JAL再生: 高収益企業への転換

制作 : 引頭 麻実 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532318543

作品紹介・あらすじ

誰もが驚いた、遙かに予想を上回るV字回復。奇跡の再生劇を生んだ「稲盛改革」に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • JAL再生を読みながら、考えることが多くあった。

    なぜ JALが 破綻したのか?
    というなかで、
    『経営は経営 現場は現場』ということが、
    一番の問題なんだと思った。
    経営と現場はなぜそんなに距離があるのかと
    いつも悩んでいた。それをうまく説明できなかった。

    経営する側は、管理することに 苦心する。
    そうじゃなくて、稲盛氏は、管理者ではなく、
    リーダーとなることを要求した。
    管理者は、マニュアル通りにできているのか
    と言うことだけが問題であり、
    現場での対応がマニュアルに基づいているか
    どうかに関心がある。
    つまり、顧客視点は その中には生まれない。
    『社内事情を優先して、顧客視点を欠如する』
    ことがあってはならない。
    顧客に答えるために、
    リーダーはどうしなければならないのか?
    そのことに 全力を挙げることが 必要となる。

    現場の意見をどう把握するか?
    と言うことは、経営者の必須事項だが
    どうしても、経営者の見たいものしか見ない。
    意見を聞かなくなった経営者は 少なくとも 失敗する。

    指示待ちニンゲン、指示された範囲内でしかシゴトをしない。
    それは、リーダーになれない。
    聞く耳を持たないのは さらに、リーダーになりえない。
    結局 縦のリーダーがいても、
    ヨコのリーダーがいなければ、
    物事は進まない。縦のリーダーは、部分最適しか考えない。
    ヨコのリーダーとは、全体最適の視点をもっている人だ。

    JALの『傲慢さ、プライドの高さ、エリート意識の強さ』
    が JALの挫折を つくってしまった。
    それを変えるのが 意識の改革にあったということ。

    フィロソフィをつくり、リーダー教育をする。
    そして、職位関係なく うちあげコンパで語り合う。
    部門ごとの採算報告 なにが問題なのかを 
    担当取締役が語る。
    稲盛的な経営改革の手腕が、すごいなぁ。
    無私である。利他的であること。
    1年ほどで 立て直し、
    JAL史上 最大の利益を あげている。

  • もちろん一度破綻を経験しても、復活できたから美談になる。
    すべてが上手く行った訳ではないと思うが、この2010年度の決算数字を知ると、逆に「今までは何だったの?」とさえ思ってしまう。
    なぜ経営破綻したのか?とさえも。
    つまりきちんと経営できていれば、ちゃんと結果を残せる体質だったのではないか。
    何から何まで全部だめで、やれるだけやり尽くして破綻したのではないということだ。
    しかしJALは結果的に破綻した。
    つまり逆説的ではあるが、破綻まで追いやられたからこそ、全てをリセット出来たのかもしれない。
    日本と言う国は不思議なもので、止めることが出来ない文化だ。
    (逆に2000年間も国家が続いてきたという良い面もある)
    これまた不思議なもので、一度スクラップされると、ビルドに関してはもの凄い力を発揮する。
    それは明治維新後の富国強兵政策も然りであるが、太平洋戦争での敗戦後の復興も凄まじい。
    震災後の復興だって課題は多いが一方で現場の力強さも感じる。
    つまりきちんとできる土壌はあるはずなのに、途中で慢心するのか何なのかは分からないが、どうしてもどこかで躓いてしまう。
    それが日本という国なのかもしれない。
    ことJALの復活に関しては、元々のポテンシャルは別としても、やはり経営を稲盛氏が見たことが大きかった。
    強力なリーダーシップを発揮したからこそ、ここまで復活できたことに異論はない。
    しかし実行したことと言えば、最大の功績はJALフィロソフィの浸透だ。
    それだけに「なぜ我々はこの仕事をするのか」は大事ということだ。
    JALとしての哲学。生き方をどう設定するか。
    それを異なる現場の社員一人一人にどうやって腹落ちさせていくのか。
    そこを徹底的に行ったことは、本当にスゴイと思う。
    (実際に実行した社員の熱意もスゴイ)
    稲盛氏は徹底的にリーダー研修も行った。
    つまり人を育てないと企業経営は続かない。
    現場のスキルアップだけでなく、人間としての器を育てる。これが大事なのだ。
    正直当社で言えばまだまだ出来ていない。
    リーダー研修も形だけになってしまっている感は否めない。
    「どうせダメだ」と思ってしまったらそれまでだ。
    変わりたければ、情熱を持ってやるしかない。
    JALも劇的な復活が出来たのだ。我々に出来ない事はないと思う。
    慢心せずに真摯に、そして情熱を持って目の前に課題に向かうべし。
    心からそう思うのだ。
    (2021/6/13)

  • 来月、このテーマでの集まりがあるので予習として。

    2010年2月20日に上場廃止したJALが会社更生手続きの開始1年4ヶ月で1884億円の営業利益を叩き出し、2年8ヶ月で再上場を果たすまでの軌跡を、同社内50名へのインタビューを通じて明らかにする一冊。

    文字になってしまえば、それだけの事でホントに会社が復活するのか!?と言う、ひたすらな、稲盛フィロソフィ・燃える闘魂の注入に継ぐ注入。業績に対するコミットメントと責任の所在をひたすらハリセンで明らかにする活動の連続。逆にいえば、構造的にいくら会社が整っていても、其処だけは人が繰り返し繰り返し手を入れないといけない箇所なんだという事を明らかにしていると思う。

    ともすれば人心を操作する洗脳のような事に繋がるからこそ、人として正しい事かという孤独な自問にリーダーが向き合い、チームが熱を持つ関係が必要なんだなー

  • JALが再生した要因を分析。確かにまとまってはいるのだが…。過不足なくうまくレポートをまとめた感じ。
    もう少し現場の熱気のようなものが伝わるものを期待していた。

  • JALについて、というよりもいかに稲盛氏がすごい人かを書いた本。
    最近はLCCも増えてきたし、破綻時の殿様商売からさらに意識の転換を迫られるのではないだろうか。

  • 経営破綻したJALが再生するまでのドキュメントをまとめた一冊。私も業界は違えど某大手インフラ会社に勤める身ですので、JAL破綻と再建の物語にはとても興味がありました。稲盛さんのリーダーシップとフィロソフィ浸透をスポットライトの中心にすえて描かれています。人間、ロジックだけでは動かないですよね。牽引するリーダーがいて、腹落ちできる共有の想いがあって、かつそれを推進する仕組み(アメーバー経営管理、育成制度、情報公開など)がある。この3つが一体となるからこそ変革が達成されるということを、あらためて感じることができます。

    下記、稲盛さんのインタビューのコメント。胸に突き刺さりますね。

    ・人間としての倫理観をベースとして、あなたは行動したり、発言したりしているのですかと。していないじゃないですか。ただ理屈ばかりで人を引っ張っていこうとしても、人は動く訳はありません。

    ・「人間としてこうあるべき」だというベーシックな倫理観や哲学を身につけるには、常に自分自身のなかで反復するしか、方法がありません。自分はそれに沿って行動しているのかと。常に反省が必要になる訳です。それを繰り返し、繰り返しすることでしか身に付かないのです。

    ・物事を判断する際の最もベーシックな価値観とは何か。それは、「人間として何が正しいのか」「正義にもとることなかりしか」「動機善なりや、私心なかりしか」などであると私は考えます。
    こうした倫理観を常に自分自身のなかで反復しながら、それに沿った生き方をし、トレーニングをして、何年もかかって見つけて行くものなのです。

  • JALの再生物語。上場廃止から2年8ヶ月で再上場はとんでもない。鍵は、リーダー、企業文化、社員の共感(と、それらを生んだ稲盛和夫氏の参画)にあった。

    美談のように聞こえるが、1/3の社員をリストラあるいは自主退職で失っているのは胃が痛くなる。人としてのあり方を考えさせられ、組織の持つ力を感じる一冊だった。

  • リーダーシップの習得を目指している最中に、上司から勧められた書籍。
    過去にフィロソフィを学ぶ機会があったが、表面をなぞるだけだと意味がないことが理解できた。

  • コストカット+増収策

  • 何よりも社員個人の意識改革が重要。いかに能動的に仕事に取り組むか、自分の頭で考えながら行動していきたい。

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