- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532194871
感想・レビュー・書評
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20210127読了
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初めのうちは、その通りだと思うが、後半は、自社製品の宣伝。
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著者の宗さんを知ったのは、宗さんが日経関連のサイトで執筆していた連載記事が切っ掛けでした。
その記事を読み、その内容に信頼感を抱いた事を覚えています。
本書はその宗さんが、精神論が幅を利かせて不合理な事がまかり通っている日本の営業実態を指摘し、その改善策を提案している一冊です。
ちなみに、執筆されたのが2002年と今から10年以上前ですが、私が読んだのは2006年発行の23刷。
結構なベストセラー、ロングセラーとなっています。
内容に関してはiモードの活用など、10年以上前に執筆された本らしい時代を感じさせる箇所もあります。
しかし、営業のための技術の具体的な説明ではなく、なぜこの様な技術を用いるのかと言う本質的な事に重点を置いて執筆された本である事が簡単に分かる文章となっています。
その為、時代が変わり、使われる技術が変わっても参考になる内容が多いのではないでしょうか。
構成は5章からなり、1章から3章までは
・アンケート方式を用いる事によって現場からの報告を、日報と言う文章(=アナログ)から分析、グラフ化などがしやすい数値データ(=デジタル)に置き換える。
・情報共有や報告を求めるのであれば、その目的をはっきりとさせておく。
等、経営者や管理職が「何となく、○○をする」「○○は大切なので、とりあえずやっておく」と言うのではなく、自分の事業のゴールや実態をきちんと把握した上で、
現場から入手したい情報の明確化
共有する必要がある情報の明確化
等を行う必要があると指摘しています。
つまり、経営者が何となく良さそうな事をするのではなく、本当に利益向上に役立つ事を明確にし、それを実行する必要があると主張しており、またそれによって現場の営業の成果も向上すると述べています。
そして4章では、宗さんが創業した企業「ソフトブレーン」の製品を紹介しています。
尚、本省の冒頭で、この章の内容に対して「なんだ自社製品の宣伝かよ」と思われた方や、あるいは技術論には興味のない方等はこの章を読み飛ばして頂いても一切問題が無い旨記載がありますので、前述に該当する方は本章を読み飛ばして最終章である次章を読まれると良いでしょう。
そしてその次章である5章では、長篠の戦等を引用した総括的な内容が記載されています。
冒頭で書いた通り、10年以上前に執筆された本ですので若干古臭い内容もあります。
しかし、そのコアとなる部分は人間そのものに関する内容であり、その為、今は勿論、今後も参考になる物です。
一読の価値ありです。 -
文句なしの五つ星。モノを売る仕事に関わる人は、一度は読んでおきたい一冊。
著者は宋文洲。ソフトブレーンの創業者で
現在は、コメンテーターなどをやっている。
含蓄のあるコメントで、Twitterもメルマガも人気だ。
本書は、営業マンの人間力に頼る日本の会社の営業スタイルを批判し
もっと戦略的・組織的な営業手法を提唱している。
私も、本書の考え方に全面的に同意する。
本書の主張を、私なりの解釈で書いてみると以下のようになる。。
(1) 測れるものは改善できる
日本の会社では、営業の業務プロセスは複雑かつ非定型だと考えられている。
しかし、業務プロセスを整理・細分化してみると
どの営業マンも似通った事をやっている。
各々の業務プロセスをしっかり定義し
そのプロセスを数値で管理するようになれば
必ず数値は改善させる事ができる。
日本の営業は個人の能力を重視するあまり
業務プロセスを管理する事を嫌う。
管理するのは、受注や売上といった成果だけだ。
しかし、訪問回数、見積提示回数などなど
さまざまなプロセスを定義・数値化して記録を取れば
結果の良い営業マンの行動と、普通の営業マンの行動がどう違うのか一目瞭然となる。
測れるものは改善できる。
しかし、測っていないものは改善が難しい。
「気合いを入れてとにかくがんばれ!」としか言いようがないのだ。
(2) 人間は不完全な存在である
これは本書だけでなく、宋氏のコメント全体に感じる事であり、私も100%同意する。
日本の会社の営業はデキナイ人に冷たい。
「デキナイ奴は放って置いて、デキル奴が思いっきり売れ!」という方針であるかのようである。
しかし、この方針は非常に効率が悪い。
デキル人にとっては残念な知らせだが
世間の6割は普通の人、2割はデキナイ人で構成されているのだ。
デキル人以外を全員解雇するという方針が、事実上不可能な日本の会社は
どんなに頑張っても、ヤンキースやレアルマドリードには絶対になれない。
なので、むしろ
「デキナイ人でも普通の人でも、そこそこは売れる」という
弱小球団の野村野球を目指すべきである。
実は日本の会社でも、製造部門にはこういった考え方が浸透している。
工員が誰であっても、必ず同じ規格の製品ができること。
工員がミスをしても、しっかり不良品を摘出して一定の品質の製品が作れること。
根底には「人間は不完全な存在である」という思想がある。
不完全な人間に最終成果物が左右されないように
プロセスの標準化や数値化を行い、成果のバラつきを最小化するようにしている。
著者の宋文洲氏は同様の考え方を営業プロセスに取り入れ
営業支援システムとして大成功を収めたという訳です。 -
日本の営業業界にはびこる悪習を宋文洲が一刀両断。
根性を使うところを間違わないこと。 -
第1章.やっぱり変だよ、日本の営業マンの姿
☯トップセールスマンの「美談」の盲点。
1.ノウハウは、あくまでもその人が置かれた競争条件化で通用したもの。
2.精神論が多く本質ではないケースが多い。彼自身が売れた理由を客観的に分析できて
いないため。努力したこと特に苦労したことが結果に結びついていると信じる人が多い。
☯企業は教育機関ではない、学校は授業料をもらって教育するが、企業は逆に給料を払う。
☯飛び込み営業自体は営業社員の基本と思われるが、商品に絶対的な自信があっても
結果的に相手にとっては迷惑かもしれないという顧客への思いやりは必要。
贅沢を言えば事前にニーズを調査するマーケティングの手法を取り入れてもらいたい。
第2章.営業のたくさんの「なぜ」
☯昔は「顔見せ」「足で稼ぐ」などの行為もそれなりに意味を持ち、営業の基本として習慣化
していた。モノがあふれる現代。いくら顧客に会っても要らないものは要らない。顧客間の
競争も激化し、お情けで買ってくれるような余裕もなくなった。それでは稼げなくなった。
☯市場にも寿命があり誕生・成長・成熟・衰退・消滅というプロセスがある。消滅なくしても
時代に応じて形を変えざるを得ない。「営業効率」を考慮するのであれば、このプロセスを
見極めて、流れに沿った営業を行うのが当然。しかし、現実にはなかなか成長の夢から目を
覚まさない人は多い。参照:【チーズはどこへ消えた?】
☯勝利のため、あるいは負けないために「撤退」がある。「尻を叩けば、神風が吹く」などの
根性論や情熱論を変に強調しても営業効率は上がらない。企業の長期利益に繋がらない。
不得意な分野、市場、顧客から撤退することも学ぶべき。何十回行っても取れない商談は
利益面から見ると自殺行為。100回目で契約が取れたことを奨励すべきではない。
☯営業拠点は「設けたほうが、設けないより儲かる」という理由で作られるもの。営業拠点を
沢山持つ企業は偉いと錯覚する企業は多い。ネット社会で情報共有手段のメリット薄れる
営業会議も然り、コストと効果を数値化し比較し必要性を判断することが不可欠。
☯本当に顧客のため、社員のため、企業のためになる教育があるとすれば、それは効率的に
企業の商品やサービスを必要としている顧客に届け、理解してもらえる「トレーニング」
教育機関のそれとは別質で、コストの一部としてとらえる。
☯自分の出世しか考えていないヒラメ⇒いないほうが部下の効率が上がる。
部下を道具のように使い、ノルマ達成率でしか評価しない⇒同上。
面倒見が良く、厳しいことを言わない⇒業績が落ち、異動でいなくなる。
健全な企業においてはどれも必要ない。理想的な中間管理職とは部下に犠牲を払わせず
成果の出すことが出来る人=組織としての効率の良い営業の仕組みを自分の組織に適用する
ことが出来る人。=どのようなプロセスが売れることに繋がるか、また繋がらないか
そしてその割合についても定説的ではなく定量的に把握していれば、部下に無駄な根性論を
言う必要がなくなる。正しいプロセスに従い営業を行わない社員を指導するだけで済む。
プロセスを見る力、管理、改善する力がなければ哀れ、部下も顧客も必要としない。
☯営業が必要な理由はニーズ(購買力・購買欲)と自社製品を結びつけ、売上拡大するため。
(営業マンを使わなくても、営業マンがいる場合と同じレベルの満足を提供できれば不要。)
第3章.真実に目を向けよう
☯昔は営業(根性・努力)をテコ入れし、良いモノ(売り手が考える)の投入で業績を伸ばせた。
市場では「モノがない」「情報がない」の条件が崩れ、確実に性質を変えてきた。そのことに
気付かない企業は「モノさえよければ売れるはず」と固く信じ、大量の「良いゴミ」を生産する。
自ら顧客にとって「何が良いか」「なぜ良いか」を問う能力と手法を持たず、ひたすら技術や
品質などを追求するだけの、まるで「裸の王様」になっている「裸のもの作り企業」
☯インターネット全盛時代には、販売側よりも顧客側が多くの情報を持つ可能性が高くなる。
今後、ますます営業マンは付加価値の高い情報を提供する能力が問われる。裸のモノ作り
企業の営業は顧客に笑われてしまう。そして、かわいそうなことに、製品企画・技術部門は
未だに鼻が高い。(モノ作りが日本を支えた過去の名残の影響)
☯営業の本質は「売る」ことではなく「知る」ことにある。これができれば八割達成した様なもの。
「今、何が起きているか」「何を提供すれば顧客が得をするか」を知ることが営業の本質。
営業マンを通じてのリアルタイムな情報収集がない限り、悪循環を絶つことは出来ない。
☯「お客様は神様です?」いや「餌」としか思っていないのでないか。神様の意思を無視して
勝手に数字(ノルマ)を決めて神様にモノを売り付ける・提案する。冒涜そのもの。本当に
神様だと思うのであれば、欲しいモノ(情報)を、欲しいときに、欲しいだけ提供するべき。
第3章.真実に目を向けよう 続
☯「足で稼ぐ」の本質は接触量を増やすだが、単に訪問件数を増やすことでモノが売れる
時代ではない。原始人ではないので、情報(データベース)を有効活用する。
☯顧客は、営業マンの売りたい気持ちの度合いに基づいてモノを買うわけではない。
☯一般的に今の若い日本人は、会社を辞めることに対して何の抵抗もなく、むしろ前向きに
とらえる人が増えた。もっと自分の生き方に合う、やりがいのある、条件の良い企業に
転職していくことが自然なことになってきている。「終身雇用制」は戦後高度経済成長の
中での企業側の人員確保策という都合であり(人手不足倒産もあった)日本の文化ではない。
日本人の集団心理を利用し、ひとつの企業に尽くすことを美徳とし、推奨してきた。
しかし、大量リストラで「終身雇用制」は企業側の都合だったという事実が晒されてしまった。
☯営業常識
1.インセンティブ論=「売れた奴にインセンティブを与えれば自然に売れる。」
⇒この常識が成り立つのであれば、どの企業でも売れることになる。誰でも出来る手法。
2.人間力論=「営業は人柄。人に好かれない人は売れない。モノを売る前に人間を売れ。」
⇒正論ではあるが常識にしてはいけない。人間性の良くない営業マンは磨かれるまで売れ
なくても仕方ないということになる。さらには、企業が人間性を磨いた営業マンしか使え
ないような弱い会社になる。基本的に顧客は企業の製品とサービスを買うわけで
営業マンの人間性を買うわけではない。
3.センス論=「営業はセンスだ。売れない奴はいくらがんばってもたかが知れている。」
⇒センスは実に曖昧なもので、その人次第。組織としての営業力を強化するには、センスを
前提にしないことが大事。センスの良いトップセールスマンのノウハウを少しでも客観的に
分析しセンスのない人にも実行可能にしてあげること。もちろん、適正は面接で判断。
☯「情報」は「何をどのように改善したいのか、そのために今何の情報が必要なのか」を
先に考える必要がある。でなければ、情報は情報ではなく、単なるノイズになってしまう。
第5章.常識や習慣にとらわれないために
☯我々人間は長く続いたことになんら疑問を感じないように出来ている。何も日本だけの
問題ではないが、日本民族の単一に近い特性や外国人との交流の少なさなどが原因で
これを補正するための力が弱すぎる。確かに居心地は良いが、裏で深刻な事態が進行中でも
それに気付くのに時間がかかりすぎる。つまり良く言われている「ゆで蛙」状態。 -
製品を営業マンの根性や人情で販売し続けることは、市場のニーズにあわない製品を延命することにつながってしまう。
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日本の営業は精神論ばっかりで変だからもっとITを活用しなさいという本。
正直つまんない。批判的視点ばかりだし、論理構成もイマイチ完成されていない。後半は宋さんの会社の営業になっている。ところどころ、用語の使い方がNGなのもたまにキズ。言いたいことがわからんでもないが、説得力が赤点レベルかな。
『営業の本質は「売る」ことではなく、「知る」ことにあります。』ってところだけ読んだ。
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