七つの会議

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著者 : 池井戸潤
  • 日本経済新聞出版社 (2012年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171162

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七つの会議の感想・レビュー・書評

  • 池井戸さんと言えば、勧善懲悪がテーマのばっさばっさと悪役を斬りつけ、最後はめでたしめでたしで終わるのがほとんど。
    しかし今回の作品はひと捻りきかせているようで、そうは問屋が卸さない。

    舞台は中堅メーカー。出世頭の営業課長がパワハラで更迭されるところから物語は始まる。
    その真相はどこにあるのか、本当の正義とはどこにあるのか。
    このあたりの話の運び方のうまさはやはり池井戸節。安心して読める。

    章ごとに人物の視点が切り替わり、それぞれの人物の背景を丁寧に描いているところはさすが。
    それぞれがそれぞれの悩みを抱えており、悪人とも善人とも取れない描き方をしているのがいつもの池井戸作品と違うところか。

    決して爽快になれる読後感の良い話ではなかったけれど、やっぱり面白いです。満足。

  • 中堅メーカー・東京建電でやり手の課長の坂戸が、万年係長の八角からパワハラで社内委員会に訴えられる。
    ろくに仕事をしているとは思えない八角の訴えは、取り上げられないだろうとの大半の予想とは異なり、更迭された坂戸。
    坂戸のあとを任された原島は、この裁定に納得のいかず八角を問いただす。「知らないでいる権利」もあると言う八角から、その裏に隠された事実を聞き、「知ってしまった責任」を果たすことになる。


    子どものとき、父親が会社でどのように働いているかについて、
    考えたこともなかった。何の仕事をしているかについて、詳しく訊ねる事もなかった。
    ただ社会科の宿題で勤務先の会社について、質問したことはあった。
    自分の仕事に対する自負のようなものがあったのか、その後、会社が社員に渡していたダイアリーをくれたのだった。
    きれいな写真が添えられたカレンダーやら、国内にある工場や営業所の描かれた地図。会社の沿革。ビジネスに関するページ。
    厚めのなめらかな紙を使ったそれは、子供心にとてもきれいで、眺めているのは楽しかった。興味は長続きはしなかったけれど。

    「働く」とは、どういうことなんだろう。
    「傍を楽」にすることだと、聞いたことがある。
    人の役にたつこと、誠実に仕事をすること。
    決して会社に目先の利益をもたらすことではないはずだ。
    顧客を裏切り、社員を追いつめ、一部の人間だけが得をするようなやり方がまかり通る企業はいつか綻びが現れると信じたい。

    「客を大事にせん商売は滅びる」(P296)

    顧客が満足し、働く人が少しでも自分の仕事に対して自負を持てるwin-winの関係というのは、誰もが破たんに追い込まれない目指すべき関係なのではと改めて思う。

    「ロズジェネ」シリーズのようにヒーローが出てくるわけではないし、オセロで黒が白にひっくりかえるような鮮やかな解決もない。
    起死回生のカードが切られて解決するようにと願いながら、息を詰めながら読んだ。

    現実の企業では、どうなんだろう。

  • 『空飛ぶタイヤ』や『鉄の骨』と並んで、
    この『七つの会議』においても、

    池井戸潤が描く物語のストーリーには、
    現代社会において多かれ少なかれ組織に縛られて
    働いているかもしれない読者ひとりひとりに対して、

    「本当の意味での正義とは何か?」

    を心の底から訴えて考えさせる一貫性があって、
    それがまた、池井戸潤が描く物語の魅力なんだと私は思います。

    それと、
    『七つの会議』の第三話以降にちょくちょく出てくる
    「ドーナッツ」の話しは、読者にとっては、
    ここでちょっとブレイクができて、これがまた良いです。

  • 八角さんに共感。そして原島さん村西さんが凄く気の毒・・。
    上に立つって大変だよね。
    八角さんの奥さんがいい人だから出来る選択かも。
    新田と梨田と江木は同情の余地なし。
    名前からか八角さんは六角さんのイメージ。

  • ブクログお友達のレビューを拝見して読みたくなり、図書館で7ヶ月待っている間にテレビドラマを先に観ることになった。
    原作の方がシンプルで良い。
    池井戸作品は本当に不思議だ。男臭い企業モノなのに、キャリアウーマンならいざ知らず、主婦でも面白くて夢中になり途中でやめられなくなる。

    池井戸さん、是非今後もこの調子でお願いします。変な恋愛要素とか入れないで欲しい(本書では少しだけ入っていたけど)。ひたすら男臭いままでも女性の支持者は多いと思います!…って池井戸さん見るわけないか。

  • とても読み応えがあって ラストにもホッとするところがあり
    結果的には安心出来るのだけれど
    そこに至るまでがとにかく辛い。
    常にノルマに追い立てられるような企業人達。ノルマ達成したいがためにやってはいけない一線を越えてしまったり
    私利私欲のために腹黒い登場人物もたくさんいすぎてムカムカしながら読んだ。
    池井戸さんの企業小説を読むといつも弱者が陥れられて
    にっちもさっちもいかなくなるという苦しさを感じずにはいられない。
    とても痛々しいけれどこれが現実だったりもするなと。
    いろいろ考えさせられた。

  • 中堅電機メーカーを舞台とした企業不祥事をめぐる物語です。
    社会人として組織で働く身としては
    本当にありそうな事だったり経験するような事もあり

    なんのために働くのか、仕事で何を目指すのか、何をするのが正しいのか
    普段考えるのを避けているような事を非常に考えさせられます。
    感情移入しておもわず怒ってしまったり、悲しくなってしまったり
    物語についつい入り込んでしまいます。

    池井戸潤の本領発揮!おもしろすぎます!
    これから就職する人、社会人をやっている人、是非読んでみてください!!

  • ひとつの出来事をいろんな人の視点から見た話。
    テレビのランキングを見て初めてよんでみました。
    思った以上におもしろくて一気によみました。
    私も会社員をしていていろんな人事異動を見てきました。
    裏では大なり小なりの出来事があったんだろうな…
    みんなが一生懸命に生きているのに、自分の地位をあげること、認めてもらうことを求めるために悲しい選択をしてしまう…
    あってはいけないことだけど、いろんな会社で実際ある出来事なんだろうなと感じました。
    同じ会社の中にいても自分が見ているものは一部なんだなと改めて感じました。
    でも嫌な気分にもならず、ラストもスッキリして読んでよかったと思えた本でした。

  • わかりやすいヒーローは出てこないが、みんなそれぞれ言い分があったり正義があったり(なかったり)。追い詰められた時に人間が出るんだ、というセリフもあった通り、謎解きの娯楽の中でいろいろと考えさせる作品だった。
    しかし女性を描くのは苦手と見える(笑)

  • 虚栄の繁栄か、真実の清貧か。謳い文句にあるように、如何に生きるか、どう働くか、を問いかける作者のメッセージに溢れた好作品である。登場人物それぞれの来し方、生い立ちを丁寧に描くことにより、不正を働く人間が即悪人、あるいは不正を追及する側も正義の味方一辺倒ではなく、人物像に厚みを持たせているのが、池井戸潤のなせる技といえようか。ますます、注目していたい作家であるとは、言い過ぎか。

  • 図書館より。
    ようやく読了。

    いやぁ~どんな事情があれ、やっぱり嫌な人は嫌だな(笑)。でも、ラストでちょっとスッキリした!
    一つ一つが独立した短編のようで、全体がちゃんと繋がっていて、悔しいけど面白かった。
    本当にイヤな人多いな~(笑)

  • どんな仕事でもつらい思うが、やっぱり営業は大変な仕事だとしみじみ感じた。ノルマ、プレッシャー、業績、上司諸々と日々戦っている。
    誠実な仕事をしたいと思いつつ、勝ち抜いていくために強引な事もしなきゃならない、不正ギリギリのラインを越えないように踏ん張っているところもある。
    だが自分が坂戸のような立場だったらどうだろう?やむにやまれぬ事情を抱えていたら?と自問自答。
    坂戸の生き方はつらすぎる。八角のように出世のことを忘れ、正直に生きる方がどれだけ楽か。だが、そんな風に普通のサラリーマンは生きられないから八角をうらやましく思うのだ。
    組織に属する者の苦悩や悲哀がよく出てた。池井戸さんらしい、さすがです。

  • 会社にいる人々のそれぞれの想いをそれぞれの視点から描いた作品。「7つの会議」。読んだあと、タイトルについてなるほどと思いました。
    ソニックの子会社、東京建電の不正事件(ネジの強度偽装問題)を起こした人、それを隠蔽する人、暴こうとする人を中心に会社という魔物に翻弄された人達にスポットをあてている。いつどこでなぜ、道を違えたのか? 本来、顧客視点のビジネスが、自分のため、会社のため、社会常識を踏み外す。こんなはずではなかったのに…。
    人は常に自分、理性を見失わずに生きる事の難しさを考えさせられた作品でした。

  • ドーナツはぺたぺたするから席で食べてはいけない

  • 大企業の子会社である東京建電で起きる様々な出来事を、
    短編集を積み重ねてひとつの物語になる連作短編という形で描いた物語です。

    「トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。(「BOOK」データベースより)」

    連作短編という形をとっているため一話毎に主人公が替わり、
    内容も一変するため最初は「短編集なのかな?」と思ってしまいました。
    パワハラ委員会の話が出てきたと思えばネジを作る中小企業の厳しい経営状況の話になり、
    かと思えば退職する前に社内にドーナツ販売の仕組みを入れることに奮闘する女性社員の話になる。

    一見すると何のつながりも無い話の連続に見えるそれぞれの短編が、
    徐々に関連性を増してきてひとつの大きな流れにまとまってくるという流れになります。
    それは、読んでいる者をグイグイと物語の中に引き込んでいくとともに、
    東京建電という架空の会社にリアリティを持たせるという役割も果たしています。

    また、登場人物が「善玉」「悪玉」というような簡単な描かれ方をされていないのも池井戸作品の特徴。
    会社ではうだつの上がらないダメ社員も家では頼りになる父親だったり、
    社内でバリバリのエリートサラリーマンが家庭には鬱積したものを抱えていたりと、
    登場人物の背景を細かく描くことでリアリティを増しています。

    そして何よりも今回の物語の主題は「働くことはどういうことなのか」ということ。
    何のために人は働いて企業は何のためにあるべきなのかということを、
    全編を通じて読者に問いかけてくる構成になっています。

    池井戸さんの作品は「下町ロケット」で初めて読み感動しましたが、
    「七つの会議」は「下町ロケット」とは違った"考えさせられる傑作"だなと思いました。
    働くうえで大切にしておきたいことが描かれている一冊です。

    かなりオススメです。

  • 池井戸さん、デビュー時の銀行・金融物から、すっかり製造業ものに舵をきった感があるね。ただ、ネジの強度が、安全上重大な問題であるのは解るけど、コスト上、大型案件の受注を左右するほどの問題なのだろうか?とちょっと、疑問。でてくる主要人物の多くが保身や欺瞞に走っていく中で、物語の冒頭でサプライヤと不正を犯した坂戸が、人間的で寧ろ騙されていたという話を挿入したのは、救いでした。八角が活躍するであろうことは誰にでも推測できるので敢えて省略。
    さて、本作。ストーリーとしては、中ヒットくらいの出来ではあるけれど、作品中のフレーズに普段忘れていた新鮮さを感じたので、自戒をこめて最後に書き記しておきます。「仕事っちゅうのは、金儲けじゃない。人の助けになることじゃ。人が喜ぶ顔見るのは楽しいもんじゃけ。そうすりゃあ、金は後からついてくる。」

  • タイトル通り七つの会議を通した連作短編小説。最初は同じ話になるとは思わないまま話が語られるが、OLの話を除き、他の話は全て企業に課せられたノルマに起因するリコール隠しに繋がる。主人公らしい主人公も無く、また、全ての登場人物が等身大のサラリーマンであるが故に、感情移入するには、わが身に置き換え身にせまされてしまうので、爽快感はない。また、企業倫理やサラリーマンの姿がデフレの時代である以上、現在の話ではあるが、若干、高度成長時代のモーレツ時代の価値観に縛られており、今はもう少し多様化しているだろうにという点と、そもそもの発端たる不正の起因者の動機が余りに稚拙で先行きの読め無さが、その立場の人間の判断としてはあまりに非現実的で、捻った割には違和感が残ったのが残念である。

  • 企業の葛藤を描くのが、うまい。
    不況の今の現実を、リアルに描く。
    視点人物が転々とし、感情移入できるキーパーソンがなかったため、やや共感しづらい。
    ドーナツの話が救い。
    面白くないわけではなく、この方には期待値が高くなってしまう。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-5d73.html

  • 久しぶりに池井戸さんの本を読んだけど、「あ~面白かった」って心から思える作品でした。いつもスカッとした気分にさせてくれますが、今回も期待通りの話でした。しかも、最近の池井戸さんの作品(スカッとするところは変わらないのだけど)があまりに勧善懲悪的に物語が進む感じでしたが、この作品は、最初読んでいるときに誰が悪なのか実はよくわからないまま進みます。1話ごとに視点が変わると言うのもうまく利用されています。「下町ロケット」もお奨めですが、池井戸さんの本を読んだことがある人ならこの本はさらにお奨めですね。

  • これは素晴らしい!
    前半、何故有能な課長が無能な部下にパワハラで訴えられて、会社としてあっさりとその通りの内容で幕引きされてしまったのか?
    ここから始まる一連の話は、完全に謎解きミステリーだ。
    そして、抜群に面白い。
    悪といえば、悪かも知れない人物が多数出てくる。
    しかしそれでも、サラリーマンとして生きている彼らの事情、救いの無い状態になった経理の新田を除いては同情できる。
    上手いなと思ったところは、家庭事情。
    北川の家庭、「あくせく働いてきた挙句がこれか。幸せですか、と問われたら、どうこたえていいのか、北川には分からなかった」
    坂戸の告白、「そして兄に認められるだけの実績を上げる。そうするしか、両親の面倒を押し付けていることへの贖罪の道はないんですよ」

    家族の支え、がサラリーマンにとって最も大切なこと、かな。
    そして、副社長村西の考え方と生き方。
    是非若い人に読んでほしい一冊。

  • 池井戸潤の新刊、久しぶりの小説。小気味いいテンポでついつい一気に読了してしまった。それぞれの立場、それぞれのバックボーンを抱えながら生きていく企業戦士たち。登場人物はそれぞれ、立ちはばかる組織の壁に苦悩しながらも、組織の一員としてその歯車として立ちふるまうことを求められる。人間の弱さをまざまざと見せつけられた気がする。

  • ある大手メーカーの子会社の組織を中心として、複数の登場人物がそれぞれの視点から事件をみていくことで話が進む。組織の中で、何が正しいのかそして何を信じていくのか。立場や育ってきた環境によって形成された価値観、自分と同じではないからこそ歪みが生じてしまう。
    どんな仕事も本質を見失ってはいけないと再認識させられる。

  • 下町ロケットで有名な、池井戸潤氏の書かれた作品で、日本経済新聞に2011年から一年間かけて連載された小説が、単行本になったものです。近所の図書館でも人気の様で、リクエストしてから手元に来るまで一年かかりました。

    最近、本屋さんには文庫本が並んでいて、手に取ってみたら最初の数ページから面白い内容で、買おうかどうか迷っていたところに、図書館から連絡があって嬉しかったです。

    数か月前に読んだ「空飛ぶタイヤ」と同様、会社が起こした不正を隠ぺいしてしまうことになった経緯が、小説として上手に描かれています。この作品の興味深いのは、最初からその点に絞って話が展開するのではなく、一見すると関係ないような話(8章から成っています)が、繋がっていくので読んでいて面白いです。

    章ごとに主人公がいて、そこでは主人公の経歴が上手に紹介されています。現在あるのは過去の決断の結果と言われますが、なぜその主人公たちが今、そのような境遇にあるのかも述べられています。よく調査されて書かれた小説だなと改めて面白さを実感しました。

    この本を読んでいるときは、テレビドラマを頭の中で見ている気分です。最高ですね!

    2016年7月17日作成

  • 東京建電という会社の中で起こる小さな問題大きな問題。
    ネタバレしたくないのでこれしか言えません。
    おもしろかったです。

    みゆちゃん幸せになってぇ~

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七つの会議の作品紹介

『下町ロケット』の池井戸潤 さん最新作!

トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、歳上の万年係長・八角だった―。いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に繰り広げられる生きるための戦い。だが、そこには誰も知らない秘密があった。筋書きのない会議がいま、始まる―。“働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。

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