間違いだらけの経済政策

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532260255

作品紹介・あらすじ

戦後最悪の世界不況が日本を襲う。グローバル化が進み、世界経済の構造が変化しても、旧来型の政策論議しかできない政府、エコノミスト、そして言論界。このままでは日本は衰亡する。未曾有の危機に何をすべきか。旧態依然とした経済政策の誤りを正し、戦略的資源政策など新時代に日本が進むべき道を明示する。

感想・レビュー・書評

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  • 現在の経済状況には、マクロ経済理論が適用できないことを主張し、最後に今後行うべき施策について提言している。米国で博士を取得し、財務官としての経験を含め豊富な知識に基づく主張には説得力があり、かつわかりやすかった。ただし、今後のエネルギー政策について述べるに当たり、現在の資源、食料価格が下落した状況での意見を聞いてみたかった。

  • 2008年刊行。著者は早稲田大学教授。著者のいうマクロ経済の側面は大いに首肯。特に、決定論的経済学は未来の処方箋としては効能を失い、確率論を意識した経済学・経済分析の必要性を強く主張する面がそれ。また、本書刊行当時の価格デフレは、東・東南アジア全体との経済統合の結果であり、18世紀後期の欧州にも妥当した世界史的過程の一、というのもよく理解できる。さらに、重要なテーマは、①資源価格高騰への対応(中印の需要増が主因)、②将来の農産物不足(=価格高騰)への対応というのも大いに納得。が、対応策が……。
    どちらかといえば、商学・農業経営学の範疇か。現場主義を唱えるのは著者の誠実性を感じるけれど。また、エネルギー問題に関する、著者の原子力利用の強調も、フクシマ以降、どこまで正当性を保持しえるか。疑問なしとしない。難しい……。

  • 今、世界経済は大きな転換期を迎えている。価格革命、経済統合、金融化と激しい構造改革が進んできている。経済政策もマクロからミクロの部門による介入が必要となってきている。時代錯誤の経済理論、展望のない資源政策を厳しく指弾している。

  • 経済の仕組みが変わり、円高政策、ミクロ経済が重要視されてる。
    そんな中で、日本がもっとアグレッシブな政策をしていくべき、という論調。

    書かれたのが、リーマンショックあたりなので少し古いが、不況で有ることには変わりないので、そう違和感は感じなかった。
    安価なコモディティが逆に資源高で貴重になり、IT機器が安価になるというはわかる。
    円安政策より、円高政策で上手に資源を獲得するべき、というのも納得できる。
    でも、市場中のカネの量が増えてもインフレに至ることはなく、長く続いたデフレは構造的なもので、その利点を受け入れるべし、というのは納得できない。
    一定のインフレ率を維持して経済成長が実現できるし、現状可処分所得がちっとも増えてないのも事実なわけだし。

    いかんせん、マクロミクロ問わず、経済学の基本的てな知識が体系的に身につけれてないので、もうちょっと勉強してから読み直したい。

  • 近年の行き過ぎたアメリカ主導の金融システムから日本はどう立ち直る経済政策をするべきなのか?
    時代遅れになったマクロ政策(循環的変化ならまだしも構造的変化には手も足も出ないマクロモデル)から脱却し何をするべきなのか?
    小泉・竹中によって米国以上の米国型モデルとなった日本には参考になる諸外国や歴史・政策もなく自ら解決の糸口を探すしかないのかもしれない
    農地・エネルギー問題・・・などと様々な問題が日本には絡み合っているけれど困難ながらも乗り越えられるはずである
    そして日本の持つユニークな「良さ」が世界にも見直される時代が来るような気もする
    あまりにも広域な内容なためどこかを掻い摘んで・・・がなく全体を通してすべてが重要と言える良書

  • ミスター円こと榊原英資氏による経済政策論。
    資源価格の高騰とハイテク製品価格の暴落、アジアの経済統合という流れに対して、従来型のマクロ・アプローチな経済政策は有効性を著しく減じている点を指摘し、資源確保に向けた産業組織の構築のための新しい経済政策を提案しています。
    かつて実際に現場の内側にいた人間として、過剰流動性と円安バブルの指摘は説得力がありますが、小泉内閣の政策批判以外は特に目新しい主張も多くなく、政策提案も具体性がいまいちはっきりせず、どこか一方的な表現も散見し恣意的な印象を受けます。ただ、分析としてはまとまっており説得力がありますので、とても面白かったので、興味ある方は一読を。

  • ゆがみの部分で「益川・小林理論」を思い出した。

    以上。

  • タイトルの通りの内容。

    元財務省の偉い人だったようだが、実際本書の内容の妥当性はよくわからない。
    しかし、何十年、何百年?ぐらい昔に構築された経済理論が今でも現役なのはどうかと思う、というような内容があるがそれは同感だ。

    また、「遅れている日本シンドローム」という言葉は非常にしっくりときた。

    時々、「日本は最も進んだ社会主義国」なんて言われることがある。
    携帯分野で言われるように昔は鎖国もあり、ずっと「ガラパゴス」な国が日本だろう。

    国民性も異なれば、経済の構図も異なる。
    それなのに欧米の真似をすれば問題が解決するというのは愚かだ。

    明治や昭和は欧米と同じ舞台に上がるためには必要だっただろうが、現在は日本が真似るべきステージにある国は無い。
    ある意味で世界の先頭を走っているという自覚が無い。

    例えば高齢化にしても、日本は最初に大きな問題となる。
    というか既になっている。

    そのため、前例を探すのではなくて、挑戦していなかければいけないのだが。

    そのための前提である「日本は遅れている」という意識はそろそろ取り除くべきだろう。

    そんな感想を抱いた。

  • 果てさて今でもデフレに関して楽観的に見えるのでしょうか。現実主義という言葉をよく使用されていましたが、名目賃金が下がったらいくらGDPは上昇していると言っても国民は財布のひもを締めるでしょう。

  • マクロ経済学は、もう通用しない。
    デフレは悪くない。
    この人はホントに小泉・竹中が嫌いなんだね。

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著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学経済学部卒業。65年に大蔵省入省。財政金融研究所所長、国際金融局長を経て97年に財務官に就任。99年退官。2010年より青山学院大学特別招聘教授。著書に『「今日よりいい明日はない」という生き方』『書き換えられた明治維新の真実』など。

「2018年 『AIと日本企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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