- Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532310851
作品紹介・あらすじ
"経営"とは"実践"であって"学問"ではない。企業とは物ではない、数字の総計でもない、現場に出かけるところから"改革"は始まる。ゴーン流経営哲学のすべてがここに。
感想・レビュー・書評
-
ビジネスマンとして、多少なり日本の文化にも影響を与えたカルロス・ゴーン。本著にも出てくるが「新しい上司はフランス人〜」の歌はゴーン氏を象徴しているようであったし、コミットメントという言葉も流行、浸透させた。その頃には、特別背任罪も逃亡劇も勿論予想されぬ中、イケイケのプロ経営者という風情。その生い立ちから、ミシュラン勤務時代、ルノー、日産へとのドラマが綴られる。ビジネス書であり、啓蒙書であり、小説のようでもある。学びあり、刺激あり、読み応えたっぷりの本だ。
99年の日産リバイバル・プラン。2万1000人の削減と国内5工場閉鎖。今でもネットで内容が見れるので、資料を見てみた。流行りのスタイリッシュなデザインのパワーポイントではなく、2000年前後の無骨な感じだが、要点がコンパクトで力強い。虚飾の無さが、経営やIRの本質だと改めて感じさせられる。
ゴーンはマロン派のキリスト教徒、つまり東方カトリック教会の信者。レバノン生まれでブラジルに移住。フランスでグランドゼコールに進学。一般の大学とは異なり、中学高校と言う中等過程が終了したときに始まる、厳しい選抜の過程を経て初めて入学が許されるような、いわばエリート中のエリート要請機関だ。中身は本著、来歴はググれば分かるので省略する。
ー 人は困難な仕事に取り組んでこそ、それにふさわしい力量を身に付ける。ぬくぬくしたところにいたのでは成長しない。そういう機会にこそ幹部が育つ。会社にとって重要な大きなプロジェクトに放り込む必要がある。
中々、考えさせられる言葉だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゴーンの「その後」を知る今だからこそ、本書を読もうと思った。
実は彼の「名声」と「人気」が最も華やかりし出版直後、書店で平積みされていた一冊をすぐ購入してしまったものだが、実際に読むまでには至らなかった。それから約20年を経ての初めての読了だ。
あらためて、彼が「狭義のビジネスマン/経営者」、即ち「成果を出す為の能力と実績を有する個人」としては間違いなく稀有なる傑物であったことは良く分かったし、そうした能力やスキルを身に付けるに至った地道な努力や経験の積み重ねにも敬意を表したい。しかし一方で、本書では全く触れられず、一切表に出ていない彼の一面が、その後の「あの事件」に繋がったのかと思うと、実に感慨深い。彼はあの一件をして、ビジネスマン/経営者としての品格や名声さえ失ったと云えると思う。 -
本書を読み始めた頃、図らずもカルロス・ゴーンさんが日産の社長を退任されるとのニュースが入ってきた。ゴーンさんの実績は、すでに歴史で語られるところとなっているが、本書を読むことで、その初期のころのご活躍が手に取るようによくわかった。並行して読んだゴーン・テキストでは、ゴーンさんのスピーチが録音されたCDがついているので、日産リバイバルプランを英語と日本語でスピーチされたことや、会場から拍手がおこったことも、とてもリアルに感じられた。
ゴーンさんあっての日産復活劇。いや、ゴーンさんによって、潜在能力を発揮した日産の社員の方々による復活劇。素晴らしいと心から思った。
アイデンティティを失わずに、グローバルに活動できることが、明日の自動車業界で生き残るための条件など、印象的なメッセージが多い。
フランス人記者によるインタビューを和訳したものでもあるため、物事の視点も日本人よりではなく興味深いものが多い。 -
Citoyen du Monde(地球市民)
http://www.nikkeibookvideo.com/item-detail/31085/ -
経営の話なのに面白く一気に読みました。
インタビューを交えているのでゴーンさんの思いが伝わってくるようです。
ゴーンさんの考え方、日産を立て直すために取り組んだこと、共感できました。特にリーダーが取るべき行動について、参考になりました。自分もリーダーとしてみんなの力を引き出せるようになりたいのでもっと理解したいと思いました。もう一度読み返してみようと思います。 -
よく知らなかったが、なかなか魅力的な人だった。
その出世には国の仕組みも絡んでいたのだろうが、しっかりと考えて今を大事にしてきたのだろう事が伺えた。
経営において現場を知ることが大事。
改善しなければならないが、否定しては協力は得られない。
問題点は現場に聞く。
部門横断的に解決する。
自分の仕事にも活かせそうな話もあり、面白かった。 -
160 20140527
-
日産再建までの長い道のりの話
グローバルな企業文化とは”経営陣がグローバルであるということ”だそうだ うーむ -
カルロス・ゴーンさんの生い立ちから日産での活躍までが語られている本。彼の半世紀の伝記というか生き様を語っている感じです。
インタビューという形を取り入れているのでとても読みやすい構成です。
ゴーンさんって生粋のフランス人だとばっかり思っていましたが、実はルーツはレバノンで、ブラジルで生まれ育って、フランスで学び、そしてミシュランで働き、その後、ルノー、日産といったキャリアだったんですね。そして、その間、アメリカで活躍したり、また、戻ったりと、それこそ世界中で経営をされてきた人なんだと思いました。
このマルチカルチャな人だったからこそ、日産とルノーのアイデンティティを保ちつつ連携を実現できたのだと思います。
17章でも真のグローバル化について
「お互いがしっかりアイデンティティを保ち、それを認め合っているからこそ、グローバル化が達成できる」
と語っています。
本書の前半はこのルノーまでのキャリアとそこで学びえたことを中心に語られ、後半が日産でやってきたことが語られています。
リバイバルプランについては、すでに多くの方が知っているので、ここでは紹介しません。
本書からなるほどと思ったことを紹介します。
・日本企業の弱点
本来、企業が優れたパフォーマンスを実現するためには、オペレーション効率と戦略が必要なのに、日本企業の多くはオペレーション効率だけで世界を相手に競争してきており、戦略がなかったと指摘しています。ここでいう戦略とは、ユニークな製品やサービスによって競争するための戦略のことです。
もっというと、日産の例でも出てきますが、日本企業にはビジョンがない(戦略がない)ということが大きな弱みなんだと思います。きっと当時の日産だけではないと思います。
ビジョンは大事!!
・経営者とは
状況を把握する
社員との対話
困難の原因はいつもその企業自身の中にある
責任を引き受ける
経営者の責任
平等にチャンスを与える
フットワークの軽さ
本来の使命を大切にする
時間を管理する
とゴーンさんはあげています。
中でも、「困難の原因はいつもその企業自身の中にある」のコメントでは、経営者が絶対にしてはならないこととして、
失敗の原因と責任を外部要因や関係者の不手際に押し付けようとする責任転嫁の態度
と
ひたすら危機を回避しようと、逃げの姿勢をとること
だそうで、特に責任転嫁の態度については、とても耳が痛いです。それってやっちゃうよなぁ..
・真のグローバル化
コミュニケーション手段としての英語は当然のこととして、上述したとおり、マルチカルチャな企業文化を持ちつつ、自らのアイデンティティを失わずにグローバルな活動ができるようになることが重要と思いました。
ということで、本書を通じて日産の再生だけではなく、日本企業の再生に対するヒントが盛りだくさんな良書だったと思います。
おすすめ、でも、読むのに時間がかかる(笑) -
経営のノウハウというより、著者の半生や人生哲学が語られている