交渉の達人: いかに障害を克服し、すばらしい成果を手にするか
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2010年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532406134
作品紹介・あらすじ
最新の心理学なども踏まえた基礎理論や交渉の枠組みが理解できる決定版テキスト。不合理な相手、こちらの立場が弱いとき、相手が嘘をついているときなど豊富な例を通して、交渉の本質と具体的な対応を明快に解説する。
感想・レビュー・書評
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交渉の達人になるには、5つの準備が必要
1.交渉が行き詰った場合にとるべき最善の代替案(BATNA)を見極める
2.BATNAの分析から「留保価値」-交渉のテーブルを離れるべきポイントを計算する
3.相手のBATNAを見極める
4.相手のBATNAから、相手の留保価値を計算する
5.両当事者が最終的に合意できる、両者の留保価値の間の領域を計算する
実社会での交渉で成功するために
1.相手の予想される利得ではなく、損失を強調する
2.相手の利得は分散し、損失をまとめる
3.形式的に一方的に譲渡する
4.万全の準備が出来ているように見せる
5.警戒されにくい、間接的な質問をする
6.複数のソースから情報を仕入れる・罠を仕掛ける・答になっていない答えに注意し、相手の嘘を察知する
7.自分が弱い立場にあることを明かさない
8.相手の弱点を利用、自分の弱点を克服する詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
交渉に関する理論から実践的な方法に至るまでが書かれており、交渉に関する全体感が理解できた。
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交渉学という存在を知る。
物の売買にかかわらず、法廷交渉から妻の説得まで使うことができる。
ただ、丁々発止で交渉する中で、じっくり腰を据えて、交渉する時間があるのか疑問ではある。
ケネディの例や冒頭の選挙広告の例はなるほどなと感じた。 -
交渉の基本から実践までを体系的に解説。特に、交渉において知っておきたいフレームワークから交渉における人間の心理、実際の交渉のケーススタディまでこの1冊でほぼ完璧に網羅されており、論点の幅もさることながら、非常に奥が深い。ビジネスからプライベートまで、幅広く本書が活用されることは間違いないでしょう。
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ネゴシエーションをどのように進めるかについて実例を交えつつ交渉学の理論を紹介する本。BATNAとかZopaとかバリバリつかう。
大学のケーススタディの授業みたい。めっちゃくちゃ手堅く理論を紹介してくれる。
文字とか装飾が地味なんだけど、丁寧に硬派に翻訳されてて、内容とマッチしてるのが地味に面白かった。 -
昨今のいわゆる「交渉術」の研修などでは、心理学的なスキルも交え、ラポールの形成などについて触れる講座なども多いが、本書は徹底して合理性を基点とした交渉戦略について解説されており、その一貫性ゆえに一度読みだすと意外と読みやすい。
(或いは、交渉術に関する簡単な研修を受けて本書を読むと読みやすいかもしれない。)
しかしながら、あらゆる場面・側面での合理性の追求の仕方について非常に丁寧に研究されている為、一読しただけで本書にあるスキルを身につけるのは恐らく不可能であると思う。(一部は読むまでもなく、当然の態度ややり方であるものも含んではいるものの。。。)
とはいえ、本書の指摘する交渉の極意は極めてシンプルなもの(交渉決裂時の代替策を最低ラインとして意識しつつ、ゼロサムとならない価値創造的な選択肢がないか追求する。)なので、本書を常に横に置きつつ、実務上行き詰った際に再度立ち返るように利用出来れば良いと思う。 -
交渉とは、多種の論点を組み合わせることで、双方のメリットの違いをやり取りし、価値を創造すること。そのためには、相手を知り、そして自分を知ること。
日々自分との交渉。 -
1、交渉が行き詰った場合にとるBATNA(最善の代替案)の見極め
2、BATNAの分析から、「留保価値」交渉のテーブルを離れるべきポイントを計算
3、相手のBATNAを見極める。
4、相手のBATNAから相手の留保価値を計算
5、両当事者が最終的に合意できる「ZOPA」(合意可能領域)の計算。
論点の洗い出し、優先順位付け、→自分の評価基準をもって、採点システムを作ってしまう。
交渉を行いつつ、「点数が高い」もので合意。 -
いわゆるハーバード流交渉術の本。
1章では、交渉の基本ツールの紹介をしている。
交渉に当たっては以下の準備が必須だという。
1、自分のBATNA(Best Alternative to a negotiated agreement:不調時対策案)を決める
2、自分の留保価値(Reservation Value)を決める
3、相手のBATNAを評価
4、相手の留保価値を評価
5、ZOPA(Zone of Possible Agreement:合意可能領域)を計算する。
※BATNAは交渉が不調に終わった際にとりうる最善案のこと
※留保価値は、交渉に合意出来る最低価値のこと。
※ZOPAは、お互いの留保価値を満たすことができる価値の範囲の事。
2章「交渉において価値を創造する」と3章「調査交渉術」が本書の秀逸な点だと思った。
2章では、交渉において価値を要求するのではなく、複数の論点を議論する事によって、
交渉における価値のパイを大きくし、双方がWin-Winの状況になるような交渉を目指すように説いている。
3章では、交渉における情報の入手法を紹介している。情報は1章、2章のおける交渉の価値要求と価値創造のために、
必要なものであり、3章では情報を明かさない相手に対してどう情報を取得していくかなどが述べられている。
交渉の前提にしている仮定を常に疑い、「なぜ」を質問の核として相手にぶつけていくことが大事。
【総括】
本書を通しての感想だが、仮定を常に疑い、複数の視点から物事をみる力が交渉に大事だということを再認識させられる。
また、本書の後半15章では交渉してはならないケースの紹介(文化的な違いやそもそも交渉するに値するのかを考える等)もされており、交渉自体を手放しで肯定していない点が好感できる。