな。

    ショートショートは星新一さん以来でしたが、全体的に満足できました。 

  • 笹短歌+朱川ショートショート。怪しくて懐かしくて可笑しくてちょっぴり怖い。連想ゲームのように短歌と掌編小説が繋がっていく。
    恐竜図鑑の「あなたの、古い友だち」と汽車を待つ話の「赤い月」が好き。そうね、あなたは帽子がなくちゃね。
    ラビラビってぶたぶたの仲間?

  • ★2015年6月3日読了「遊星ハグルマ装置」朱川湊人/笹公人著 評価B+
    朱川の短編を32、その間に見開きページに笹氏の短歌を挟み構成されている。昭和の色濃くちょっとふしぎな短編が並ぶ。ちょうど昔大ブレイクしていたSF短編作家の星新一氏の作品をレトロにして、サイエンス味を抜いて、三丁目の夕日風と申し上げれば、作風はご理解いただけるでしょうか?

    朱川の作品は数多く読んできているので、その流れをくんでいる短編であることは、作者の名前が無くても分かるくらい明らかなものばかり。

    ただ、笹さんという短歌の歌人の作品は、今回初めてで、その変わった作風も興味深かったです。
    一番気に入ったのは、
    「走りきて不幸の手紙をだす少女 赤いポストに呑み込まれたり」
    「四回転ジャンプに挑む信成の額に浮かぶ織田家の家紋」「マスターの心の奥に揺れている浅間山荘の錆びた鉄球」
    変わった短歌ですよね。

    短編で気に入ったのは、「あなたの古い友だち」お父さんが幼い頃に大好きで見ていた恐竜図鑑にあるブロントサウルスが語り手となり、久しぶりに図鑑を開いてくれたお父さんに感激するのですが、そこのその息子が現れて、その後の研究でブロントザウルスは間違いでいなかったんだよ!と否定してかかるのです。しかし、お父さんは頑として譲りません。だって、お父さんの思い出にはちゃんと当時のブロントザウルスがいるのですから! というあらすじ。

    このような幼き頃、若き頃の思い出を大切にする、想い起す物語が数多く収められていました。何か懐かしい気分になるんです。

  • 朱川湊人さんのショートストーリーと笹公人さんの短歌のコラボ。
    短歌はちょっとよくわからないのが多かったけど、朱川さんのショートストーリーはさすが、面白かったです。ぞわっとくるものやSFチックなもの、笑えるものから幻想的なものまで多種多様、どの話も共通してノスタルジックな雰囲気が漂っているのがまたいい。
    保育園児たちが恐ろしい「暗号あそび」幻想的な雰囲気が素敵な「赤い月」じんわり泣けるいい話「あなたの、古い友達」がお気に入りです。あとしゃべるうさぎのぬいぐるみのラビラビシリーズも面白かった。
    色んなタイプのお話が詰まっていて、なんだか駄菓子屋で安いお菓子をいっぱい買ってきてぎゅっと詰め込んだような楽しさがあった。
    分厚いわりには軽い(重量的な意味で)のも読んでて手が疲れないので嬉しかった。

  • 朱川さんといっぷう変わった歌人 笹公人のコラボ作品。
    ポプラビーチに3年くらいにわたって順番に発表された作品群。互いの作品にインスパイアされて着想を得たんだろうなぁというのは読めばわかるが、そのへんの経緯は、ポプラビーチだけにある初回の笹さんの序文に詳しい。
    http://www.poplarbeech.com/haguruma/002044.html

    笹さんの歌については良くわからないのもあるけどとりあえず読んだという感じ。

    朱川さんの短篇は32篇、ノスタルジックホラーありSFあり、コメディーありとぜいたくに楽しめる。
    しかもどれもレベルが高い!物語の見本帳のようだ。
    私のベスト3は「あなたの、古い友だち」「赤い月」「傷だらけのジン」。
    ラピラピ、退魔師のお母さんがいた家族、後輩Hなど同じキャラが何度か登場するのも楽しい。

  • 直木賞作家 朱川湊人と、歌人 笹公人のコラボ作品。掌編小説と短歌が交互に載り、相乗効果で奇妙な世界観に誘われた。

  • 積読になっている・・・。

  • 朱川さんのショートショートと笹さんの短歌のコラボレーション。
    短歌のことはよくわからないのですが朱川さんお得意のホラーユーモアSF風味ノスタルジックで昭和の懐かしさを感じる作品とそれに呼応するような笹さんの妄想短歌。二人の絶妙なキャッチボールを楽しめました。
    昭和チックな装丁と諸星大二郎のカバーイラストもいいですね。

  • 笹公人さんの歌は初めて読んだ。ときどきクスリとするような雰囲気の歌。
    笹公人さんの歌、朱川湊人さんの短編と交互に書かれているのだけれど、それがまた面白い。だって、微妙に関連があるんだもん。

  • 少しレトロな雰囲気漂う、幻想的な句とショートショート集。ぞくりとさせられるもの、ほんわかさせられるもの、うっとりさせられるもの、くすりと笑わされるものなどなどさまざまなテイストです。ときどきシリーズになっている作品もあって、思いがけない驚きが。
    お気に入りは「僕らの移動教室」。あまりにシュールでインパクト大。私も嫌だこんな移動教室! 「不都合な真実」シリーズもなんだか面白いし。句では「悪夢の証明」が、恐ろしい想像の余地があってお気に入り。これをねたにホラーが書けるのでは。

著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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