薄っぺらいのに自信満々な人

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532262815

作品紹介・あらすじ

どんなときも前向き、「完璧です!」と言いきる、会社の同期や同級生といつも一緒、Facebookで積極的に人脈形成…こんなポジティブ志向の人間ほど、実際は「力不足」と評されやすい?SNSの普及でますます肥大化する承認欲求と評価不安を軸に、現代人の心理構造をひもとく。

感想・レビュー・書評

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  • 誠実に生きる人の心を後押ししてくれる良書。本書は、タイトルの通り、能力が低いにも関わらず、自信たっぷりな人たちの特徴を説明するもの。どうも、身の回りに該当者が多い気がして手に取った。私は日頃から、能力が低い人は、能力が低いという事実を認識するところに一番のハードルがあると感じていたのだが、それに対するエビデンスは持ち合わせていない。本書を通して、私の感覚は間違っていなかっことがまず分かり、一歩前進できた。次は、能力が低い人にそれを自覚させ、能力を高めていくために、何をすべきかを学びたい。


  • コミュ力が重要視される世の中。
    いいね!を集める、空気を読むのがいいとされる世の中。
    コツコツと努力したものにより得られるものより、どーんと面白いことをして注目を集めるようなことが重要視される世の中。
    私達おばさんはそう思わなくても若い人はそう思ってるのかな。
    子供達はこんな世界を生きていくのかな?
    AIと生きていかなきゃいけないのに、考えるという習慣がどんどんなくなる環境。
    一人物思いにふけったり、チャレンジして失敗したり、異質な人とぶつかってみたり、恋愛でズタボロになってみたりして自分と向き合うことができるんじゃなかろうか。
    SNSはそれを遠ざけている?
    同調されることを望む人との心理とは?
    同調する人の心理とは?
    それは違うよ、って言ってくれる人は大事。

  • 優秀な人はあらゆる角度からリスクを検討するから自信がなく、薄っぺらい人は思考が浅いから自信満々になる、というお話。ここまでは良かったのだが、3章以降は完全に蛇足。想定している読者像が定まっていないのか、薄っぺらい説教じみた話を延々とされても白けてしまう。自信満々な人はこういうタイトルの本を手に取ることはなく、どちらかと言えば周りにいる薄っぺらい人を苦々しく感じている読者の期待に応える内容が望まれる。目の付け所は良いのに残念。出版社の企画ミス。

  • この本を取り上げたブログと、この本のタイトルに興味を持って読んでみた。
    内容自体は面白い部分もあるが、ところどころ期待していた主題と離れて
    結構偏っているなと感じ、
    にも関わらずレビューの評価が割と高いので意外に思った。

    同じようなことを章を変え文章を少しだけ変え繰り返し語っている感じで
    辛口レビューでも同じような評価を見かけたが
    内容自体はそれこそ薄っぺらいかも。

    心理学に関するところは面白かったが
    よほど相談者の若者がスマホをうまく使えない人が多いのか
    SNSが悪いような論調にはちょっとがっかりした。

    "こうしたポジティブすぎる人に限って、知識や物事の理解に深みがない。自己アピールの時代だといって、SNSで自分の知識をひけらかすような発信をする者が目立つが、受け売りばかりで何も理解していない"
    こういう人が時々いるのは自分も頷くところだが、
    それが簡潔にいうと若さとスマホのせい、というのはどうだろうか。

    一昔前は電車で本や新聞を読んでいたのに、
    最近はみんながスマホでSNSやネットサーフィンをしている、
    という、以前ネットで話題になった
    年配者のお決まりの決めつけがこの本の中にもあったが、
    スマホは本も新聞も読める。
    時代が変わり、ツールが変わっただけで、
    人間のやることなど殆ど変わりはしない。
    紙の本を捲っていれば高尚で、スマホをいじっていれば低俗だ、遊んでいるだけだと見做すのはどうなのだろうか。

    プレゼンするときにメリットだけを述べて押すか
    デメリットもきちんとあげて説明するか使い分けするというのは
    面白かった。

    ヒューリスティック思考(情報処理を極度に簡略化)で
    あの人の紹介だから、と吟味しない人というのも確かにいるし
    (そんな人に限って自分で調べなかった癖に後から文句も多い)
    防衛的悲観主義者のところにあった
    ポジティブばかりが良いとは限らないというのも同感である。

    上を見て頑張るか下を見てあれよりマシと思うか であり
    意識高い系のできるアピールが痛いアピールになっているという指摘も
    自分の周りではFBユーザーに多いなと共感した。

    「あなたが嫌いなんじゃない、あなたのためだから言う」
    と子供に嫌われたくなくて言い訳をしないと注意できない親
    「 試験勉強全然してないんだよね 」とうそぶくことで
    試験が出来なかった時のために保険をかける
    セルフハンディキャッピング
    この辺りもなるほどと思って読んだ。

    以前「 スマホやめますか、信大生やめますか 」がSNS上で炎上したが
    この本でも素晴らしい提言として取り上げられている。

    ソーハラという言葉を初めて聞いたが、
    ソーシャル・ネットワーキング・サービスハラスメントのことらしい。
    現代はなんでもかんでもハラスメントとして言葉が作られていくと感じる。

    FBで「いいね!」ばかりが集まり
    批判されたくない、議論にならないという傾向は確かにあるが
    同質性を助長するものはSNSだけに限らないのではないか。
    SNSを興味のないものや人に触れないで済む
    としているが、自分の好きなものだけを選ぶのは
    友人関係や本や漫画などなんでも同じだろう。

    そしてまた後でSNS疲れに言及されているが
    自分の好きなものだけを選べるなら疲れないのではとも思う。

    自分の周りでは年齢関係なくコミュ症なんて言うが
    大抵がネタで言っているし
    コミュ力が高くないと人として扱ってもらえないという風潮は
    自分としては実感が無い。
    コミュ力重視でおしゃべりばかりで仕事が進まない社員が増えるというのは
    もしかしたらそうなのかもしれないが、実際のところどうなのだろうか。
    飽く迄も筆者の主観という感じがする。

    調子が良く軽いノリ、真剣な話がしにくい関係
    というのは、傍から見ていて薄いな、浅いなと感じるが
    やはりこれも世代とは関係なく個人の資質の問題だと思う。

    指摘や注意で反発、攻撃してくるというのも
    最近の若い者に限った話ではないのではないだろうか。

    同調圧力についてはマスコミで報じられるLINEの印象としてあるが
    これもSNSに限った話ではないと思う。

    個人的にはSNS疲れといって気疲れしてまで
    やるものではないと思うし、
    上司から友達申請があって、
    見られたくないが断って気まずくなりたくもないなら
    リスト分けして公開範囲を分けるなどいくらでも方法がある。

    SNS疲れがある人とない人は、アンケート結果ではほぼ半々とあり、
    疲れない人は友達を増やすことにばかり熱心で、
    表面上うまくいくよう振る舞っているとされているが
    そんな訳はなかろう。
    疲れていない人は適度な距離感を理解し、
    使いこなしているだけなのでは?

    返事がないと不安になる”見捨てられ不安”も
    SNSに限らないだろう。

    JALの入社式の服装に個性がないというのは
    マスコミや”就活の常識”を広めている企業のせいではないだろうか。
    「若者の独自性欲求はどこへ消えたか」などと
    若者のせいにするのは可笑しいと思う。

    筋を通すのと丸く治めるのでは、アンケート結果が
    全社が40%、後者の方が50%以上とあった。
    気になって調べてみたところ、
    1978年から2013年の間に8回行ったアンケートの結果が出てきた。
    筋を通すのが38%~48%、 丸く治めるのが48%~57%で
    後者の方が高い割合だが常に50%以上ではないし、
    1978年は43%:51%であるのに対し、
    2013年は46%:49%で最近の方が差がなくなってきているとも言える。

    世のしきたりに反しても押し通すべきか
    という設問なのであれば、
    それは空気を読んで合わせるべきという回答が増えても当たり前だと思うし
    これを『主義主張のない人が明らかに増加傾向』とするのは疑問である。

    『「一人は寂しいやつ」と思うのは学生時代の感受性』と言うが
    自分が社会人になって一人でお昼をとっていて
    寂しいやつだと突っ込んできたのは年配の人だったし
    やはりこれも若い人云々の話ではないと思う。

    一人になったらスマホをいじるというのも
    上記のとおり本など昔の暇つぶしのツールがスマホに置き換わっただけで、
    スマホのせいで思索に耽ることができないというのは可笑しい。
    『検索で出るのは人が整理した情報』というが、検索結果は
    真偽不明で自分で精査が必要だし、これは文献などをあたっても同じだ。
    むしろ検索すらしないで人に訊けば良いと思っている人も多いし、
    調べるだけで自分で考えないのも若者だけの話ではない。

    親に反抗できなかった人は自分ができていないといのは
    そうした研究結果があるのだろうか?
    自信がなく依存的になるとあるが。
    親に反抗することで自分ができてくるというのも疑問である。

    創造的な仕事をする人は孤独な時間を持っている、
    風呂に入ってるときなどにアイディアが浮かぶ
    というのも、大抵の人は風呂にスマホは持ち込まないし
    持ち込んで長風呂するなら、スマホで読書したり
    仕事をしたりするだろうし、
    スマホがあれば常にSNSに縛られているというのは
    一昔前の
    『ポケベルや携帯を持たされて常に仕事に縛られている』
    という年配者の発想と似たものを感じた。

    ネットでもスマホでもSNSでもなんでも
    ツールである以上使う人・使い方による。
    スマホ=SNS→疲れる害のあるもの、
    若者世代はこれだから云々、というような
    レッテル貼りこそが人を疲れさせ
    人を薄っぺらにするものだと思う。

  • スマホを捨てよ、一人になろう、か。なるほど。

  • 私も群れる人は得意ではありません。一人になることで、学べることもたくさんありますから。

  • 決めつけてる感のある文章だなという印象を持ちました。
    でも内容は、なんとなく私の中でモヤモヤしている事を言葉にしてくれていると感じました。
    思い当たることもチラホラあったりして…
    気をつけなければ…

    何かを決める時は、なぜそういう事をするのかという説明責任を意識する事。
    上方比較を意識する事。
    今後この2つは気をつけて意識していこうと思います。

  • 部下に対してもそう思っていたが、実は自分もそうであると気づいていたタイトルだったので、手に取った。

    普段自分も思っていることを、明文化してくれていて、そうだ。そうだ。と思いながら読んだ。
    ただ、皆さんが感想を書いている通り、そういう人たちに対してどう対応が良いのかも知りたかった。


    できる人:不安を感じることが対応力の向上につながる。
    できない人:自信があり、自分の無能さに気付かず〝わかったつもり〟〝できるはず〟と思っているため、なかなか成果をあげられない。


    仲間と常に群れる人ほどストレス耐性が低い。
    何かあるとすぐに仲間に愚痴をこぼす、相談する。これはコミュニケーション力ではない。身近な相手に依存しているだけ。自分のことを、持ち堪えるこたができないだけ。自分1人で、持ち堪えられる容量を大きくすることが課題。


    自分と合わない人と判断したら関わろうとしない。どちらかが正しく、どちらかが間違っていると言う感覚でいると、異質な存在を認めることができない。認知複雑性が低いのだ。


    目標より学習目標を持つ。

  • 他人からの評価は目標ではなく、たまたま降りかかってくる結果。

  • 題名に合う人が想像出来たので、内容が理解しやすかった。
    自身も人に言える立場でないことを弁えて、今後も仕事に励みたい。

    執筆されている内容は若者〜高齢に至るまで全ての人に当てはまることだと自身は感じた。

    業績目標よりも学習目標を持つ、この考え方は職場以外のどんなスキルを磨く上でも大切。

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著者プロフィール

榎本 博明(えのもと・ひろあき):1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。川村短期大学講師、 カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。産業能率大学兼任講師。著書に『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「対人不安」って何だろう?』『「さみしさ」の力』(ちくまプリマ―新書)など。

「2023年 『勉強ができる子は何が違うのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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