戦略参謀 経営プロフェッショナルの教科書 (日経ビジネス人文庫)
- 日本経済新聞出版 (2017年11月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198398
作品紹介・あらすじ
○2013年8月にダイヤモンド社から刊行された書籍の改訂文庫化です。
○大手紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、ある日、
経営幹部の目の前で会社の給与制度を批判したことから、
新設の経営企画室に飛ばされます。
しかし、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、
室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の支援を得ながら、
改革の推進役として一歩ずつ成長していきます。
○社内の地雷を踏みまくりながら、愚直に改革に取り組む主人公の姿を通し、
トップの参謀役である経営企画の仕事とは何か、
そして、企業改革はどうあるべきか、
ストーリーを追ううちに要諦を学ぶことができます。
○本書の魅力の一つはリアルな登場人物の描写です。
「空気を読まない」熱血元営業マンを主人公に、
外部招聘の経営企画部長、
企業の「憑きもの落とし」の異名を持つコンサルタント、
先代社長時代の番頭役で社内No.2専務、
創業者の息子社長、先代社長時代からの会社の裏を知る秘書など、
様々な思惑が交錯する人間模様が描かれます。
感想・レビュー・書評
-
久々のビジネス小説
ケーススタディを読んでいるがごとく、とてもリアリティある物語です。
単に事象を解決していくだけでなく、人間の業にまで踏み込んだ展開が素晴らしい。
結局、人なんだなと思います。
紳士服チェーン「しきがわ」の営業の高山。
場を読まない発言で、専務の逆鱗に触れて、経営企画室に異動。
経営企画室って何?
その役割をコンサルタントの口から語られていきます。
なるほどね。って思いました。
そして、この経営企画室の室長も素晴らしい。
室長、高山、コンサルタントで「しきがわ」を再生していきます。
そして、当然のように出てくる反対勢力。
それが生み出される原因にも言及されています。
この辺がとてもよい。
さて、物語は置いておいて、本書で語られる重要なポイントは
PDCAを愚直に正しく廻すということだと思います。
しかし、これって実はとても難しい。
また、企業文化を作るという点でもトップの重要性が語られていますが、トップだけでなく、中間マネジメントでも意識し続ける必要があります。
人、性善なれど、性怠惰なり
熱い人間模様やヒューマンドラマは描かれていませんが、企業改革・企業再生のケーススタディとして価値ある一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
成長の踊り場を迎えた紳士服を立て直そうと奮闘する若手と、現状維持バイアスに取りつかれた老獪な専務との攻防を通じて、経営企画部とはどんな役回りなのか、企業が組織として力を発揮するには何が必用かを描いた企業小説。
人間の性というのは基本的には善なれど、怠惰に流れるというのはその通りであって、あるべき論だけでなく、人間が陥り易い性も見据えながら、いかにPDCAを正しく早く回せるかが重要。なんちゃってPDCAでマネジメントしている気にならないように、気を付けないといけないな。
・企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという壱連の動作のこと。
・戦略は実践されてはじめて価値がある
・素早く実践し、真摯に振り返り、謙虚に反省し、素早く軌道修正し、実践の精度を高める。
・不振企業を見ると、甘やかされた環境とまでは言わなくても、事業に対する真摯な厳しさが失われ、要領の良さがはびこり、がんばってるふりの上手さが横行していることが多い
・経営とは正しい企業文化づくり
・目先の利益創出のために、むりくりにコストを切りさげる経費削減は百害あって一利なし。経本来費用対効果の視点から掛けるべきコストは投下しなければならない。
・経費削減の鬼はいらない。経費低減のヒーローをつくる。
・仕組みやシステムを導入した人間は、自分が導入した成果を強調したいがために、不都合なことに蓋をする傾向がある。それが積み重なることで組織は疲弊していく。
・企業は、働く者がそこで力を高め、自身の力を発揮して事業に貢献し、そして企業が市場に貢献する。結果としてその存在自体が意義のある会社として発展していくことで、市場も企業も、企業で働く者も皆が幸せになれる。
・世の中に足跡を残してきたのは、保身に走った人たちではなく、道を開こうとあがいた人たち。
・一発逆転ホームラン狙いよりも、当たり前のことをきっちりとやれるようにすることが一番よく効く。
・すべてのビジネスに従事する者は、自分の能力を高め、そして価値のある仕事をしてナンボ。その価値をもって企業に貢献し、企業が社会に貢献することが大事。つまり、根っこは自分の能力を高めることからはじまる。 -
『ぜひ、高山昇になっていただきたいと思います』
あとがきまで心に響く素敵な作品であった。
確かに自分の年代で読み進めると高山さんが一番近いと思い読み進めた。
高山さんが学び実践する内容を自分はできているかどうか考えることもでき、取り入れたい部分もあった。
途中から高山さんの成長幅が急に広くなり、自分との差を感じてしまい共感性がなくなってしまったがストーリー展開はとても興味深かった。組織と経営・人材どの視点でも考えさせられることが多く、自分も実践してみたいことや既にできていて自信に繋がったこともあった。
高山さんの信念や行動力そして主体性・実行力はどれも抜きん出ており、自分の力不足を感じた。
まだまだ頑張りたいと活力をもらえる一冊であった。 -
ー 長期低迷状態を脱出するためになすべきことは、次の三つです。
一つ目は、既存事業で競合状況が激しくなり、飽和状態になっているレッドオーシャン化した市場でも勝ち抜く強みを高める努力を続けること。あるいは、今ある強みを明確にして前面に出すこと。つまり、競争力の強化に取り組むことです。
二つ目は、今の会社の強みを活かして、まだ実現していない未開拓の新市場、ブルーオーシャン市場を見出し、そこで事業を実現できる力をつけること。これらを通して、第2、第3のS字の成長曲線を創造していくことです。
そして三つ目は、ビジネスを始めた初期のころのような、謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢を、再度、組織のPDCAが廻るようにして得ることです。 ー
戦略参謀、つまり、経営企画室のあるべき姿、行うべき事を論じた本。
小説仕立てで分かりやすく面白い。
そして、どのような企業でも起こりうることが描かれている。 -
とにかく謙虚にPDCAを回すことが大事だとよくわかった。頭の中で色々とこねくり回してはだめだね。
-
企業変革小説。経営企画部のミッション、成功した創業者の思考、PDCAの大切さ、大企業病、、
読み応えのある一冊。 -
勉強になりました。あるある感を感じる一冊でした。「人、性善なれど、性怠惰なり」、確かに。自分自身に当てはめても分かります。日々の仕事を見直すいい機会になりました。
-
経営企画のミッション 機能について小説風のケーススタディーでわかりやすく整理されている。
-
経営企画部の機能を具体的に知ることができた。
参謀として何をすべきか、ヒントを得ることができたし、小説としても楽しめる良本だった。