宅配がなくなる日: 同時性解消の社会論
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2017年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532321536
作品紹介・あらすじ
ECの急拡大に経営立て直しを迫られるヤマト運輸と三越伊勢丹。アマゾンの猛攻に日本企業は耐えられるか?
業界の両雄のつまずきを手がかりに、今後の流通のあり方を大胆に予測する刺激的な経済文化論! !
★宅急便崩壊の要因は、「みんなの時間意識の激変」!
"ネットで買えても欲しい時に届かない"という宅配崩壊の理由を、荷物をじっと待てない消費者の時間意識の変化
=「同時性の解消(些末な用事に居合わせたくない)」と解説するなど、最新キーワードが満載。
★業界分析の第一人者が、小売り・物流界激震のワケを「逆転の発想」で解き明かす!
荷物が届くのをじっと待つのではなく、自販機や郵便ポストのように設置される近所の宅配ボックスに取りに行く時代が
やってくる……と、著者独自のリサーチ・分析力を駆使して、目からウロコの解決策を提示。
★コンパクトでも読み応えあり、今後の流通・消費行動がよくわかる新時代の必読書!
アマゾンなどの最新動向とそれに伴うライフスタイル変化を予測し、ビジネスパーソンの企画立案に役立つ一冊。
感想・レビュー・書評
-
昨今多数出版されているIoTとかAIとかシェアリングエコノミー等に纏わるビジネス書籍の中では優しく解りやすく、それでいて「へ~すっごーい!」感を損なっていない素敵な1冊だと思いました。…と云う感想からしてタイトルが的外れなんじゃないかとか思ってしまいましたが、いやいや。タイトルに惹かれて手にしたものですから、それはそれで成功しているんじゃないかと。
タイトルにある宅配についての問題解決への提案も、面白いと思いました。
他の方も感想に書かれていらっしゃいますが、カラオケボックスやカーシェアリングの使用方法が、認知していたモノと今はだいぶ違う事にビックリしました。
あと、トイレを登録して云々も面白いなあと。(でも実際、お腹痛めたリーマンがピンポン連打でトイレ借りますって来たら怯んでしまうと思う…)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017年6月刊。カーシェアの意外な用途
◆【引用メモ】カラオケボックスとは名ばかりで、実際は、飲食提供サービス、音響設備、防音設備などが整った閉鎖空間の短時間賃貸業となっている。(p.138)
◆スマホを使って予約ができるカーシェアリング(中略)車を運転する営業マンだけではなく、徒歩と電車で動き回る営業マンにとっての仮想オフィスとして人気が上昇しているのが興味深い。営業マンたちは、カーシェアリングを使用するものの、自動車を一切運転して動かさず、静止した自動車の座席という空間を利用しているのだ。(p.139) -
宅配便における「受け取り」の問題を端緒に、様々な現代のサービス業の同時性解消の流れの解説、将来の展望。
著者はスマホの登場を「農耕革命以降、特定の何かに縛り付けられた時間からの解放が可能となった」と語るが、却ってスマホに縛り付けられているとも思われるような。 -
"選択""購入""受取り"というプロセスにおいて、いまだ"同時性解消"がされていないのは"受取り"。
消費者にとって、受取りの同時性解消は、時間の節約だけでなく、本来的には、節約した時間を使って別の何かを創造することを意味する。
そして、その創造は同時性により活性化する、というところが興味深い。 -
『#宅配がなくなる日』
ほぼ日書評 Day444
軽く来し方を振り返り、この後の時代を考えるには、良いテキスト。
タイトルの「宅配がなくなる」とは、各戸配達の供給者と受益者が、同じ時刻に同じ場所に存在する「同時性」が成立しない現代において、再配達コストがいわば臨界点に達し、宅配をビジネスとして継続できなくなるタイミングが来る。その状況へのひとつの解が、(過剰設置でいまやほとんど利益の上がらない)飲料自販機に宅配ロッカーが置き換わるということらしい。
初版が2017年6月の本なので、執筆から数えるとちょうど5年ほどだろう。第2章からは先端的なITを使ったビジネスイノベーションに主題が移るのだが、時代の移り変わりの早さには驚きを禁じ得ない。
ちなみに444は、長島茂雄さんの生涯ホームラン本数、書評数がこれに並んだというのも個人的には感慨深い。
https://amzn.to/3y03irP -
時間価値について考えるきっかけになった
節約時間価値と創造時間価値という分類がわかりやすい -
現代社会に特有のテーマを切り口に、「時間」を金銭と同等の資本と捉えて、それによっていかにビジネス環境が変容しているかを解説している。
ただし、同時性解消はインパクトの大きいものの、それを単に追い求めればビジネスの成功に繋がるわけではなく、自社の課題を本質的に掘り下げて、かつ置かれているポジション・強みを理解した上で戦略を打つことが大切。(節約時間価値、想像時間価値)
宅配という名前から物流業界の話題を想像したが、あくまで一例であり、どの業界でも当てはまるトピックである。
また、同時性解消の社会論というサブタイトルにもあるように、経済学的視点で現代社会の特徴も浮き彫りにしている。
-
・自動販売機→宅配ボックスへ。
・カーシェアリングの空間を細切れ私用時間に利用。
・カフェで仕事よりもコワーキングスペースの簡易利用
・高まっているのは時間価値である。 -
タイトルになっている宅配の未来だけでなく、自分たちのこれからの未来の時間や空間の使い方について描かれており、ワクワクしながら読めました。
面白かったです。