七つの会議

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 672
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171162

感想・レビュー・書評

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  • 池井戸潤の最新作!色々な立場での視点が面白く、一気に読んでしまった。
    リコールを隠蔽するのか、悪と知りながら仕方が無いのか?会社運営での選択は非常に難しい。リコールを発表すれば、会社倒産は免れない規模。消費者第一と言いながらも、その選択はあまりにも難しい(^^;; こういう隠蔽体質の会社は、幾度も同じ事を繰り返し、やがて倒産の道を歩む事であろう...

  • それぞれ立場の異なる人々の七つの会議を通して、
    あぶり出される、ある企業の隠蔽事実。
    出世、保身、正義、焦燥、怒り・・・
    さまざまな想いが事実を隠し、やがて明らかにしていく・・・。
    ぐいぐい引き込まれ、一気に読了。
    虚飾の繁栄か、真実の清貧か・・・
    働くということは、どういうことなのか。
    それは、自分はどう生きたいか?
    という問いかけにも感じられた。
    ドロドロとしたストーリーではあったけれど、
    ラストの爽やかさが胸にのこった。

  • 池井戸潤。現在、企業小説を書かせたら彼の右に出る人はいない。

    男にとって仕事とは何か。
    家庭を守るため、生活のため、いろいろな理由はあるだろうが、その本質に切り込んでいくこの作品。
    モラルと自己保身の間で揺れる葛藤。
    CSR(企業の社会的責任)などという言葉が言われて久しいが、実際はこんなものかもしれない。
    企業の利益優先と自己保身。
    だが、そう安易に糾弾することはできない。
    自らの、そして愛する家族の生活がかかっているのだから。
    正義感を持ち続けて内部告発をする勇気を出すことが如何に厳しいか。
    それによって得られるものと失うものを天秤にかければ、ことはそう簡単ではないはずだ。
    内部告発すべきなのか。知らぬ存ぜぬを決め込むべきか。
    容易く決断はできない。人間は弱いものだから。
    そうだとしても、どこぞの経営者が言ったように、クレームを真摯に聞かない会社に未来はない。
    嘘を別の嘘で塗り固める。
    初期対応を誤れば、最後にどうしようもない袋小路に陥り、企業崩壊を招く。
    パワハラは隠れ蓑で、裏にはリコール隠し、会社ぐるみの隠蔽事件が潜んでいるこの小説。
    大企業とその下請け会社の関係や社内出世競争などの思惑も絡み、とても面白く読んだ。

    池井戸氏の作品は「課長島耕作」の小説版と言っては失礼だろうか。
    でも、それほど現実社会に根ざした企業の闇の部分と本音に近いところを書き込んでいると思う。
    * 逆に島耕作のほうがあまりにも格好が良すぎ、現実はそれほど簡単ではないけれど。

    ビジネスの世界における正義とは何か?
    虚飾の繁栄か真実の清貧か、どちらを選ぶか?
    考えさせられる作品である。

  • 中盤までどんな展開になるのか予測できない流れを創り出せていて、上手に興味を掻き立てさせてもらえました。
    ストーリーも、登場人物毎に章が進む手法も秀逸で申し分はない。そして、真骨頂でもある組織内での保身や欲が絡む不正を描きだすキレ味は絶品。そして珍しく、勝者の出ないラストの作りで、それなりに爽やかに仕上げているあたりも憎らしい。もーノリにノってる感じがします。

    でも、さんざん誉めてるけど☆4つ。実はスカッとしたかったのですよ。読者の自己満足なのは判ってますがね…そしてあと一つね、キャラの描き分けについて若干物足りないかなって。

    念のためにダメ押しですが、池井戸さんらしい良い作品だと思いましたよ。

  • 初めて池井戸潤さんの本を読みました。

    最初はバラバラだと思われた話が、だんだん会社の隠蔽工作でまとまっていく、ストーリ展開でどんどん読み進みました。

    素直に面白かったです。

  • 一本のネジを巡る会社の不祥事を巡って、様々な人の視点から核心に近づいて行くストーリー。

    会社に不祥事が起きた時に、それを隠ぺいするか、公表するか。
    会社は何のために、存在するのかと言う事を考えてしまいました。ドラッカーは会社は世の中のために存在すると言います。株主のためではない。利益を目標にしてしまう会社が多くなったために、常に不祥事が絶えないのか。

    そして、この本の中にある様に、損をするのはいつも、下の役回りの人ばかりなんですよね。指示をするのは会社の上層部なのにね。

    前作のロスジェネの逆襲に比べらたら、スピード感はないと思いますが、登場人物ひとり、ひとりの人間としての脆弱な部分が良く描けていると思います。

    八角さんの「どんな道にも、将来を開く扉はきっとあるはずだ」と言う心の声に、耳を傾けていきたいと思います。

  • さすがに池井戸潤の作品はハズさないですね!
    この作品はとある中堅製造会社をメインとした部品の強度偽装問題をテーマとしたものですが、売上至上主義の内向き経営の会社の弊害を鋭くえぐった内容が面白かったです。
    それが内部告発によって暴かれ、親会社を巻き込み社会を揺るがす問題になるというビジネスマンにとっては対岸の火事ではない身近で起きてもおかしくないという内容に惹きこまれました。
    最後の「虚飾の繁栄か、真実の清貧か」というくだりは深いですね!
    池井戸潤の作品はビジネスマンにとって身近に起こりそうな話題を扱った作品が多く、この読者の仕事環境との距離感が絶妙なので、ついつい入り込んでしまいます。

    • honno-遊民さん
      池井戸作品は、ハズレがないですね。「入り込んでしま」う気持ち同感です。
      池井戸作品は、ハズレがないですね。「入り込んでしま」う気持ち同感です。
      2012/11/27
  • 人間をバランスよくとらえている作家だと毎回読むたび思います。完璧な人間なんぞいないよということがよくわかってらっしゃる、サラリーマンを経験している人ならではの書き方なのではないかと感じます。

  • 池井戸潤らしい、会社のドロドロな社内政治を書いた一冊。今回は東京建電というメーカーで各部署や上層部が関わった大きな不正が舞台となった。これは本当に面白かったので、オススメする一冊です。

  • 池井戸潤は外れがない。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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