- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532192020
作品紹介・あらすじ
楽しくわかりやすいユニークな著作で知られる、ノーベル経済学賞・最有力候補、初の決定版テキスト。アメリカが抱える経済問題を素材に、舌鋒鋭く「俗説」を斬り捨て、その成功と失敗の本質を解説。番外編「日本がはまった罠」を加え、読みやすいくだけた訳文でも話題となったベストセラーを文庫化。
感想・レビュー・書評
-
図書館で借りた。
クルーグマンの経済の本を和訳したものだが…、和訳がまぁ読みにくい。訳者あとがきにも記載はあるが、「日本人だったらこんな口調で言ってるだろ」という文体で、その意向は理解できるのだが、どう考えても対応する英語からの直訳ではないので、ただただ読みにくいという印象しか残らなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原題1:The age of diminished expectations. (3rd edition, 1997)
原題2:Japan’s Trap (1998)
著者:Paul R. Krugman
訳者:山形浩生
・サポートページ
http://cruel.org/books/diminishj.html
【目次】
刊行によせて(ポール・A・サミュエルソン 90年5月) [003-004]
目次 [005-007]
凡例 [010]
序 [011-016]
はじめに [017-024]
第1部 経済のよしあしの根っこんとこ 025
1 生産性成長 029
補足 生産性と競争力 043
2 所得分配 046
3 雇用と失業 058
第2部 相も変わらぬ頭痛のタネ 067
4 貿易赤字 071
貿易赤字のどこがいけないの? 073
なぜ貿易赤字? 082
貿易赤字はなくせるか? 088
補足 通貨の切り下げは、いいこともあるんだよ、というお話。 092
5 インフレ 095
インフレのコスト 096
インフレ退治のコスト 101
で、この先は? 106
第3部 政策問題 109
6 ヘルスケア(医療) 112
医療問題 114
なぜシステムはノーといえないの? 117
医療改革 121
悪者探し/中央集権システム/管理競争
医療は自然治癒するか? 126
おまけの解説 日本の医療問題[山田謙次] 128
アメリカの医療問題に関する注釈/日本の医療問題に関する注釈
7 財政赤字 133
財政赤字なんかこわくない!? 134
国の貯蓄率 136
財政赤字を許しちゃう人たち 141
財政赤字は無害――左からの議論/財政赤字は無害――右からの議論/財政破綻の問題
身動きとれない財政赤字 153
8 激闘! 連邦準備銀行 157
連邦準備銀行って何するところ? 158
マネタリスト、コガネ虫、合理的期待形成 160
ヴォルカーの勝利 164
90~92年の不況――準備銀行の不手際 168
ケチな連邦準備銀行 171
9 ドル 176
貿易赤字の削減って本気? 177
ドル政策 181
下げるって、どんくらい? 184
ドルは下げたほうがいいの? 187
10 自由貿易と保護貿易 190
保護貿易の政治学 191
保護貿易の(大したことない)害 193
保護主義と貿易赤字 196
保護主義の経済学的な根拠 199
保護主義の見通し 206
補足 貿易紛争のコスト 207
11 日本 211
日本のちがい 214
日本人が攻めてくる! 221
そんな大きな問題なの? 229
どうしよう 231
日本の自爆 234
第4部 砂上の楼閣ファイナンス 239
12 アメリカ版住専の危機 243
危機のはじまり 244
すっからかんか倍付けか―― 81~89年 247
責任のなすりあい 249
倉庫に鍵をかける 251
まだほかにもあったりする? 254
13 まるはだか 258
尻の毛まで抜かれて――ロイズと「顔[ネーム]」たち 259
ロイズ――ちょっと変わった市場 260
運営管理者 VS「顔[ネーム]」/ロイズの凋落
どうにもならない銅のはなし 270
市場の「コーナリング」 272
住友商事の成功/住友商事の失敗
おまけ 企業ファイナンス 280
財産はどこから湧いて出たの? 282
効率の向上 286
契約の不履行 289
妥協した見方 293
なぜそんなに儲かるヤツがいるの? 295
なぜ80年代に? 302
訳者のおまけのおまけ解説 企業の財務構造のかんたんなおはなし 305
14 グローバルファイナンス 313
グローバル市場ってどんだけグローバル? 315
第三世界の累積債務 317
追加融資か見逃すか/「エマージング市場」現象/テキーラ効果
G7と政治的協調 328
相互依存の経済/協調の大したことのない重要性/なんか悪さはするの?
ヨーロッパの痛貨問題 334
ヨーロッパはどこがちがうか/ドイツ覇権/ドイツ再統一とEMSの瓦解/アメリカにとっての教訓
第5部 アメリカの未来 341
15 ハッピーエンド 345
生産性の復活? 345
生産性革命――今か、それとも決して? 349
生産性急増の効果 352
16 急降下不時着 355
29年再び? 356
楽天的すぎる危機 358
アメリカの債務危機 362
17 ただよう 366
ただよう10年 367
未来をふりかえって 370
終わりのゲーム 371
番外編 日本がはまった罠 375
あとがきと解説とか、そんなもの [406-434]
総論 406
なんだね、このふざけた訳は? 407
この本はなぜクールか 413
クルーグマンせんせいのこと 416
〈貿易に関するはなし〉
〈為替がらみのはなし〉
〈立地と都市に関するはなし〉
〈アジアに関するはなし〉
〈複雑系のはなし〉
〈その他雑文〉
おまけについて 426
おわりに(98年5月 バンコク/香港/品川にて 山形浩生) 428
文庫版への付記(2003年10月 品川/マニラにて 山形浩生) 432 -
名著だと薦められたので読んでみたら、非常に優れた本だった。
学術的な小難しい内容ではなくて、一般的な読者に向けて、現在の経済状況を分かり易く「説明」している。
経済の仕組みに興味はあるけれども、難しい勉強に割く意欲も時間も労力も無いという人には是非ともお勧めできる一冊。 -
著者のクルーグマン教授は、アメリカの著名な経済学者である。
通貨と貿易理論が専門だ。そして世界一口の悪い経済学者と言われている。日本では、インフレ期待による景気回復策を唱えて有名(悪名高く?)になった。
堅苦しい経済書ではない。なにより読み易い。ただ翻訳の山形浩生の文体に嫌悪感を感じるか、親しみを感じるかは、好みの分かれるところ。個人的には好きだが。
アメリカ経済と財政を話題にして、経済のどこを見ればいいのか、なにが大事でなにがそうでないのか明確に説明されている。
例えば、経済で大事なことは(個人の生活水準を左右するものは)3つしかない。「生産性」と「所得分配」と「失業」。これがよければあとはなんとかなる。3つがだめなら、あとも全然ダメ。なぜか?・・と言うことが事例とともに分かりやすく解説されている。
さらに、経済政策の場に働いている政治的な力学まで説明されていて読み応えがある。
この本のすごいところは、わかっていないことは、「わかっていないんだ」と書いてあるところ。普通の経済入門書ではこうはいかない。
クルーグマン教授に興味を持ったら、NYタイムズのコラムも読んでみるといいかもしれない。ホームページで無料で読める。英文だけど。
まずは肩の力を抜いて、読むことをオススメしたい。 -
ポール・クルーグマン著、山形浩生訳「クルーグマン教授の経済入門」日経ビジネス文庫(2003)
クルーグマン教授は、シンプルに経済のありかたを私たちに教えてくれる。かれは、「経済にとって大事なことは、つまりたくさんの人の生活水準を左右するものは3つしかない。①生産性②所得分配③失業、これだけ。これがちゃんとしていればほかの事はどうにでもなる。それなのに、ビジネスとか経済政策は、こういう大きなトレンドとはほとんど関係がない。実際、インフレや国際競争力、資本市場の状況、財政赤字、などは国の状態のよしあしには間接的にしか影響を及ぼさない。」と言っている。本は2002年に書かれたものでTPPの話はまったく記載されていないのは当然であるが、そういう彼の考えからは、昨今問題になっているTPPの問題にも重要なヒントになる示唆があると個人的に考えた。
アメリカはドル安を維持し輸出国への転換を本格的に行おうとしている。アメリカは次のように考えている。「最大の輸出国先として日本をターゲットにTPPでの政策緩和を求めたい。つまり、日本経済がもっと開放されていたら、海外の日本企業がもっと地元にとけこんでくれたら、アメリカ製の財やサービスをもっといい条件で輸入品と交換できるかもしれない。そうなったらアメリカの生活水準があがる。しかし、日本これをやってきていない。日本の成功はアメリカを犠牲にして盗んでいる。だからTPPでもっと開国をしろ!」と。しかし現実は異なっている。つまり、アメリカのたんなる言いがかりだと自分は考える。日本はアメリカとくらべて収入から貯蓄に回る割合が6割も大きいし、子どもの教育もしっかりしている。日本の人口はアメリカの半分にも関わらず、日本の産業はアメリカ産業全体よりもたくさん投資をする。日本が輸出国だと思っている国々が多いけれど実際は日本の総生産の15%程度。これはどの先進国よりも低い数値である。アメリカが日本をバッシングするのはアメリカのプライドであって、生活水準はさほど傷はついていないのだ。そう考えると、日本がいまTPPの仲間にはいった方が良いのかは個人的には大きな疑問を感じている。TPPとは他の9カ国がいるが、実質はアメリカと日本との2カ国の契約。なぜならアメリカと日本でTPPの約9割の貿易の規模を占めてしまうためだ。
クルーグマン教授の示唆によれば、国際競争力や、貿易政策などは、直接的にアメリカの経済向上には関係がない。つまり日本がTPPに入ろうが、アメリカ経済にはあまり影響は及ぼさないということになる。にも、かかわらずアメリカは日本へTPPを強く迫っているように感じる。私個人的な考えからいえば、ただ単にオバマ政権の票取りだけのように思えてならない。
もっと、TPPも目的をしっかりとさせた上で、日本もアメリカも議論をして欲しい。その場の雰囲気に流されてしっかりとした目的もないままTPPに入るのは私個人として反対だ。つまり、今の状況の中、TPPに入ることは意味がない。しっかりと国の将来を考えた上で、日本のアメリカも票取りなどではなく、身のある議論、そして考え方を身につけて欲しいと、この本を読んで強く感じた。 -
経済学の教科書と言えば、DS、マクロ、ミクロという章構成でくるのが普通だが、この本は「結局一番大切なのは生産性」という結論からはじまり、直接的、あるいは間接的にどのように生産性に影響するか、という章構成になっている。大きな幹がど真ん中にあり、「生産性に関わる範囲において考える意味がある」と各種理論を位置づけており、わかりやすい。個人的には好き。(自分の理解の低さで曲解しているかもだが)
-
クルーグマンの著作は一度読んでみたかった。
-
訳者一押し,だけど,
やっぱりちょっと基礎知識(または考える力)がないと
全体の見通しが悪くて入門にはならないかも.でもまぁおもしろい. -
これも毎年1回は読む本。
1年経つと大体世界情勢がちょこちょこ変わっているので、その時の情勢を見直す際の補助的な役割として凄く重宝している。
マクロ経済を見る時に、何が重要で何が重要で無いかその指標を与えてくれる。
クルーグマンによれば経済を見るにあたって重要な指標は「生産性」、「失業率」、「所得分配」のみっつ。本書をきちんと読まないと分からないけど、実際に読み終わった後に様々な事柄を考えてみると、このみっつで意外とどうにかなる事が分かる。
単純な様でこれって凄いことだと思う。与えられた凄く単純な指標で世の中の事象を自分の中で噛み砕く事が出来る。これこそが入門書だと思う。
あと、山形浩生氏が訳した本って、あのくだけた訳が攻撃されるけど、(コンピュータは難しすぎて使えないとか、暗号の秘密と嘘とか。暗号の秘密と嘘のタイトルの訳し方は俺もどうかと思うが。)何冊か原著と比べた感じだと割と的を射た訳し方だと思うんだけどなぁ。
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=booklog777j-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4532192021&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&fc1=000000&IS1=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe> -
マクロ経済学で扱われる色んなトピック(生産性・失業・貿易など)について、具体的且つわかりやすく解説してくれている良書。でも「入門」かといわれると疑問。経済学について全く触れたことが無い人には、やや辛い内容だろう。
金融について結構触れていたのは、嬉しい誤算。amazonで誰もそんな事レビューに書いてなかったし。特にロイズ(英国の保険市場)の話はかなり面白い。
山形浩生さんの訳について話題になることが多いっぽいが、個人的には読みやすくて良い訳だと思う。
ただ、(原書では削除されている)LBOについての章を付け加えたのは、余計だったかも。ジェンセンの理屈を完全に否定できている訳ではなく、ちょっと切れ味の悪い内容になっているので、黒歴史にしてあげた方が良かったのでは…と感じた。
450円…って書こうと思ったら、amazonで微妙にプレミア付いてるし。定価以下で見つけたら即買いかも。
追記:ノーベル賞とってから、微妙どころじゃなくてすごい値段に跳ね上がってるようだ。一刻も早く増刷してくれることを祈る。