How Google Works: 私たちの働き方とマネジメント

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • / ISBN・EAN: 9784532319557

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  • グーグルのトップが書いたグーグルのこと

    【記しておきたいポイント】
    『情熱のある人間は情熱を口にしない』

  • ・ダラダラと読んでしまい読み終わるのにすごく時間がかかってしまった
    ・Googleという素晴らしい企業がどんな風に採用や会社の制度などを考えているか分かって面白かったしとても参考になった
    ・しかしあまり新しい発見や気付きはなかった気がする
    ・★3.5という感じ

  • グーグルの経営について、文化、戦略、制度、価値観などいろんな側面から紹介されている。
    テクノロジーが発展し、何もかもが物凄い速さと威力で変化する現在、大切なのは
     1.プロダクトの優位性を保つこと
     2.スマート・クリエイティブ(と著者達が呼ぶなんかすごい人たち)をいかに集め、留め、能力を発揮させるか
    だと説く。そのために重要な要素として以下のようなものを挙げている。
     ・文化 大きな自由と責任、ユーザー主義etc
     ・採用 いかに優秀な人材を採用するかという点について、具体的な採用制度や面接する側のスキルetc
     ・制度 20%ルール、OKRという目標管理などスマート・クリエイティブの能力を最大限発揮させ、会社にとどまってもらえるような制度

    その他、イノベーションについて、グーグルの取る戦略(オープンをデフォルトにetc)、会議やメールについて具体的な方法論

    引用が豊富で、また反対意見を提示した上で主張を検討する場面もあり、かつそれぞれリファレンスが記載されているのでしっかりとした説得力を感じた。実例も多く紹介されている。ところどころユーモアも織り交ぜられ読みやすかった。

  • ラリー・ページ

    大学教授か起業家になろうと心に決めた。どちらも自律性が高い職業、つまり既存の常識にとらわれず、基本原理と現実世界の現象にもとづいてモノを考える自由がありそうだったからだ。

    グーグルは「自律的思考」をあらゆる活動の基礎にしてきた。

    経営者をしていて意外だったのは、プロジェクトチームにとんでもない野心を抱かせるのは、とても難しいということだ。どうやらたいていの人は型破りな発送をするような教育を受けていないらしい。現実政界の現象から出発し、何ができるか見定めようともしないで、最初から無理だと決めてかかる。

    グーグルが自律的思考の持ち主を採用し、壮大な目標を設定するためにあらゆる手を尽くすのはこのためだ。

    適切な人材と壮大な夢がそろえば、たいていの夢は現実になる。

    そしてたいていの会社はこれまでにやってきたことを継続し、多少の漸進的な変化を加えるだけで満足している。

    経営の新参者であったラリーとセルゲイは知らなかったが、「ユーザを中心とする」というルールは、ピーター・ドラッカーの事業の目的に関する考え方と一致する。「まっとうな事業目的は一つしかない。顧客の創出だ。顧客は事業の土台であり、その存続を支える」(邦訳:現代の経営)


    テクノロジー界のビジョナリー、ジョージ・ギルダーはすべての経済期の基礎には主要な「過剰」と「希少性」がある、と指摘する(たとえば馬力が希少だった時代には土地が過剰だったが、馬力のコストが極端に低下した工業化時代にはそれが逆になった)

    ピーター・ドラッカーは2001年の時点でこうした変化を予想していた。権力の中心はサプライヤーからディストリビューターに移ると指摘し、「今後30年のうちに、次は消費者に映り。その理由は簡単で、消費者はいまや正解中の情報を自由に入手できるようになったからだ」と書いた。(邦訳『イノベーターの条件』)


    グーグルのプロダクトで消え去ったもの
    「グーグル・ノートブック(Google Notebook)」、「ノル(Knol)「iグーグル(iGoogle)」「ウェーブ(Wave)」「バズ(Buzz)」「ピジョンランク(pigeonRank)」

    アマゾン創業者兼CEOのジェフ・ベゾスの言うとおり「古い世界では持てる時間の30%を優れたプロダクトの開発に、70%をそれがどれほどすばらしいプロダクトを吹聴してまわるのに充てていた。それが新たな成果では逆転した」


    ハーバード・ビジネススクールのある経済学者がイェルプ(YELP)がレスロランの売り上げにおよぼす影響を調査した結果、好意的なレビューは独立系レストラン(チェーン店ではないレストラン)の売上を高めることがわかった。

    この結果、イェルプ(YELP)の利用度が高い地域では、チェーン店から顧客が流出した。


    プロダクト開発はより柔軟で、スピードが求められるプロセスになった。劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数え切らないほどの試行錯誤を繰り返すことだ。つまり成功やプロダクトの優位性を支えるのは、スピードなのだ。


    経営学の権威ピーター・ドラッカーが1959年の著書『変貌する産業社会』で初めて使った言葉「知識労働者(ナレッジ・ワーカー)


    IBM、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ゼネラル・モーターズ(GM)、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの優れた企業は、有望な人材に2~3年ずつさまざまな部署を経験させる経営幹部養成トラックを設けている。だがこの仕組みは専門能力ではなく、経営能力を高めることを目的としている。この結果、従来型企業で働く知識労働者のほとんどは、専門分野に秀でていても能力に幅がないか、幅広い経営能力を備えていても専門性に欠けるのかどちらかになる。


    伝統的な知識労働者と、ここ十数年私たちが一緒に働いてきたグーグルのエンジニアをはじめとする優秀な人材を比べてみると、後者がまったく違うタイプの労働者であることがわかる。グーグルの社員は特定の任務にしばられていない。会社の情報やコンピューティング能力に自由にアクセスできる。リスクテイクをいとわず、またそうしたリスクをともなう取り組みが失敗したとしても処罰や不利益を受けることはない。職務や組織構造に束縛されることはなく、むしろ自分のアイデアを実行に移すように奨励されている。納得できないことがあれば、黙ってはいない。退屈しやすく、しょっちゅう職務を変える。多彩で、専門性とビジネススキルと創造力を併せ持っている。要するに、少なくとも従来の意味での知識労働者ではないのだ。私たちが「スマート・クリエイティブ」と呼ぶ新種で、インターネットの世紀での成功のカギを握る存在だ。


    こんにち成功している企業の際立った特徴

    最高のプロダクトを生み出し続ける能力

    それを手に入れる唯一の道は、スマート・クリエイティブをひきつけ、彼らがとてつもない偉業を成し遂げられるような環境をつくりだすこと。


    スマート・クリエイティブとは、

    自分の”商売道具”を使いこなすための高度な専門知識を持っており、経験値も高い。グーグルのような業界ではコンピュータ科学者か、少なくとも日々コンピュータの画面上で起きている魔法の背後にあるシステムの理論や構造を理解している人材ということになる。

    他業界では、医師、デザイナー、科学者、映画監督、エンジニア、シェフ、数学者などがスマート・クリエイティブになるかもしれない。

    実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプをつくる人間。

    分析力も優れている。データを扱うのが得意で、それを意思決定に生かすことができる。同時にデータの弱点もわかっており、いつまでも分析を続けようとはしない。データに判断させるのは構わないが、それに振り回されるのはやめよう、と考える。

    ビジネス感覚も優れている。専門知識をプロダクトの優位性や事業の成功と結びつけて考えることができ、そのすべてが重要であることをわかっている。

    競争心も旺盛だ。成功にはイノベーションが不可欠だが、猛烈な努力も欠かせない。スマート・クリエイティブは頂点を目指す意欲にあふれ、それが朝9時から夕方5時の勤務では成し遂げられないこともよくわかっている。

    ユーザのこともよくわかっている。どんな業界に身を置いているかにかかわらず、スマート・クリエイティブはプロダクトを誰よりもユーザ目線、あるいは消費者の視点から見ることができる。

    p35~p38 スマート・クリエイティブとは。


    スマート・クリエイティブを惹きつける方法。
    その出発点は企業文化だ。
    なぜなら企業文化とビジネスの成功は切り離して考えることができないからだ。自分たちのモットーを信じられなければ、大成功はとうてい望めない。

    次に取り上げるのは戦略だ。
    スマート・クリエイティブは強固な戦略の土台に根差したアイデアに何より魅力を感じる。事業計画を支える戦略の柱こそが、事業計画そのものよりはるかに重要だとよくわかっている。

    その次が採用だ。
    これはリーダーの最も大切な仕事である。最高の人材を十分集めることができれば、知性と知性が混じり合い、クリエイティビティと成功が生まれるのは確実だ。


    GEの前CEOジャック・ウェルチは著書
    『ウィニング 勝利の経営』にこう書いている
    「ビジョンなど、繰り返し伝え、報奨によって強化しなければ、それが書かれた紙ほどの価値もない」

    従来型のプロダクト・マネジャーは

    PERTチャートやガントチャート(おそろしく複雑だが、プロジェクト・マネジメントという任務にきわめて有効なツール)の扱いが得意、

    資本コストを上回るリターンを生むような計画を手際よくパワーポイントにまとめてり、経営陣のお墨付きを得たり、自分がその遂行に欠かせない存在であるかのように演出する能力に長けている。


    オフィスのカバ(一番偉い人の意見)も危険。意思決定の質と報酬の水準は本質的に無関係だし、経験がモノを言うのは説得力のある主張の裏付けとなる場合だけだ。残念ながら、経験イコール説得力のある主張とされる企業が多い。
    能力ではなく、勤続年数で権限が決まるこうした会社は「勤続年数至上主義」とでも呼ぶべきか。

    データがあれば、データを見よう。
    それぞれの個人的意見しかなければ、私のをとろう、
    ネットスケープCEO ジム・バークスデールの言葉

    「『誰のアイデアか』より『まともなアイデアか』が重視される職場」


    組織に関する最後のルールは、一番影響力の大きい人たちを見きわめ、彼らを中心に組織をつくることだ。

    「会社を動かすのは誰か」は、職務や経験ではなく、仕事ぶりや情熱をもとに判断すべきだ。

    「マネジャーは肩書がつくる。リーダーはまわりの人間がつくる」アップル人事部門責任者だったデビー・ビオンドリロ

    燃え尽き症候群の原因は働きすぎではなく、自分にとって本当に大切なことを諦めなければならなくなったときに起こる。マリッサ・メイヤー


    シリコンバレーではこういう話をよく聞く、玄関前に配達された新聞を毎朝自分で取ってくるCEO。机を吹いて回る創業者。リーダーはこうした行動を通じて、平等主義の精神を身をもって示す。自分たちはチームであり、必要だがつまらない仕事を免除されるような”エライ”人間はひとりもいないのだ、と。だが、彼らがこのような行動をとる最大の理由は、会社をとても大切に思っているからだ。リーダーシップには情熱は欠かせない。あなたにそれがないなら、さっさと降りたほうがいい。


    トヨタ自動車が「カンバン方式」と呼ばれるジャストインタイム生産方式を取り入れたとき、品質管理方法の一つとして、組み立てラインの従業員は品質上の問題に気づいたら、ヒモを引っ張って生産を止められるというルールをつくった。


    ベンチャー・キャピタリスト
    「事業計画ではなく、人に投資せよ」という原則に忠実になるのは、MBAスタイルの事業計画は必ずある重大な欠陥をはらんでいるから。
    優れた人材が集まったチームは、計画の欠陥に気づき、軌道修正することができる。


    計画が流動的と聞いて、仲間に加わるのをやめる者もいるだろう。たいていの人は不確実性を嫌うからだ。

    一方、スマート・クリエイティブは「やっているうちにわかるだろう」という考え方を好む。

    スマート・クリエイティブには「こんにちの変わりやすい環境に柔軟に対応しようとするしなやかさ」がある。

    むしろ、彼らはすべての答えがそろっていると称する計画は信頼せず、たとえ答えがそろっていなくても、正しい基礎にもとづく計画に飛びつく。


    2000年代初頭のグーグルの強力なライバルの一つが、いち早く広告配信にオークション制度を導入したオーバチュアだった。オーバチュアの方法の問題点は、優れた広告をつくった広告主への報酬や、お粗末な広告をつくった広告主へのペナルティがなかったことだ。広告主は意図的に、ユーザの検索語と全く無関係の広告を出すようになった(たとえばレストランの検索に対して車の広告を出すなど)。
    ユーザがこうした広告をクリックすることはめったになかったため、広告主は料金をとられることはなかったが、少なくとも広告主の名前は表示されたので無料でユーザ・インプレッションを獲得したわけだ。広告主の間でこのような行動が広がるほど、広告の質は低くなった。広告を品質に応じてランキングするというグーグルの方法は、こうした行動を排除したため(質の低い広告は表示されない)、質の高い広告が増え、クリック数も増えた。


    グーグルのエコノミスト、ハル・バリアンの言う
    「組み合わせ型イノベーション」の時代が始まろうとしているのだ。

    これは組み合わせ方法を変えることにより画期的な発明が生まれるような、さまざまな構成要素の入手可能性が大きく広がった時に起きる。

    たとえば1800年代には、歯車、滑車、チェーン、カムなどの機械装置のデザインの標準化によって製造業が隆盛した。

    1900年代には、ガソリンエンジンの誕生によって自動車、オートバイ、航空機などで数々のイノベーションが生まれた。

    1950年代には集積回路から数えきれないほどのアプリケーションが生まれた。

    どの時期にも、相互補完的な構成要素が誕生したことで、発明ラッシュが起きた。


    能力主義を浸透させるには、「異議を唱える義務」を重視する文化が必要だ。

    ある考え方に問題があると思った人は、懸念を表明しなければならない。

    そうしなければ最高とはいえない考え方が通り、懸念を口にしなかった人も共同責任を負うことになる。


    グローバルな事業領域や影響力を確立するために、大量の人員や世界的な支店網はいらない。

    ツイッターはハイテク企業ではない。パブリッシング企業だ。

    エアビーアンドビーは宿泊業のプラットフォーム

    ウーバーは個人に移動手段を提供するプラットフォーム

    23アンドミーはコンシュマー・サービスの会社であると同時にプラットフォーム的でもある。

    スクエアは中小企業向けの決済のプラットフォーム

    ナイキ・フェルバンドはフィットネスのプラットフォーム
    キックスターターは資金調達のプラットフォーム

    マイフィットネス・パルはダイエットのプラットフォーム
    ネットフリックスは動画鑑賞のプラットフォーム

    スポティファイは音楽のためのプラットフォーム


    20世紀は閉鎖的ネットワークを持つ巨大企業が支配していたが、21世紀を引っ張るのはグローバルでオープンな企業だ。

    プラットフォームをつくる機会は、私たちの身の回りにいくらでもある。それを発見するのが優れたリーダーだ。

    グーグルは1990年代末、検索プラットフォームを拡大するため、たった一つのことに集中した。最高の検索サービスの実現である。
    その指標として5つの軸を設けた。

    ①スピード
    ②正解性(検索結果の検索語に対する妥当性)
    ③使いやすさ(おじいちゃんもおばあちゃんもグーグルを使いこなせるか)
    ④網羅性(インターネット全体を検索できているか)
    ⑤鮮度(検査結果には最新の情報が表示されるか)


    ニーチェも『ツァラトゥストラは語った』に書いてある。「あなたの敵を誇りに思え。そうすれば敵の成功はあなたの成功にもなる」ライバルを誇りに思おう。ただ、追随はしないこと


    成功している大企業は例外なく、次の点から出発している。
    ①問題をまったく新しい方法で解決する
    ②その解決法を生かして急速に成長・拡大する
    ③成功の最大の要因はプロダクトである


    人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見した。さらにこれらの業績指標の一部とジェンダーの多様性にも相関が見られるという。

    「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすい。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、きわめて効果的な政策だ。


    ビジネスパーソンが磨くべき最も重要なスキルは、面接スキルだ。

    面接の目的は、応募者とあたりさわりのない会話をすることではなく、相手の限界を確かめることだ。

    応募者のバックグランドについて聞くときには、単なる過去の経験談ではなく、「そこから何を学んだか」を説明させよう。

    「何に驚きを感じましたか?」とうのは、うまい聴き方。
    「大学の学費をどう工面しましたか?」「あなたのウェブの検索履歴を眺めたら、履歴書に書かれていないどんな一面が発見できますか?」というのも良い質問だ。


    スマート・クリエイティブは4つのカテゴリーすべてで高い評価を受ける。4つのカテゴリーは以下のとおりだ。

    [リーダーシップ]
    [職務に関する知識]
    [全般的な認知能力]
    [グーグラーらしさ]


    グーグルの「採用のおきて」

    ●自分より優秀で博識な人物を採用せよ。学ぶもののない、あるいは手強いと感じない人物は採用してはならない。
    ●プロダクトと企業文化に付加価値をもたらしそうな人物を採用せよ。両方に貢献が見込めない人物は採用してはならない。

    ●仕事を成し遂げる人物を採用せよ。問題について考えるだけの人物は採用してはならない。

    ●熱意があり、自発的で、情熱的な人物を採用せよ。仕事がほしいだけの人物は採用し得てはならない。

    ●周囲に刺激を与え、協力できる人物を採用せよ。ひとりで仕事をしたがる人物は採用してはならない。

    ●チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ。スキルセットや興味の幅が狭い人物は採用してはならない。

    ●多彩で、ユニークな興味や才能を持っている人物を採用せよ。仕事しか能がない人物は採用してはならない。

    ●倫理観があり、素直に意思を伝える人物を採用せよ。駆け引きをしたり、他人を操ろうとする人物を採用してはならない。

    ●最高の候補者を見つけた場合のみ採用せよ。一切の妥協は許されない。


    正しい意思決定のあり方を考えるうえでまず理解すべきは、正しい選択をすることだけに集中していてはいけない、ということだ。判断に到達するプロセス、タイミング、そして判断を実行に移す方法も、判断のないようそのもにに同じくらい重要なのだ。そのどれか一つでも欠ければ、おそらくまずい結果になるだろう。また意思決定すべき事項は次々と出てくるので、そのプロセスに問題があると被害はとめどなく広がっていく。


    グーグルの会議室のほとんどにはプロジェクターが2台ある。一つは他のオフィスとのビデオ会議や会議の記録を移すためのもの。もう一つはデータ用である。

    さまざまな選択肢や見解について議論する会議では、まずデータを見るところから始める。ほかの人を説得するのに「私が思うに・・・」という言い方はしない。「ちょっとこれを見てください」というのだ。


    スライドは自らの意見を補強する材料として使うべきだ。

    「ビジュアルを使った理論展開は、有益情報を一緒に提示するほど説得力が高くなる。情報が強烈なものであるほど、内容は明確になり、理解度が高まる」

    データを最もよく理解しているのはその問題の担当者であり、たいては経営者ではない。


    財務に関する意思決定をする場合には、通常現金と売上高に集中すればよい。


    意思決定者の最も重要な役割は、期限を設定し、プロセスを取り仕切り、最後には期限を確実に守ることだ。


    交渉の場では、エリックのモットーでる「PIA」が最高の結果につながることもおおい。

    すなわち忍耐(patience)、情報(infomation)、代替案(alternatives)を持つのである。

    とくに大切なのが忍耐だ。特定の行動を選択するのは、できるだけ遅らせたほうがいい。


    意思決定者のにんむとは、まず適切な期限を設定し、行動を示し、これ以上の議論や分析は意味がないと思ったら打ち切り、全員が最終決定を支持留守ようにチームを導くことだ。

    ただ、切迫感に圧倒されてはならない。ぎりぎり最後の瞬間まで、どんな方向にも動けるような柔軟性を失わずにいよう。


    相手の行動を変えたいなら、説得力のある主張をするだけでなく、相手のハートに触れなければならない。私たちはこれを「オプラ・ウィンフリーの法則」と呼んでいる。

    この法則を最初に提唱したのはアリストテレスだ。
    ロゴス(言論)、エトス(人格)、パトス(感情)に訴えよ、という主張は数多くの政治家、弁護士、セールスマンに影響を与えている。


    経営の上層部が情報を集め、どれを誰に渡すか慎重に検討する。この世界では、情報は支配の手段、権力の源泉として厳重に管理される。

    リーダーシップの研究者、ジェームズ・オトゥールとウォーレン・ベニスは、企業で権力者となる人々の多くは「チームワークに優れているためだはなく、経営上層部での権力闘争に勝ち抜いたためその座をつかんだのであり、それは情報を隠そうとする意識を助長する」と指摘する。

    エリックは透明性に対するグーグルのアプローチを
    「上昇、告白、順守」モデルと呼ぶ。

    パイロットは緊急事態に陥った時、まず上昇せよ、と教わる。危険から逃れるのだ。次に告白、つまり管制塔と連絡を取り、自分がどのようなトラブル状態にあるかを説明する。最後に順守だ。管制塔にどうすればよいか支持されたら、そのとおりにやるのだ。


    エリックが大切にしているルールの一つは、経営者の黄金律といってもいいだろう。
    「自分の下で働きたいと思うような上司であれ」


    取締役会の目的は、調和、透明性、助言である。
    取締役に求めるべきは、「首は突っ込み、手は出さない」姿勢だ。

    グーグルは毎年、検索エンジンに500件もの改良を加えている。

  • 極めて普通な内容だった。ネットビジネス戦略科目のGoogleの学びのが深かったかも。

    たまたま金曜の午後にオフィスでラリーの「この広告はムカツク!」の慶事を目にして、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を指名に掲げる会社が、ムカツク広告を表示するのは非常に問題であるということに気づいた。だから、自分の仕事の責任外で、週末であっても、何とかしようと思ったのである。

    悪党の割合にはティッピング・ポイントがある。意外と低いそのポイントに達すると、悪党のように行動しなければ成功しない、とみんなが思うようになり、問題は更に深刻化する。
    悪党は誠実さの欠如から生まれる。悪党はチームより個人を優先する。

    誰かが自分は会社の成功に欠かせない存在なので、1~2週間の休暇をとったらとんでもないことになる、と思っているなら、かなり深刻な問題があるサインだ。必要不可欠な人間などいるべきではないし、またそんなことはあり得ない。
    休暇は無理にでも取らせ、本人をリフレッシュさせ、その間に代役を務めた人は自信がつくように促すべきである。

    「お楽しみ」イベントには1つ問題がある。本当の「楽しさ」がないのだ。

    廊下を歩きながら目に付いたゴミを拾い上げる、毎朝自分で新聞をとってくる、机を拭いて回るなど。自分たちはチームであり、必要だがつまらない仕事を免除されるようなえらい人間は1人もいないのだ、というメッセージである。しかし、そもそもそういう行動が出来る人は、会社をとても大切に思っているからだ。リーダーシップには情熱が欠かせない。あなたにそれがないなら、さっさと降りた方がよい。

    同じようなことをしている他社を任すだけでは、仕事としてちっとも面白くないじゃないか。

    優秀なコーチは、どれだけ優れた戦略を立てても、優れた人材の代わりにならないをよく分かっている。それはスポーツだけではなく、ビジネスでもだ。優秀な人材のスカウトは、ひげをそるのに似ている。毎日やらないと、結果に出る。

    「群れ効果」は+にも-にも働く。Aクラスの人材は同じAクラスを採用する傾向があるが、BはBだけでなく、CやDまで採用する。だから妥協したり、誤ってBの人材を採用すると、すぐに社内にBのみならずCやDまで入ってくることになる。

    人は学習を辞めたときに老いる。20歳の老人もいれば、80歳の若者もいる。

    5年後の自分にとって理想の仕事を考えてみよう。どこで何をしたいか、いくら稼いでいたいか、仕事内容を書き出そう。そこにたどり着くために自分の強みと弱みを評価してみよう。自分はどんなスキルを磨く必要があるのか、他者からも評価を受けてみよう。
    もし、理想の仕事がいまの仕事だという結論に達したら、それはあなたの野心が小さすぎるということだ。
    「目的地がどこかわからないときは、注意したほうがいい。おそらくそこにはたどり着けないから。」

    全員同意見というのは、誰かがモノを考えていないということだ。

    仕事に限った話ではないが、何かを人に伝えたいと思ったら、たいてい20回は繰り返す必要がある。数回言うだけでは、みんな忙し過ぎて、おそらく気づかないだろう。さらに何回か繰り返すと「あれ、なんか聞こえたかな?」くらいに思ってもらえる。
    もし20回いっても伝わらないのであれば、それはテーマに問題があるのかもしれない。

  • ◯劇的に優れたプロダクトを生み出すのに必要なのは巨大な組織ではなく、数え切れないほどの試行錯誤を繰り返すことだ。つまり成功やプロダクトの優位性を支えるのは、スピードなのだ。(32p)

  • ★★★☆☆
    社畜ではなくワーカホリックだ!
    【内容】
    超企業Google.その秘密を大公開する。

    【感想】
    恐ろしい企業だ。TVとかではご飯が無料だったり、ビリヤード台があるイメージしかないんだけど、本を読むと印象が変わる。

    それは大変厳しい企業だってこと。とにかく"自分でやる"って点が重要であり、働きがいってやつはすごいありそう。
    本書のような理念があるかぎり、Google帝国の反映は続きそうだ。


    【引用】
    オフィスの広さや高級さを重視するような文化は社内に有害な影響が広がる前に排除した方がいい。オフィスデザインは従業員を孤立させたり、地位を誇示させることではなく、エネルギーや交流を最大化することを目的にすべきだ。

    プロダクトマネージャーに求められるのおは、プロダクトをさらに良くするための技術的ヒントを見つけることだ。

    マネージャーは肩書きがつくる。リーダーはまわりの人間が作る。

    リーダーシップには情熱が欠かせない。

    ライバルの動向へのこだわりは、凡庸さへの悪循環につながる。

    ライバルを誇りに思おう。ただ、追随はしないこと。

    イノベーションとは「斬新で有用なアイデアを生み出し、実行に移すこと」だ。

    イノベーティブな人材に、イノベーションを起こせと言う必要はない。そうする自由を与えればいい。

    「世に出してから手直しをする」アプローチはあとで改善することを前提に、室の低いプロダクトを送り出してもいいという考え方ではない。プロダクトは提供する機能に置いて最高のパフォーマンスを実現しなければならないが、当初の機能は限定的でも構わない。

  • プロダクトデザインから、その会社の組織図が浮かび上がるようではいけない。iPhoneのように、顧客であるあなた自身が重要な人であるべき。p75

    クーグルの求める、スマートクリエイティブの条件。p170
    1. リーダーシップ
    2. 職務に関連する知識
    個別のスキルセットだけでなく、幅広い強みや情熱を持った人材
    3. 全般的な認知能力
    どのように問題を解決するか
    4. グーグラーらしさ
    曖昧さへの許容度、行動重視の姿勢、協力的な性向

  • 真剣なマネジメント。

    ・ミッションの共有→職責を超えた参加
    ・独立採算制をやめる

    ・狭いオフィスの利点→コミュニケーションの増加

    ・悪党の排除、ディーバの保護

    ・≠ワークライフバランス
    →働きすぎるような楽しい仕事をつくる
    →1~2週間の休みをとる方が仕事にプラス
    →1~2週間の休みをとっても問題ないマネジメント

    ・弱い立場はオープンで戦う

    ・ライバルを誇りに思う。ただし追随しない。

    ・採用について
    ・本当に情熱のある人は、最初はうまくいかなくても努力を続ける
    ・面接の質問
    1.興味のあるテーマ
    2.これまでの人生の失敗、そのときとった行動
    3.実際に起こったことに対する考え、起こる前の推測、違った点を認めること
    4.最近驚いたこと
    5.最近読んでいる本、学んだこと

    ・意思決定におけるプロセスの重要性、賛否意見を記録する機会

    ・政府:イノベーション阻害ではなく促進のためにルールを変える(なくす)

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著者プロフィール

グーグル前会長
2001年グーグル入社。同社がシリコンバレーのベンチャー企業からハイテク業界の世界的リーダーへ成長するのに貢献。2001年から2011年までグーグルCEO。2011年から2018年までグーグル会長、その後は2020年までグーグル技術顧問を務めた。グーグル入社以前はノベルとサン・マイクロシステムズで経営幹部を歴任。プリンストン大学で電気工学を専攻、カリフォルニア大学バークレー校で修士、博士(いずれもコンピュータ科学)を取得。

「2022年 『AIと人類』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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