同盟変貌: 日米一体化の光と影

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532352707

作品紹介・あらすじ

米軍・自衛隊の一体化、基地再編、日米同盟の再定義。知られざる安全保障の舞台裏を活写。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で読む。期待していませんでしたが、期待以上の出来です。安全保関係の本は、僕のような門外漢のものには、馴染みのない専門用語が多く、読みにくいです。それに対して、この本は、僕のような素人に配慮して、専門用語を使わず、丁寧に書かれた読みやすい本でした。著者は、「ジャパン・ハンド」等の著書で著名な日経新聞の外交問題を担当する新聞記者です。テーマは、日米交渉です。興味を持った点を整理すると、以下のようになります。第1に、日本のアミテージ人気の秘密です。日本の外務省、防衛省には、アミテージ前国務副長官のファンが多数存在します。その理由は、アメリカが命令するわけではなく、日本の自主性に任せることです。日本の国益とアメリカの国益には、共通の部分が多くあるはずです。丁寧に説明すれば、日本の自主性に任せても、アメリカの国益に反しない結論が出るはずです。それに対して、アメリカが強く要求を出すと、その提案は通るかもしれません。ただし、遺恨が残り、日米関係がぎくしゃくします。この姿勢を常に取る事は容易ではありません。アミテージは、この姿勢を貫いています。これが、日本におけるのアミテージ人気の秘密です。第2に、ブッシュ政権初期におけるライス補佐官の立場の弱さです。外交安全保障担当補佐官は、国防省、国務省の調整業務を担っています。ただし、ラムズフェルド国防長官、パウエル国務長官という重量級のトップの間で、埋没していました。別の言い方をすれば、ライス補佐官は、両者の争いに巻き込まれないようにしていました。日米交渉に関して、同様でした。ただし、グリーン日本部長の進言を受けて、日米交渉の調整に乗り出しました。第3に、飯島秘書官と守屋防衛次官の関係です。日米交渉において、防衛省は、外務省に押されていました。守屋防衛次官は、飯島秘書官との個人的関係を結び、その立場を逆転していきます。最後に、誤字脱字が目立つことです。僕の読んだ本は、書き込みの多い本でした。誤字脱字を修正する書き込みが目立つ本でした。特に、日本の政治関係の用語には、誤字が目立ちます。英語屋さんなんでしょうか。残念です。

  • ・特段の裏話的なものはないようだけれど、01年~07年初頭の再編協議の経緯が流れに沿ってわかりやすくまとめられている。
    ・「トータル・パッケージ」派守屋次官は、日本の「主権」や「自己アイデンティティー」回復に執念を燃やしていたという。それが、同盟から離れるんじゃなく同盟の中で役割拡大という方向に行った。韓国とは異なるということかな。
    ・タイトルに「変貌」とあるけど、一体何が変貌なんだろう。通読すれば、多少なりとも同盟が双務的になった、と言いたいんだろうとはわかる。でも一方、現職DoD高官のこんな言葉もある。「日米間の認識ギャップは十年、あるいはそれ以上前から現在に至るまで、何も変わっていない…」
    ・変わったという立場に立てば、96年の共同宣言は所詮同盟「再確認」に過ぎず、このDPRIこそ「再定義」である由。
    ・親米、官邸主導というイメージの小泉官邸だけど、本プロセスではそうじゃなかったってのが目から鱗。国務省の事務方から見て、小泉・ブッシュ関係はイメージ先行で実体はなかったようだし、小泉総理は「憲法と安保条約の枠内」が基本方針だったという。章の一つは「官邸不在」ってタイトルになってるぐらい。
    ・福田官房長官は、04年参院選もあって米軍再編協議を引き伸ばそうとしたりし、「米国の言いなりにはならない」という気概があったという。他方、「ベーカーとの関係も踏まえ、福田には『親米派』のイメージが根強い。」という一節にまた目から鱗。
    ・ラム&ローレスのDoD側とパウエル&アーミテージの国務省側とが険悪となり、NSCも調整し切れなかったという。前者が暴走したのだとか。

  • 日米のかけひきがスリリングなノンフィクション。

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著者プロフィール

春原 剛
春原 剛:日本経済新聞社編集委員

「2013年 『オバマと中国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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