七つの会議

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171162

感想・レビュー・書評

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  • 中堅メーカー・東京建電でやり手の課長の坂戸が、万年係長の八角からパワハラで社内委員会に訴えられる。
    ろくに仕事をしているとは思えない八角の訴えは、取り上げられないだろうとの大半の予想とは異なり、更迭された坂戸。
    坂戸のあとを任された原島は、この裁定に納得のいかず八角を問いただす。「知らないでいる権利」もあると言う八角から、その裏に隠された事実を聞き、「知ってしまった責任」を果たすことになる。


    子どものとき、父親が会社でどのように働いているかについて、
    考えたこともなかった。何の仕事をしているかについて、詳しく訊ねる事もなかった。
    ただ社会科の宿題で勤務先の会社について、質問したことはあった。
    自分の仕事に対する自負のようなものがあったのか、その後、会社が社員に渡していたダイアリーをくれたのだった。
    きれいな写真が添えられたカレンダーやら、国内にある工場や営業所の描かれた地図。会社の沿革。ビジネスに関するページ。
    厚めのなめらかな紙を使ったそれは、子供心にとてもきれいで、眺めているのは楽しかった。興味は長続きはしなかったけれど。

    「働く」とは、どういうことなんだろう。
    「傍を楽」にすることだと、聞いたことがある。
    人の役にたつこと、誠実に仕事をすること。
    決して会社に目先の利益をもたらすことではないはずだ。
    顧客を裏切り、社員を追いつめ、一部の人間だけが得をするようなやり方がまかり通る企業はいつか綻びが現れると信じたい。

    「客を大事にせん商売は滅びる」(P296)

    顧客が満足し、働く人が少しでも自分の仕事に対して自負を持てるwin-winの関係というのは、誰もが破たんに追い込まれない目指すべき関係なのではと改めて思う。

    「ロズジェネ」シリーズのようにヒーローが出てくるわけではないし、オセロで黒が白にひっくりかえるような鮮やかな解決もない。
    起死回生のカードが切られて解決するようにと願いながら、息を詰めながら読んだ。

    現実の企業では、どうなんだろう。

  • 次から次へと嫌な奴が出てくるな〜
    上がひどいとどんどん捻じ曲げられてしまうのかな

    自分が好きな池井戸作品に必ずある爽快感が全くなかったので…評価低めです

  • ドーナツはぺたぺたするから席で食べてはいけない

    • kobito-no1さん
      基本的には同じストーリーの小説を複数書いて良いのかと思う反面、やはり読まずにはいられないのは才能というものなのか
      基本的には同じストーリーの小説を複数書いて良いのかと思う反面、やはり読まずにはいられないのは才能というものなのか
      2013/09/10
  • たくさんの登場人物がいて、色んな角度から物語が進むからごちゃごちゃするけど面白い。

    営業って大変なんだな、、、
    どんな仕事も大変だけども。

    「仕事っちゅうのは金儲けじゃない。人の助けになることじゃ」って登場人物の誰かが言ってた。それって当たり前のようですごく難しい。

  • これを読んでスッキリしたり、面白いと感じる勤め人たちが多くいるから人気があるのだろうけれど…
    それに恐ろしさを感じずにはいられない。
    多くの隠蔽や揉み消し、不祥事。
    スジを通すための組織との戦い。
    それが美徳のように書かれていることが既に恐ろしい。

  • 最近この著者はテレビドラマも半沢直樹であてて人気がありますね。凄く読みやすく理解し易い本ですので、是非どうぞ!!

  • タイトル通り七つの会議を通した連作短編小説。最初は同じ話になるとは思わないまま話が語られるが、OLの話を除き、他の話は全て企業に課せられたノルマに起因するリコール隠しに繋がる。主人公らしい主人公も無く、また、全ての登場人物が等身大のサラリーマンであるが故に、感情移入するには、わが身に置き換え身にせまされてしまうので、爽快感はない。また、企業倫理やサラリーマンの姿がデフレの時代である以上、現在の話ではあるが、若干、高度成長時代のモーレツ時代の価値観に縛られており、今はもう少し多様化しているだろうにという点と、そもそもの発端たる不正の起因者の動機が余りに稚拙で先行きの読め無さが、その立場の人間の判断としてはあまりに非現実的で、捻った割には違和感が残ったのが残念である。

  • 企業の葛藤を描くのが、うまい。
    不況の今の現実を、リアルに描く。
    視点人物が転々とし、感情移入できるキーパーソンがなかったため、やや共感しづらい。
    ドーナツの話が救い。
    面白くないわけではなく、この方には期待値が高くなってしまう。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-5d73.html

  • リコール隠しのストーリー。それぞれ個別の話が伏線となり繋がっていく面白さがあった。
    内容からすると心もちちょっと長いかなと思った。

  • 映画化されるとのことで、読んでみました
    最近の著者の作品のような、すっきりする内容ではありません

    七つの会議を通して、会社の不祥事が解き明かされていくという形式です
    序盤で話の成り行きは想像できてしまいます

    それぞれの立場の人間の生い立ちまでが語られますが、だからといって許される問題ではないでしょうとも思います

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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