- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532355937
作品紹介・あらすじ
世界金融危機、長期にわたるデフレ-。なぜこれらの問題を解決できないのか。市場に委ねることが危険なのか、経済学は適切な対策を提示できないのか?第一級の研究者たちが問題の本質に鋭く迫る。
感想・レビュー・書評
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/576317詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・刺激→需要創出→供給という構造へ移行(飽和)
・学問が「理論武装」という使われ方をしてる -
岩井克人教授によると、2008年のリーマンショックに至る今回の経済危機は、新古典派経済学の自由放任主義が原因の一つである。信用創造を行えるがリスクの投資活動を禁止された商業銀行と、信用創造は行えないが自由に投資できる投資銀行。両者を明確に切り分けていたのが、アメリカのグラス・スティーガル法だったが、新古典派経済学者たちは、この法律の廃止を強硬に主張し、1999年に同法は実質的に撤廃されてしまった。この結果、商業銀行が投機的な活動を始め、投資銀行はさらにリスクの高い投機に走り、金融市場全体が高リスク高収益の投機の場となった。金融市場全体が、商業銀行のように信用創造を行ってしまった。そこでひとたびサブプライムローンの焦げ付きがニュースになると、自己循環論法が逆に作動し、パニックとなったのが今回の経済危機。
自由を守るためには、自由放任主義から解放されなければならないという岩井先生の主張は明快で気持ちが良い。 -
問題の本質に鋭く迫るだけでは意味がない。問題を解決しないと。本当の科学とニセ科学の違いが,解決策を示せないところにあるのでは。
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岩井克人がオムニバスで書いている本で、読んだ「経済学は何をすべきか」です。
岩井節は、何度読んでも気持ちのいいものです。
ケインズ、ビクセル、そして、不均衡動学、経済現象の説明はこれだと信じてしまっています(笑)。
だから、どうしても、他の学者、とりわけ、新古典派経済学的な書きぶりは読み飛ばしてしまいました(笑)。
貨幣自体に投機性がある。納得です。 -
いろんな経済学者、エコノミストが、リーマン・ショック以後の経済について、経済政策について、いろんな角度から話してて、分かりやすかった。
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アベノミクスの成果が本物か問われている今、政策と経済学はこの日本で機能しているのかが知りたかった。安倍総理は先日解散を宣言し、アベノミクスの是非を問うみたいな事を言って消費税10%増税を延期させた。クルーグマンの発言をよく安倍総理は例に出す。確かにクルーグマンはアベノミクスを評価しているようだ、クルーグマンは増税反対、8%も5%に戻すべしとまで言っている。一方で壮大な経済学の実験みたいな事も言っている。本書にも少し触れられていたが、ロゴフーラインハートの研究は興味深い。政府債務が増えると経済成長率が落ちる。債務の経済的コストについて、経済学者はもっと言うべきだ。その上で増税を延期してまで景気を上向かせる事が今は必要だとなれば、アベノミクスも腹落ちする。
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矢野誠「Ⅲ現代の金融危機と「市場の質理論」」だけ読みました。
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岩井克人の第一章がとてもおもしろかった。リーマンショックの意味を、新古典派経済学「壮大な実験の壮大な失敗」と切り捨てる。フリードマン的「楽園」=市場に不純物のない世界であれば安定性と効率性が同時に達成されるというテーゼが、なぜリーマンショックで否定されたのかが、たいへんわかりやすく解説してある。あとはおまけです。
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経済学者ってたいへん。