団塊ロストワールド: 老いる国の経済学

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532355333

作品紹介・あらすじ

団塊の世代が65歳になり、本当にリタイアし始めた。働き手が減ると同時に、社会保障の受益者が急増する。すでに超高齢社会を迎えた日本で、逃げ切りは可能だろうか。雇用・消費・財政・経常収支・医療・年金・介護など様々な角度から今後の日本経済・社会を検証する。暗い将来予測から目をそらさず、改革への道標を示した提言の書。

感想・レビュー・書評

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  • 埋蔵金を見つけたら良いとか、政府の無駄遣いをなくせばよいとか、しばしば言われるのだが、冷静に考えたらサービスのコストとペイがつりあっていなければつりあいが取れなければ、破綻するに決まっている。

    社会保障給付自体は日本は低レベルなのだが、世代別で見るとあまりに若年層に少なすぎるため、相対的に団塊世代に過剰給付感がある。

    冷静に考えたら、給付をへらしつつ負担を増やすぐらいしかないんだよね。

  • 日本の社会保障制度の限界に関して、

    数字的な羅列が続き、

    知っていることなのですが勉強となった1冊です。

    参考文献としてやくに立つ1冊だと思います。

  •  本書は、現在の日本が置かれている現状について「人口減少・高齢化・雇用・所得・消費・財政・社会保障・産業構造・雇用情勢」と多岐にわたって考察しているが、それぞれの項目への深い切込みと考察の全体の整合性には、強い説得力がある。
     「団塊の世代」が2007年から60歳を超え始め、2012年から65歳となることへの社会への影響は、既にさまざま語られてきているが、本書の「人口減少と高齢化による歪み」の姿は衝撃的である。
     「今後の日本は県単位の人口が次々と消えるほどの影響を日本に及ぼす」との結論。
     そして「年金制度」や「財政」などへの影響の詳細な分析と、「打出の小槌などない」との当たり前な結論は、日本は今後どうなってしまうのかとの思いを持つ。
     その「労働市場」への影響や「団塊世代への年金受給で毎年2兆円以上の社会保障増」との冷静な考察。そして「貿易収支」や「金利・貯蓄投資」などのマクロ経済分析もそれぞれ個別では時折耳にする内容もあるが、本書のようにそれらの全てを改めて鳥瞰するように読むと、危機感は一層強く迫ってくる。
     本書の内容で驚いたのはそれだけではない。「GDP比でみれば日本はアメリカ並みの小さな政府」だというのだ。
     OECD諸国の数値を比較すると、「日本は政府支出も少ないが、それ以上に税収も少ないという特殊な条件にある」「経済規模でみれば社会保障費は少ないが、その給付が高齢者に偏っている」という。
     ということは、日本は「税収構造や配分システム」の抜本的・全面的な変革が必要だということか。
     本書で読む日本の現状は、社会システムを抜本的に組み替えるほどの全面的な変革が必要である。しかし、ひとつの改革も満足にできない現在の日本の政治にそんなことができるのだろうかという暗然たる思いを抱いた。
     本書は、アベノミクスを取り上げているわけではないが「人口動態の側面から見て実質2%成長は困難」とも分析している。やはり「アベノミクスで明るい日本」というのは「見果てぬ夢」なのだろう。
     本書では「活力ある日本経済維持への挑戦」としての課題も取り上げてはいるが、どれをみても実現は困難としか思えない。
     また、本書では「円高」などを「六重苦」と経団連の代弁のように取り上げているが、日本経済の現状を見ると「円安」になったから「輸出」が伸びるほど単純ではない。
     本書は、現状分析においては評価はできるが、「解決策」については今ひとつという思いをぬぐえないとも思えた。

  • 考えさせられる

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著者プロフィール

早稲田大学理工学部工業経営学科卒、 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
第一生命保険に入社後、 日本経済研究センターに出向。 現在、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 内閣府経済財政諮問会議有識者、 総務省消費統計研究会委員、 景気循環学会常務理事、 跡見学園女子大学非常勤講師。 2015年に景気循環学会中原奨励賞受賞。 著書は『給料が上がらないのは、円安のせいですか?通貨で読み解く経済の仕組み』(PHP研究所)、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)ほか多数。 趣味は車と体を鍛えること。 一男(大4)一女(大1)の父(書籍発売時)

「2023年 『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話 増補・改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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