シェアリング・エコノミー: Uber、Airbnbが変えた世界

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532320188

作品紹介・あらすじ

シェアリング・エコノミーとは何か?何がそれを可能にしたのか?既存産業や経済全体に与える影響は?規制と労働はどうあるべきか?新たなテクノロジーによってどう進化するか?P2P宿泊サービス、ライドシェア、カーシェア、クラウドソーシングなど、テクノロジーの進歩が可能にした「新しい取引」の実態と急成長するサービスの仕組み、台頭する注目企業の動きを明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • すこし古い情報になるが、ビジネスモデルの基礎的な情報は習得できた。Uberでいうと、今後自動運転や決済ビジネスへの展開がどうなっていくのだろうか、という点を知りたかったが、そこまでの言及は残念ながらなし。2015年刊行時点と今とでは随分変化しているという琴であろう。

  • 内容薄いし今更次世代ビジネス戦略というのも違和感。5年前ならともかく。
    シェアリングを可能にした背景がインターネット、携帯、決済システムの3つとあるが当たり前すぎて気づきなし。帯を見た時点でその3つくらいかなあと予想してたらそのままだった。

  • シェアリングエコノミーの規制についてなど。
    自動車は走行距離に依存するのでシェアで自動車の需要は減らないという話は勉強になった。

  • Uber、Airbnbに代表されるP2Pシェアリングサービスの概観・特徴・世の中に与える影響についてコンパクトにまとめられている。
    著者は1993年生まれで昨年大学を卒業したばかりとのこと。
    記述形態が学生が書いた論文っぽい感じだが、その分平易で理解しやすい。

    ここでは、カーシェアリング、クラウドファンディングからBitcoinまで、シェアリング・エコノミーをかなり広い概念で捉えている。
    シェアリング・エコノミーの最大の利点は、遊休していた資産や労働資源を有効活用して資源配分の最適化を実現することにあると考えるが、一方でホテル・旅館業界やタクシー業界など国からの規制を受けながらビジネスを行っている既存の事業者との間の利害衝突という点が解決すべき最も大きな障害となる。

    ホテル・旅館やタクシーの事業者に対して政府が規制をかける最大の目的は消費者保護であろう。
    情報の非対称性により消費者が不利益を被ることを未然に防止するために、政府が事業者の有資格性を予め保証するのだ。
    一方で、シェアリング・エコノミーにおいてはインターネット上のプラットフォームがSNSなども活用して評判メカニズムを働かせることにより、情報の非対称性を排除する。
    過去の取引における態様の評価を参照することにより、シェアリングサービスの参加者は、政府など公的機関によるお墨付きが無くとも取引相手の信用度を知ることが可能となる。

    このように考えると、シェアリングサービス事業者に対して、既存事業者と同じレベルの規制をかけることが不合理であることがわかる。
    既存事業者からは、ビジネス上の競争条件が不平等であると抗議がなされるだろうが、情報の非対称性防止という観点ではダブルスタンダードに合理性があるのだ。
    なお、そこまで考えると、既存事業者もシェアリングサービスの評判メカニズムに乗っかってしまえば、政府による規制が不要になり、競争条件の公平性も担保できるのではないか、という気もしてくる。
    実際、既存事業者側にもシェアリング・エコノミーに参入しようとする動きはあるようだが、現状すべての消費者がネット上の評判メカニズムを活用できるだけのリテラシーを備えているわけではないことを考えると、既存の公的規制をすぐに撤廃するのは難しいのだろう。

    いわゆる「市場の失敗」のうち、情報の非対称性については以上のような感じだが、外部不経済については考慮の必要がある、というのが著者の見解である。
    シェアリングサービスが、直接の取引関係者以外の第三者に、治安の悪化や騒音などの損害を与えたり、宿泊税などの税金を払わないことにより不当に競争上の優位性を得ることは防がなければならず、そのためには既存事業者に対するものとはまた異なる規制を設計して実行する必要がある。

    このように、著者は、せっかくのシェアリング・エコノミーの登場による恩恵を損なうことのなきよう、経済性を考慮した合理的な規制のあり方を提唱しており、その点で好感が持てる。
    とかくこの手の話は、既得権益に対する是非を問う政治的イシューになりがちだが、それを理性により乗り越えられるかどうかが世の中を上手に変えていくポイントになるのだろう。

  • Uber、Airbnbなど世界規模での新サービスが広がってきている中、日本においても徐々にシェアリング・エコノミーの拡大が見られる。
    少し古い書籍(2015年)ではあるが、そのときよりも随分規模も拡大してきており、世の中の資産の有効活用という動きは素晴らしいと思う。
    自分自身もスペースマーケットやあきっぱ、軒先パーキングなどを利用した経験があり、非常に有用だと考えています。
    特に息子の高校サッカーの観戦に行くときに近隣の駐車場に空きが無いとまずいので、無駄に早く行くのは面倒だという課題を抱えていたので、事前に予約できる点や意外と近い場所に駐車場が確保できるとかメリットを享受させていただいております。
    またコスト面においてもメリットがあり、会社のオフサイトミーティングの会場として活用したときも、普通の無機質な貸会議室とは違い、素敵な環境で新鮮な気持ちで議論できた経験もあり、世の中にこんな便利なサービスがもっと広がればいいのにと思っております。
    外部不経済という問題ももちろんありますが、規制することを前提にするとそれを管理する人材が必要となります。提供者、利用者ともに評価する制度を確立されつつあるので、そういうものに任せるという手もあると思います。
    また、一つのサービスの中での評価ではなく、あらゆるサービスを利用する上でスコアリングされるとなればよりよい環境が構築されるのではないでしょうか?
    自分の行動履歴が記録されていくとなると、気持ち悪さは大いにありますし、それを管理する人は信用できるのか?という課題もあると思います。
    なんとなく共産主義的な動きにもなりそうな…

    日本においては人口減社会、少子高齢化がますます加速化していくので、人々が助け合いながら幸せな生活を営める環境づくりにつながれば良いと考えます。
    プラットフォーマーが営利目的により過ぎるとまずいですが、そういったものも改善できる世の中になってきてるので前に進もうと声を挙げる人が増えることを希望します。(私自身もそんな活動に貢献できればうれしい)

  • ・シェアする、あるいは共有するといった性格を持つ取引である。
    ・P2Pあるいは個人間のモノなどのやりとりである。
    ・取引はインターネット上のプラットフォームで行われる。
    ・ソーシャルメディアによる信用をもとにして成り立っている。

    これが、
    ・インターネットの普及
    ・スマホの登場
    ・決済システムの進化
    が取引を可能にし、

    ・都市部への人口集中
    ・環境問題と資源の有効活用
    ・フリーランスという生き方(オバマ大統領の皆保険制度導入も大きい)
    ・世界金融危機

    という社会現象が後押しした

  • シェアリングエコノミーとは何か。本書は、世界的に普及しているシェアリングエコノミーの現状や課題を知ることができる入門書である。事例が多く、文書も平易であるため、初心者向けの一冊と言えよう。
    シェアリングエコノミーとは、資産や時間などを有効活用するビジネスモデルである。「資源の最適化」といった言葉も使われる。要は、余っているものを相互共有することで、無駄をなくしていくことを指す。ライドシエアのUberや民泊のAirbnbがその最たる例であろう。その他、わが国でもメルカリやAsmamaなど、モノやサービスをやり取りするビジネスが増えつつある。その背景には、ICTの発展がある。ネットやスマホが普及した結果、見知らない者どうしを結び付けるプラットホームの構築が容易となった。
    一方で、課題も指摘されている。本書では、身分保証の問題や課税逃れ、既存業界との対立などが挙げられているが、まさにその通りだろう。特に、私が目から鱗だったのが、サービス提供者と利用者の関係性に関する著者の言及だ。現行のビジネスでは、利用者は提供者の情報を口コミサイトなどから知ることができるが、その反対はない。しかし、個人間でやり取りの多いシェアリングエコノミーは、サービス提供者も利用者の情報を知る必要があると著者は指摘する。ネットを介在し、かつ見知らぬ個人間で成り立つビジネスであるため、保険加入の義務化など、提供者をトラブルから守る・救済する取組みが求められるだろう。
    最後に、著者はシェアリングエコノミーの推進を主張している。現状では利用者が1%に過ぎない。生産年齢人口の減少、共働き世帯の増加など、わが国の将来は決して明るいとは言えない。生産性の向上や家事代行などがいっそう求められる中、シェアリングエコノミーはわが国の経済成長の起爆剤となるかも知れない。

  •  シェアリングエコノミーの潮流は、巨大なビジネスチャンスを生み出しています。Uberは未上場ながら企業価値評価額が5兆円。Airbnbは1兆円にのぼります。
     Uberの特徴は、所属するドライバーの大半が自家用車での副業です。週に15時間以下の短時間勤務になります。副業として魅力があるのは、個人間取引により時給が高いことです。こうした傾向のある主要都市部では、従来のタクシードライバーより48%時給が高くなることが特徴として挙げられます。

  • 様々な分野でプラットフォームが運営されるようになり、スマホを始めとしたインターネット上の取引で、個人間で空き部屋や車やモノや仕事がやりとり可能になってきた状況を概観。アメリカが先進。

    周りを見回しても、余っているもの、使っていないもの多数。安心して、相互に使えるしくみがあればと思いますが、規制逃れや搾取にもなり得るものと知りました。

  • Uber や Airbnb などシェアリングエコノミーの会社などを紹介している本だった。
    あとは、規制解除がどれだけ経済発展に結びついているか、という話が多かった。
    一通り読めば把握できることが多かった。


    ちなみに、この本では規制解除が重要だと訴えているが、受ける印象としては規制によりシェアリングエコノミーを制限することがどれだけ重要なことであるかがわかる。
    例えば、「Uber の運転手には普通自動車免許だけで十分で、そうでなければ一般のドライバーが普通自動車免許だけで走行できるのは危険すぎる」と言っているが、そうであれば「マクドナルドには調理師免許は不要で、そうでなければ調理師免許なしで調理している一般の家庭は危険すぎる」と言っているようなものである。

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