アメーバ経営: ひとりひとりの社員が主役

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532312954

感想・レビュー・書評

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  • 2019年1月7日読了。京セラ創業者・稲盛和夫氏による経営哲学というか実行法、「アメーバ経営」を解説する本。関連会社をお客様として担当することになり読んでみた。各リーダーが経営を意識して事業体を管理する・そのために経営に関する数字を透明化する、という哲学は興味深いし理念としては面白い・そのとおりと思うが、後半に行くに従って「アメーバ経営を実行していくと営業・製造の対立が起きがち」「リーダーは利己的ではだめ、同時にリタ精神が必要」「上に立つものは高度な経営判断と同時に現場を熟知する必要がある」などダメダメ記述が増えていくのは著者としても苦々しい経験を多数してきたからだろう、実際にこの理念を現実に落とし込むのは相当大変なのだろうな…。組織を機能させるには、カリスマ的リーダーや全員が腹落ちできるフィロソフィーが重要、ということか。

  • 経営者も含めて組織の人間の人格を高めることが最優先であって、それベースが確立されてから、はじめて経営ルールが策定可能になりこの経営手法が成立するような気がする。

  • アメーバ経営という、稲盛氏が築き上げた経営手法、リーダーシップを解説した本。

    『蟹は甲羅に似せて穴を掘る』という言葉があるように会社というのは、その経営陣の器より大きくならないものである

    アメーバ経営の目的のひとつは、経営者意識を持つ人材育成にある。たとえ現段階で十分な経験や能力がなかったとしても、リーダーとなる可能性のある人材を発掘し、その人材にアメーバリーダーを任せていくことが大切である。その場合、リーダーに経営を任せきりにするのではなく、新しいリーダーを指導、監督する立場にあるものが、足りないところを指導し、育成していかなければならない。つまり、アメーバの責任者になるべき人材が不足している場合には、組織をあるべき姿に分けて、将来性のあるリーダーを抜擢し、育成していくことが必要なのである。

    などなど。

  • 現JALの会長である稲森和夫氏が、京セラ時代の経営について記述している。

    その根幹にあるのは、経営の基本である「売上の最大化と経費の最小化」
    これを実現する手段として、アメーバを組織の最小単位としている。

    全社員に経営者意識を持たせ、経営効率化を企図するアメーバ経営であるが、
    どの企業も行っている費用対効果の発想からの経営効率化に加えて、
    アメーバ経営の特長は「時間の効率化」
    時間当たり採算表をベースにしてPDCAサイクルを潤滑に回していることが、
    京セラという企業を強く、そして発展させてきたと言える。

    昨今言われる「見える化」の重要性を早くから認識し、インフラ作りを進め、
    それを経営に活かしてきた先見性が窺い知れる。

    大企業ほど見習うべきものであるが、大企業ほど実現の難しさを感じる。


    本書は、経営上見習うべき、参考にすべき点が極めて多い。
    ややもすれば精神論的なものもあるが、それはそれで必要。

    個人的には以下の分に感銘を受けた。

    「能力を未来進行形でとらえる」ことができる者が、
    困難な仕事を成功へと導くことができる。
    「何としても夢を実現させよう」と強く思い、
    真摯な努力を続けるならば、能力は必ず向上し、道はひらける。

  • 『第1章 ひとりひとりの社員が主役』
    ・アメーバ経営の目的.
    ①市場に直結した部門別採算制度の確立.
    ②経営者意識を持つ人材の育成.
    ③全員参加経営の実現.
    ・「売上を最大に,経費を最小に」
    ・ファインセラミックスの製造工程は,原料,成形,焼成,加工などの肯定に分けられる.この各工程をひとつのユニとオペレーションとして分割し,原料部門が成形部門に原料を売るというかたちをとれば,原料部門には「売り」が発生し,成形部門には「買い」が発生する.各ユニットはひとつの中小企業のように独立した採算単位となり,自主的に経営することができる.「社内売買」.

    『第2章 経営には哲学が欠かせない』
    『第3章 アメーバの組織づくり』
    『第4章 現場が主役の採算管理』
    ・時間当たり採算制度-総付加価値を総労働時間で割った一時間あたりの付加価値を算出している.シンプルで分かりやすい採算管理手法.アメーバの姿が見えてくるには,時間当たり再三表の経費項目をどのように分けていくかがポイントとなる.

    ----------以下感想----------
    自社の経営体制がどうなっているかもしらない.
    どんな部門があるのかも知らない.

    それを知ってから,もう一度読み直してみよう.
    もっとためになるはずだ.

  • 京セラ創業者の稲盛さんが考え出した「アメーバ経営」の解説書。「売上は最大に、経費は最小に」はシンプルで当たり前だけど実際は全然やれてないです・・・。「経営の神様」と呼ばれるだけあってとても分かり易い説明でした。

  • 「社員を家族のように」という理念の実践あってこその部門別採算性か。
    これも現場にリーダーシップを発揮させ主体的に行動させるためのひとつの方法なんでしょうね。

  • アメーバ経営の考案者である京セラ創業者の稲盛氏が、
    アメーバ経営について書いた本。
    自身で考え抜いて最適な管理手法を生み出しだけあり、
    非常に納得できる内容が多数書かれている。

    アメーバ経営とはビジネスとして成り立つ一つの単位を
    アメーバとし、一つ一つが採算管理を行う手法である。
    その結果、精度の高い収益管理ができるだけでなく、
    リーダーや経営者となる人材の育成、帰属意識の向上、
    意思決定の迅速化などさまざまな効果が期待できる。

    ただし、京セラがこの手法を用いた経営が成功させて
    いる背景には創業者稲盛氏の哲学、リーダシップ
    があるということを忘れてはならない。

    また、アメーバ経営の実装方法についての記載は
    乏しく、アメーバ経営の根本にある考え方を学ぶ
    ための本ともいえる。


  • 京セラ、そしてKDDIを創った稲盛さん。 そんな稲盛さんの経営のキモがこの「アメーバ経営」。 書いてる内容としてはいたってシンプルではあるものの、こういったことを真理としてシンプルに言い表せることが稲盛さんのすごさを表している気がします。 もちろんシンプルとは言っても、実践することはかなり難しそうです。社会的善悪の区別や、人に対する誠意を絶対に見失わない稲盛さんの人柄の素晴らしさを垣間見ることができる1冊です。

  • 京セラ 稲盛
    集団を率いていくには、結局、人の心を頼りにする以上に確かなものはない。

    アメーバ=小集団組織

    会社の目的は夢の実現以上。実際は社員の一生、生活、幸せを守ること


    アメーバ経営3つの柱 人間尊重の経営
    1-市場に直結した部門別採算制度の確立
    2-経営者意識を持つ人材の育成
    3-全員参加経営の実現

    アメーバ経営
    会社の部署感で社内取引するイメージ
    それぞれのユニットが売上最大に、経費最小を意識するようになる
    経営者はどこの部門に問題があるのかすぐに分かるようになる(1つ目)

    従業員としてしてもらう立場から、リーダーとしてしてあげる立場に。
    時間割採算なら知識なくてもすぐに実行可能
    経営者意識を持たせる(2つ目)

    家業を継いだり、金銭目的を理由とする会社の大家族主義化の難しさ
    経営の目的、理念が必須(3つ目)

    京セラの理念は
    全従業員の物心両面の幸福を追求し、人類社会の発展に貢献すること
    →自分が先陣を切っていくことで、仲間意識が生まれる



    アメーバ経営を行うための組織の3分化条件
    1、明確な収入が存在し、その収入を得るために要した費用を算出できること
    2、ビジネスとして完結する単位となること
    アメーバリーダーが経営者としてやりがいを感じられる単位であること
    3、会社の目的、サービス、方針を遂行できる単位であること

    アメーバ間の売買取引の価格設定は、最終消費者向け価格から逆算して設定しなければならない
    (アメーバ間で利益を取り合うから)
    →経営者が、各部署えお理解した上でフェアな値決めを行う


    全てのリーダーは、自己研鑽に努め、心を高め、心を磨き、人格を磨く必要がある
    プリミティブな価値観を大切に
    公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、博愛

    実力主義 年齢差ある人に対する説明
    先輩社員はただ怒るだけでなく、冷静になって、俺があいつの代わりに役員になることが会社にとって本当にプラスになるのかを考えてほしい。そうすれば俺がなるより、あいつが今役員になった方が会社にとって大きく貢献してくれると思える節があるのではないか。若い能力のある人材に会社を引っ張ってもらうことは社員の幸せにとってプラスだ。だぁら若手の抜擢を妬んだり、恨んだりするのではなく、心から喜ぼうではないか。


    今度は俺だ、と年功序列で自己を立てるのではなく、本当に実力のある人物に会社を率いてもらおうと思えるほどの度量を持ってほしい。

    実は今度こう言う人物を入社させようと思っている。創業以来のみんなよりも上の役職で。もしみなさんが、何処の馬の骨ともしれない人が上に来てもらっては困る。と言うのであれば採用はやめるが、「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」と言う言葉のように、会社は経営陣の器より大きくはならない。経営理念に心を誓ったのであれば、中途採用の幹部が来ても構わない、と思うのであれば採用しようと思う。


    成果主義、短期であまり評価していない=欧米式は熱も冷めやすく、儲かっていない部署には辛い

    =みんなのために一生懸命働き、長期にわたり実績を上げた人に対して、その実力を正当に評価し、昇給賞与や昇格を処遇

    他社に合わせて部署を設けるのではなく、
    必要な部署を洗い出して設ける
    例えば、業務負荷が少ない人事経理全てをやる「管理部」とすることで、スリム化

    各部門の役割を明確化 京セラの例
    製造:顧客を満足させるものづくりを通して付加価値を創出
    営業:販売活動を通じて付加価値を創出し、満足度を高める
    研究開発:市場ニーズに基づいた製品技術を開発
    管理:各アメーバの事業活動を支援し、会社の円滑な運営を推進

    事業所において
    営業と別の営業を兼業させる
    メリット:コスト削減。
    デメリット:営業取れない言い訳できてしまう。もしくは、楽な受注をしてしまう

    営業と別の営業を別々にするメリット:
    言い訳させない。こちらが推奨。

    自分が売っているモノに原価を知っているか知らないかは、雲泥の差 アメーバリーダーが

    アメーバ同士が競い合うのではなく、菅廉部署との調和を図りながら自発的に力を伸ばしていくことが会社にとって理想的であり、短期の実績のみを考慮した報酬制度は危険

    時間当たりで算出することで、各アメーバは1時間にいくら稼いでいるのかを認識できる

    労務費を付加価値から除く理由
    労務費が各アメーバ責任者で管理できないから。
    会社の採用方針、人事総務に関連する方針、


    目標は個数や数量ではなく、金額で。
    金額はみんなが使っている単位。

    京セラの原則
    1対1の原則:モノと金はセット。伝票と納品物など

    ダブルチェックの原則:
    人が数字を改竄することを防ぐ 魔が刺すのを防ぐ
    人間の持つ弱さから従業員を守る

    完璧主義の原則:
    経営目標にしろ販売目標にしろ、完璧を目指すことでミスを減らし目標に到達できる


    筋肉質経営の原則:
    無駄なコスト(贅肉)を減らす

    採算向上の原則:
    内部留保を増やし自己資本比率を上げ財務体質強化

    キャッシュベース経営の原則:
    その月の事業活動によるお金の動きをそのまま採算表に反映させる


    値段は客が決める
    売値-原価=利益 の考え

    営業部門の収入は手数料で計算

    受益者負担の原則

著者プロフィール

1932年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長に就任。84年、第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問、2010年には日本航空会長に就任する。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問となる。84年、稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。2022年8月逝去。その他著書に、『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』『成功への情熱』『生き方』等がある。

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