なぜ、わかっていても実行できないのか: 知識を行動に変えるマネジメント

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532319236

作品紹介・あらすじ

ビジネス書は世の中にあふれ、MBAホルダーも増えた。必要な知識を身につけ、何をすべきか社内のだれもが理解しているのに、まったく行動に現れない。この「知識と行動のギャップ」を埋めなければ、どれほど立派な経営理念を掲げても、会社は変われない。やるべきことを知っているだけでは不十分なのだ。組織行動論の世界的権威であるフェファーとサットンが、4年間にわたる調査から、このギャップが生まれる5つの原因を探る。そして、あらゆる組織が直面する「どうすれば行動を起こせるか」という課題に明快なガイドラインを示す。待望の名著、復刊!

感想・レビュー・書評

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  • 本書のテーマは、こうです。
    何をすべきかわかっているのに、だれもそれを実行していない。それを、「知識と行動のギャップ」と呼ぶことにする。
    「知識をむやみに詰め込むだけではだめだ。いますぐ実行せよ」
    「なぜ、実行できない」のかではなく、「どうすればできるのか」

    ①問題を話しただけで仕事をした気になる
    ・問題点を反し合っただけなのに、仕事をこなした気になることがある
    ・コンサルが実行まで提示してくることはまれである
    ・単純なアイデアはだれでも簡単にまねできる

    ②過去のやり方にこだわりつづける
    ・あらゆる決定を一からやり直すことはできないとはいえ、すべてを過去に頼ることも賢明ではない
    ・問題にぶつかると、人も組織もよく知っているやり方にかたくなにしがみつこうとする
    ・新しい組織を作るには時間がかかるが、その効率は大きい。歴史も前例もないので、行動の指針はすべて新たにつくらなければならない。
    ・初めにむだなルールや、形式的なやり方をつくらなければさらに賢明だ

    ③部下を動かすために恐怖をあおる
    ・恐怖心を追放すること
    ・恐怖心は職場の士気を高めるどころか、まったく逆効果になっていた。
    ・職場から恐怖心を追放するキーワードは、予測、理解、自制、思いやりの4つである

    ④重要でないことばかり評価している
    ・評価に関して会社は常識をもってほしいものだ
    ・アウトソーシングを増やすと、別の意味で失うものがある。雇用機会の確保より、コストや収益、効率などを優先するというメッセージが社内伝わることだ。

    ⑤業績を上げされるために競争させる
    ・競争があれば、怠惰で無能な連中は消えていく
    ・きちんと仕事をこなすことと、勝つこととは違う

    なぜ、わかっていても実行できないのか
    知識を行動に変えるマネジメント

    著:ジェフリー・フェファー
    著:ロバート・I・サットン
    監:長谷川 喜一郎
    ISBN:9784532319236
    。出版社:日本経済新聞出版社
    。判型:4-6
    。ページ数:320ページ
    。定価:1800円(本体)
    。発行年月日:2014年01月
    。発売日:2014年01月20日1版1刷

  • うおっほっほ! この本自体が「実行できない」そのものだ!こんなに多量の文献を読んでできあがったこの本、なんとも皮肉だね。アメリカ的な1冊。経営側と労働側の乖離が大きいアメリカではこんな感じなんだなぁ、とあらためて。でもそういいなからやっぱりMBAの重きは大きいのね、ということも参考になりました。

  • とても大事な哲学がこの本にはあったと感じた。
    知識をどのように行動に繋げるかのプロセスを妨げる個人の感情や価値観だけでなくそれに影響している企業文化や評価システムなど、なるほど…っと考えさせられるものが多い。
    最も大事な点と私が感じたのは知識には失敗の経験も含まれている点だ。
    失敗に関する本でもここで書いてあることと同様にどう学び活かすかを重要視している…
    が、この本ではそれを組織としてどう言う態度でその失敗と向き合い赦す文化を構築するかが大事だと私は読み取った。

    この能力を伸ばすと言う考えよりも、組織として全体での生産性に繋げる考え方を学べる良書と私は感じました。

    私個人としては
    恐怖政治を引いて行動を促す傾向があるが、それらもこの本の考えが正しいなら、間違った組織行動になりそうなので、改善が必要そうだ。

    だが、
    言い訳になってしまうかもしれないが、
    現場で人手不足で顧客や上司から叱咤される組織にいる身としては、この本の組織的活用は経営者や管理職の価値観や学びがない状態だと机上の空論にも感じてならない。
    その点だけがこの本を読んで腑に落ちなかった点だが、組織行動論としての考え方として知識にし、個人的な行動の変化を与える薬となるよう努力していこうと思った。

  • ナレッジマネジメントの結果、やってはダメ集。
    2000年代手前でもてはやされた手法の結果が
    データより見えてきた社会心理学視点。
    頭でっかちで行動に繋がらない結果を産むのはなんで?の対策が書かれている。
    マネージメント視点だと知識と行動のギャップを検査する立場でありたい。
    そして発見しただけでは意味がなく行動まで結びつけるのがよいだろう。

    本を読んだだけで自分ごとにして行動しないことといっしょ。
    やってみないと、やってみるためのHOWの前のWHYを。そしてWHYだけ追求するのも避けて、whatとなる何するの?まで落とし込むことが大事で順番も大事。

    今読むと当たり前のことなので目新しさないが、この当たり前ができてないよね?の指摘と大抵は普通で当たり前のことができないということ。又は認識できてない。

  • 良い組織と行ってはいけない組織。
    恐怖からは何も生まれません。

  • 計画に集中し、実際の行動に繋がらない組織の原因とその改善方法について述べている。

  • ちょっと難しい

  • 本書の趣旨は、「人間原理」を正当化する物理法則の確立と、その正当性の主張である。
    宗教家ならともかく、宇宙を作ったのが神であるという考え方には違和感を覚える人が大半だろう。だが、一流の物理学者ですら、宇宙やその構成物をつぶさに調べれば調べるほど、あまりにも精緻に作られたそれらが、人間を作り出すために存在するように思えるらしい。そう考えると、「なぜ宇宙は存在するのか?」や、「なぜ宇宙はこのようなのか?」といった物理学の目的的質問に対して、「人間が存在するから、そのような質問が発生する」といった回答がありえてしまう。これを人間原理と呼ぶ。それでは物理学が目的を失うためこれを忌み嫌う物理学者は多い。
     一方で、下記に述べるように本書物理学者は、物理学者らしい「人間原理」の解釈を行い、非常に優れた論理展開を行う。
     本書で考える宇宙とは、超ひも理論から結論される宇宙である。そのモデルに、宇宙定数やプランク定数といった宇宙を定める定数を物理法則が成り立つように適応ことにより様々な宇宙が存在しうる。それらすべての宇宙が本書のいうところのランドスケープを埋め尽くす。つまり、われわれが認知している宇宙は、物理法則がなりたつ宇宙のバリエーションの一つに過ぎない。そして、そのバリエーションでは、宇宙の変化が生命にいい塩梅に作用する。それにより我々のような知的生命体が存在できたのである。
     こう考えることにより、人間原理の胡散臭さは、物理学に昇華するように思えるのだが、果たして、このランドスケープの存在を人類は探知できるのか? 著者はできると思っている。この結果が出るのを楽しみに待ちたい。

  • ◆読むきっかけ
    自分自身、クライアント、社内での実行力を上げるヒントを得る

    ◆気づき
    他の店でできていることを学ぶべき 4.9→4.0
    そうすべきとわかっているが実行できていない

    うまくいっている会社は誰もが知っている当たり前のことを徹底的にやっている

    ホンダのモットー 現場で現物をみる
    医学実習生 聞いてみてやってみよ
    米軍 訓練の中心は実践的な戦闘訓練
    米軍幹部育成 人はリーダーの任務を果たしながらしだいにリーダーになっていく

    原因① 話し合っただけでやった気になる
    ・実行力よりスマートな発言が評価される
    ・決定しただけではなにも変わらないことを忘れている
    ・発言が多いことが仕事ができると誤解されている

    シンプルな言葉の方が動ける

    原因② 部下を動かすために恐怖をあおる
    ・恐怖と不信感は実行力を下げる
    ・生産性を下げ報告を繕うなど無駄な業務が発生する
    自分で考えて動かなくなる

    悪い知らせを伝えたい人を褒める
    リーダーも率先して間違い、学んだことを語る

    原因③ 過去のやり方にこだわり続ける
    ・前例に習えでは、より良いことが実行されない

    解決策
    ・リーダーの役割は知識と行動のギャップを見つけたらそれを埋める方法を考えねばならない

    ◆やること
    マンダラートを週に一回共有して今週はどこを実行に移すかを宣言する

    間違いエラーを率先して共有する

  • ナレッジ・マネジメントの実践

    企業の実践の割合

    ・イントラネットの創設 47%
    ・データウエアハウスなどの知識の貯蔵庫をつくる 33%
    ・意思決定支援ツールの導入 33%
    ・協働をサポートするためのグループウェアの導入 33%
    ・ナレッジワーカーのネットワークをつくる 24%
    ・社内の専門知識の情報源を明確化する 18%
    ・知的な新しい役割を確立する 15%
    ・知識に基づく商品やサービスを市場に導入する 14%



    言葉が行動のかわりになってしまう理由

    ・話し合いの結果を実際に行ったかどうかを確かめるフォローアップが何も行われない。
    ・決定しただけでは何も変わらないことを、人々が忘れている。
    ・計画立案、会議、レポート作成など、それ自体が重要な「行動」になっている。しかし、実際の行動には何の影響も与えていない。
    ・話し合ったのだから、社訓に書かれているのだから、それは事実に違いないし、社内で実行されているはずだと考える。
    ・実行力より、スマートな発言が評価される。
    ・発言が多いことが、仕事ができることだと誤解される。
    ・複雑な用語、アイデア、プロセス、構造などが、単純なものよりもよいと考えられている。
    ・マネジャーは言葉の達人であり、部下は行動する人という考え方がある。
    ・社内でのステータスが、たくさん発言し、相手の発言をさえぎったり、批判的なコメントをはさんだりすることで決まる。


    決定したことが実行されたかどうかを確認する会議も、ワークアウトに欠かせないプロセスである。


    社会心理学者のロバート・チャルディーニが指摘する「二つの力」

    第一の力は「社会的証明」である。どう行動すべきかわからないとき、人は他人の行動を真似ようとする。自分によく似た相手のまねをしようとする。

    第二の力は「一貫性を破りたくない」という思いである。人はとかく足並みをそろえたがる。変わり者扱いされるのはいやだ。また、過去のやり方を踏襲しようとする。新しい情報を集め、いちいちメリットとデメリットを考えるのはわずらわしい。過去の路線に従っていれば、その手間が省ける。


    ■組織から恐怖心と怠惰を追放する方法

    ・上司は悪い知らせを伝えた人をほめ、見返りを与え、昇進させる。
    ・行動しないことだけが、本当に深刻な失敗である。行動して成功しなかったことではなく、行動しなかったことを罰するべきだ。
    ・リーダーも率先して自分の失敗を語る。特に、失敗から学んだことを話す。
    ・オープンなコミュニケーションを奨励する
    ・人々に第二(第三)のチャンスを与える。
    ・人に恥をかかせる人、特にリーダーは追放する。
    ・間違いから学ぶ。特に何か新しいことに挑戦したときの誤りは、貴重な体験として奨励する。
    ・新しいことに挑戦した人を罰してはいけない。

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著者プロフィール

スタンフォード大学ビジネススクール教授(トーマス・D・ディー2世記念講座)。
専門は組織行動学。資源依存理論の提唱者として知られる。スタンフォード大学でPhDを取得後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執り、1979年にスタンフォード大学の正教授に就任。これまで16冊の著作を持ち、150本以上の論文を発表。オランダのティルブルフ大学から授与された名誉博士号のほか、数多くの受賞歴がある。スタンフォード大学で教える傍ら、ハーバード・ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクール、シンガポール経営大学、IESEなどで客員教授や講師も務める。主な著書に『「権力」を握る人の法則』『悪いヤツほど出世する』『社員が病む職場、幸せになる職場』などがある。カリフォルニア州ヒルズボロー在住。

「2023年 『出世 7つの法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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