投資銀行は本当に死んだのか: 米国型資本主義敗北の真相

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532353452

作品紹介・あらすじ

何が金融を暴走させたのか?見当違いな犯人捜しが経済を殺す。

感想・レビュー・書評

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  • リーマンショック以降の金融危機の状況を過去と対比させながら、発生した背景・原因について深く掘り下げている。文体はいたってマジメで、鋭い洞察と論拠でサポートされている重厚なテイスト。読むには一苦労だが、巷で言われている金融危機の背景よりは踏み込んだ発言をしたいなら、かなり頭の整理に役立つ1冊だろう。
    ・金融危機の背景(終章より)
    ?金融スキームの暴走と無力
    ?株式手数料の自由化以来、金融イノベーションの創造が投資銀行の存在目的となったこと
    ?金融危機を解決する金融イノベーションが新たな金融危機を生み出す構造
    ?「ヒステリー型」資本主義の存在
    ?年金と企業経営者の利害が一致して過剰に成長を目指したこと
    ?株主至上主義が強くなり過ぎ、株主権行使の弊害が目立つようになったこと
    ?成果報酬システムの矛盾が大きくなったこと
    ?米国型敗者復活システムの弊害

  • タイトルと内容に相関性があまりになさすぎるwww

    なんか論点がどこなのかほとんど分からずただひたすら筆者の金融知識を披露されただけだった・・・。

  • まず読み終えて、とても読みやすく理解しやすかった印象を受けた。

    サブプライムにはじまる世界金融危機において、なぜアメリカ式資本主義が敗北してしまったのかというマクロ的な論点でその背景にある歴史的・技術的・組織的な要因をあげている。

    それらの要因は

    FRBグリーンスパン元議長の方向性
    投資銀行の本来の役割からの逸脱とその逸脱を生む米国型成果報酬システムにおける組織性
    金融工学の発達とそれについていけなかったリスク管理
    株式売買手数料自由化
    リスクヘッジのオフバランス化

    などなど。

    これらのすべての要因が複雑に絡み相乗効果を生み、今回の危機を招いたと尾崎氏は考える。
    現在アメリカを中心のすべての国ではこの危機に対応するための救済措置(金利下げ、公的資金追加、投資銀行の廃止、不安定企業の国営化)などを行っている。
    しかし、この流動性危機が収まれば、次に待つのはデフレ圧力への対抗。つまりは金融緩和や財政支出による景気刺激である。この緩和によって、再びバブルが起こってしまうかもしれない。バブルを避けるために政府等は新たな規制をつくるかもしれない。でも規制を生むことで、新たな危機を避けることができるのであろうか。つまり、規制を作って新たな危機創出を防ぐのではなく、根本的な土台である資本主義型システム全体、たとえば成果報酬システムの変化など、を変えていかなければならないと尾崎氏は述べていた。

  • 投資銀行側の言い訳という印象, 2009/4/5


    著者がモルガンスタンレー系、ゴールドマンサックス系の会社勤務経験者ということもあり、読んでいて、投資銀行側の言い訳(一番悪いのは投資銀行!!では無く、真の犯人が他にいる)という感じが強く、書いてある事は理屈だっていますが、あまり共感を生みませんでした。確かに投資銀行だけが悪者ではないのでしょうが、でも、主犯の一人であるのは確かだと思います。また、本当の真犯人を導き出しているという感じでもなく、ただ長い文章を読んだという感じでした。
    唯一共感できた部分は、巻末の「過熱を回避するための10の処方箋」でした。

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著者プロフィール

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授1984年東京大学法学部卒業、1990年ニューヨーク大学MBA、2005年早稲田大学アジア太平洋研究科博士後期課程修了、博士(学術)。1984年野村證券入社、ニューヨーク現地法人などに勤務。モルガン・スタンレー証券バイス・プレジデント、ゴールドマン・サックス投信執行役員、複数のベンチャー企業の立ち上げ・経営に携わり、2005年東京工科大学教授、2015年から神戸大学教授。専門はベンチャー経営、オープンイノベーション 。経済産業省、環境省、沖縄県、経済同友会などの委員を務める。著書に『次世代環境ビジネス』(日本経済新聞出版社)、『環境ビジネス5つの誤解』(日経プレミアムシリーズ)『『俺のイタリアン』を生んだ男 「異能の起業家」坂本孝の経営哲学』(IBCパブリッシング)などがある。

「2018年 『新たなる覇者の条件 なぜ日本企業にオープンイノベーションが必要なのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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