「日本の経営」を創る: 社員を熱くする戦略と組織

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314224

作品紹介・あらすじ

逆風こそ、変革の好機。事業を元気にする組織概念、人の心を動かす戦略…アメリカ流の後追いではない、独自の経営スタイルを編み出せ。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの鉄鋼業界が弱体化したのは、日米貿易協定が原因
    ・日本の鉄鋼製品の価格が米国内で高く維持され、米国鉄鋼業界の危機感が下がった
    ・すると、投資をやめて設備更新を遅らせたため、設備老朽化によりコスト高が進む悪循環
    ・R&Dにも投資せず、新分野にも出遅れ

    アメリカ流経営の弱味
    ①安易な多角化
    ②高すぎる配当性向
    ③短期リターン志向
    ④組織の非連続性
    ⑤品質より目先の利益追求
    ⑥ものづくりの弱さ
    ⑦インスタント成金主義
    ⑧社員の低コミットメント
    ・日本は所属、アメリカは参加
    ⑨所得配分の過度の偏り

    日本的経営劣化
    Ⅰ.年齢構成
    ・管理職比率が高まった
    ・人口変化に合わせて人事のやり方を変えられなかった
    Ⅱ.潤沢なキャッシュによる驕り高ぶり
    ・使い道がわからず、シナジーのない多角化
    Ⅲ.経営者人材の枯渇
    ・成長した企業では、ある世代の経験が、前の世代より劣る構造
    ・優秀な人を選別して育成できない人事制度
    ・優秀なひとは転職する風潮の高まり

    優れた日系企業では、年功序列の形のなかで、若い実力者にどうやって実質的な権限を渡すかという隠れた努力をしてきた。

    いまも昔も、共同体としての職場社会の人間的安定と、経済的に合理性の高い意思決定を行う仕組みの両立が課題。

    大きくなりすぎた組織は、適切なサイズまで分けることで事業活性を高める。分けられた組織を戦略的に俯瞰し、競争原理を働かせたり、潰すところは潰すことが重要。効率がある程度落ちても、そこにいる人間が面白いと感じて頑張るエネルギーの方が大事だと割りきる。

    改革の疲れを乗り切るために、アーリーウィンを意図して計画に入れ込んでおく。アーリーウィンについてもメンバーに共有しておく。

  • アメリカ流経営の9つの弱み。
    1.安易な多角化,2.高過ぎる配当性向,3.短期リターン志向,4.組織の非継続性,5.品質よりも目先の利益追求,6.ものづくりの弱さ,7.インスタント成金主義,8.社員の低コミットメント,9.所得配分の過度の偏り。
    日本企業:組織の官僚化、戦略の欠如、経営者人材の枯渇。
    共同体としての職場社会の人間的安定&経済的に合理性の高い意思決定。
    論理化する力、具体化する力
    戦略コンセプトとフレームワークの事前共有。具体化していくプロセスで人を育てる。

  • 私は、モノづくりから私たちの生活に感動や時間を作りたいと考えている。そして、そのために今自分の中で大きな問いとなっている「効率性と創造性の良きバランス」つまり、創造的なモノづくりができる、継続的に人材が成長する組織環境作りをしたいと思っている。

    そこに、軸となくミカタを言葉としてはっきりとさせてくれた一冊である。

  • ー ここから先は少し抽象的な話になりますが、企業をモノとして見る見方と、企業をヒトとして見る見方のトータルピクチャー、トータルバランスの論理というのがキーポイントだと私は思います。会社法の論理というのは、基本的に企業をモノ、財産の固まりとして見ています。財産の処分権を誰が持つかという議論をしているのが会社法なんです。ですから、基本的に財産の処分権を株主というエクイティーを出した人が持って、議決権はこういうルールで決めますよというふうにできています。これはもう単純に処分の論理ですから、突き詰めていくと、金をもっとよこせというスタンスに必ず行くんですよ。

    一方、企業をヒトとして見ると、人が働いて、人が学習をして、人が蓄積をして、さらに発展するための努力をこの人たちがしますという見方になります。そういう組織体として、継続的に存在し続けるために、どんなことが必要かを経営者は考えます。ここには処分の論理、モノの論理はまったくないんです。しかし、両方の論理が存在しないと、企業という実体は存在し得ないんです。間違いなく財産の固まりという側面もあるわけですから。その折衷なんですね。私もいつも困っているんです。 ー

    三枝匡さんと伊丹敬之さんの対談。
    12年以上前の作品だけど本質的な議論なので古く感じなくて面白い。

  • 2020年4月再読

    バブル崩壊以降、日本の経済の、従って、日本企業の世界の中でのプレゼンスは低下の一途である。国全体の生産性の相対的な位置づけが、どんどん下がっている。
    それは、日本の企業がグローバルな競争に勝てていないということでもある。
    ただ、だからと言って、アメリカ企業のマネをすれば良いというものではなく、日本企業は日本企業なりの経営のあり方を確立すべき、という内容の対談をベースとした本。
    とても示唆に富む。

  • 一橋卒から、ボストンコンサルタント、スタンフォードのMBAという輝かしいキャリアを持ちながらアメリカ系マネージメントにどっぷりとつかった後、日本に帰ってきて、数社の大企業立て直しを行い、現在総合商社ミスミのCEOを務める三枝さんと、ずっとアカデミー界から企業戦略やマネージメントを研究し続けてきた伊丹さんの対談。エクスパティーは似ているものの、キャリアは対照的なほど違う二人が、現在の日本が必要とする「経営」とは何かを題材に語り合う。非常にかみ合った内容で、面白いと思う。特に、三枝さんの、「小さいチームに、『創って、作って、売る』を徹底させる」というプラクティスは、マトリックス組織をうまくマネージできずに大混乱のわが社にすぐに取り入れたい。のだが、残念ながら私にはその権限がない。

  • ・学者の理論が悪いのではなく、ビジネスマンによる理論の現実への応用力に問題がある。
    ・「創って、作って、売る」のサイクルを速く回すことが、事業の優劣を決める。
    ・マインド連鎖を起こせる戦略=シンプルなストーリー

  • 日本企業のこれからの生き残りのための書

  • 三枝さんの書籍を全部読んでいると、振り返りとまとめのように使える書籍。

  • 三枝さんの創って、作って、売るの思想を学びたく、読み始めました!(中田)

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著者プロフィール

(株)ミスミグループ本社名誉会長・第2期創業者。一橋大学卒業、スタンフォード大学MBA。20代で三井系企業を経て、ボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号コンサルタント。32歳で日米合弁会社の常務、翌年社長就任。次いでベンチャー再生等二社の社長を歴任。41歳から事業再生専門家として16年間不振事業の再生に当たる。2002年、ミスミCEOに就任。同社を340人の商社からグローバル1万人超の国際企業に成長させ、2021年から現職。一橋大学大学院客員教授など歴任。著書4冊の累計100万部。

「2023年 『決定版 V字回復の経営 2年で会社を変えられますか? 「戦略プロフェッショナル・シリーズ」第2巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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