- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532171247
作品紹介・あらすじ
まもなく天朝様が江戸城に玉体を運ばれる。御書院番士はそれでも無言で居座り続けた。常の勤番所から、松の御廊下の奥へ詰席を格上げしながら。品格ある挙措と堂々たる威風は、幕末という時代が多くの侍に忘れさせた武士道の権化に映る。名も勲も金もいらぬ。すべてをなげうって武士の良心を体現した成り上がり者の希みとは、いったい何なのか-。流麗な文章で紡がれる衝撃のクライマックスは、美しく、切ない。
感想・レビュー・書評
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慶長4年(1868年)2月、徳川慶喜は寛永寺から水戸で謹慎されたが、謎の旗本御家人・的矢六兵衛は、西の丸御殿の格式高い御部屋や広間を沈思無言のまま居座り続けた。六兵衛の素性探索では、さきの将軍その人だ、公家衆差し回しの間者だ、天朝様のご勅遺役など、まことしやかな噂が流れた。その真相は、将軍の御座所「黒書院」にて、六兵衛が天朝様(17歳の明治天皇)に拝顔まみえ江戸城立ち退きの際、加倉井隼人へ「物言えばきりがない。しからば体に物を言わせるのみ」・・・。徳川三百年に生きた、数知れぬ武士の魂の一言であった。
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ハズレの少ない浅田作品で、明け渡しの江戸城を興味深く描いているが・・このラストはどうかなぁ~深まった謎が謎で終わってしまった。作中で、それはそれでいいと書かれても・・それなら短編にしても良かったような(笑)
維新の重要人物が次次に顔を出す。迎えるは貧乏籤の尾張侍と、何も話さず動かぬ六兵衛。設定、背景が面白いだけに、六兵衛の正体にどんでん返しを期待してました。その分、読後感はすっきりせず。 -
久々に爽やかな小説を読めた。読書ってやっぱいいなぁと感じさせてくれた。読めてよかった。
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何が起こるかと読み進めたが、読み終えてみると浅田次郎得意のおとぎ話だった。
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今一つ難解。
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一言も話さない主人公、六兵衛の正体に迫る下巻のはず・・・なのだが。
話としては「あいつはこの御方ではないか」説が飛び交いまくるので、動きがあって面白い。
ラストもなかなかに見せるシーンではあったが、やはり・・・なのがなんとも。 -
壬生義士伝と同じ時代だ。主人公の的矢六兵衛のことは最後まで謎だったが、壬生義士伝主人公の吉村貫一郎に通じるものを感じた。
登場人物の六兵衛に対する心が徐々に変わっていくのが面白かった。 -
2020.01.04
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虎の間に座り続ける六兵衛は松の廊下の帝鑑之間に移り、誰が来ても何も言わず、立ち退こうとはしなかった。八番組組頭は当然、勝海舟、西郷隆盛が説いても返事をしない。端然と正座をしているだけである。この結末はどうなるのかとページが進んだ。浅田次郎はストーリーテラーだなあ。