- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532196356
作品紹介・あらすじ
なぜイギリスと日本という辺境の島国が経済大国になれたのか。それは決して偶然ではない。海洋アジアとの競争・脱却という視点で説明できるのだ-。近代資本主義を生み出した知られざるメカニズムを、巨大な視野から大胆に解明するスリリングな歴史書。
感想・レビュー・書評
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室町・戦国時代の遣明船や倭寇の活動によって、中国からは陶磁器と銅銭、朝鮮からは仏典が大量に流入した。日本人の生活様式は、茶、陶磁器、生け花、数寄屋造り、木綿、藍染め、醤油といった新しいものが生まれ、大変革を遂げた。
近代世界システムと江戸社会の近世の成立は、同時並行的に進行した。ヨーロッパでは、資本集約的方法によって労働の生産性をあげたが、日本では労働を多投することによって土地の生産性をあげた。
幕末の開国によってアジア地域の自由な経済交流が生まれ、西洋諸国との貿易よりも、アジア地域内の貿易の方が成長率が高かった。
日清戦争(1894~1895年)の結果、中国国内に日本の近代化への刮目を生み、制度の根本的改革を主張する変法論が生まれた。1905年、清は科挙の制度を廃止し、儒学が学問の王座から転落した。その前後から多数の中国人が日本に留学するようになった。さらに、清朝体制の転覆をはかる排満・革命論を生み、辛亥革命(1911~1912年)に帰結した。
7世紀にイスラム教が勃興し、地中外に進出すると、地中海はイスラムの海になった。ヨーロッパでは富の源泉を土地に求めざるを得なくなり、中世の封建社会となった。1571年のレバントの海戦で、キリスト教圏の連合軍がオスマン・トルコを破ったことを機に、ヨーロッパは地中海を奪還し、近世に移行した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ブローデル、ウォーラスティンから2歩3歩進み、さらに本邦東洋学支那学の伝統を咀嚼した全く新しい日本文明論の達成。川勝史観の世界的展開に期待したいのだが、知事職は誠に残念、、、。この文明論の欧米での評価はいかなるものかが気になる。アンダーソンなどは屁の河童。
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海洋に囲まれた島国日本、イギリスから資本主義は発展していったとの仮説にもとづき 世界経済、文明の発展を論じている。事実はその時代を生きてきた人でないとわからないが、過去の一部の事実からストーリー立てをしており、一つの解釈としてはおもしろく読める。