行動分析学マネジメント: 人と組織を変える方法論

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532490218

作品紹介・あらすじ

一人ひとりがいきいきと働き、成長し続ける組織を生み出す方法論を行動原理を用いて科学的・体系的に解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 人の行動を変えるにはどうすれば?が行動分析学のアプローチで書かれている本。外資系の会社に合併吸収された日本の会社。一つのチームとしてワークする際に生じる様々な障壁を、行動分析学に詳しい人間が一つづつ解決していく物語形式で描かれている。テーマ別に章立てされており、物語編と解説編で1章となっているので理解しやすい。

    【感想】
    好子嫌子・強化弱化など、行動に関するいろいろな概念が出てくるが、平たく言うと「相手の行動にどのようにフィードバックを与えればよいか」に尽きると思う。
    人の「行動」は他人から見える表層でしかなく、その裏には習慣や思考、経験などが広く絡みあって生成されている。本質的に変化を求めるのであればそれらの複数要素に働きかけるべきで、行動を変えるためにルールを設けるようなマネジメントは下策でしかないと改めて感じた。
    行動分析学は人間をまるで動物のように扱う印象を受けたが、人の行動や組織の文化を変えて成長を促す方法としては有効と感じた。

  • 会社組織における多くの問題や課題は、行動分析で改善できることが理解できた。ストーリー仕立てで分かりやすく、今後も役立つ1冊になりそう。自分自身の日常の行動改善にも繋げたい。

  • 本書の内容は「ほめる技術」に通ずるものがあると思って見返したところ、強化と弱化、60秒ルール、シェイピングなどの同じ用語が出てきた。ほめる技術は行動科学で、本書は行動分析学。同じ領域なのだろう。

    行動の直後に好子が出現すると行動は増加する。会議で好ましい発言に対してポジティブなリアクションを返すと、そのような発言が次々と出るようになる。

    進捗会議の事例
    乗り越えたことや工夫したこと、結果が出たことに対して関心を示し、ポジティブに反応するのは、よい報告をするという部下の行動を強化する。逆に、「ふうん」という無関心や「まだまだだな」という否定は、嫌子による弱化や消去になる。
    ★失敗の報告を奨励したい場合にも使えそう!

    相談対応の事例
    「相談ですか、ありがとうございます」は好子に乗る強化。自分のところに皆が相談に来るという行動を強化することになる。逆に、「え、またですか?」や迷惑そうな顔は嫌子による弱化。
    ★メンバーから相談しやすい土壌を作るのに重要!

    これまで、いい報告の時にだけ機嫌が良くなる人という印象を持たれないように、良い報告を聞いた時でも感情を抑え気味に対応していた。本書にあるように、ポジティブに、ときには大袈裟にリアクションすることを実践したい。同時に、機嫌が悪い時でも笑顔と感謝を使えるようになる練習も必要。

  • 行動分析学の手法はいくつかあるが、それらについてとても分かりやすく説明している。具体例も、会社組織の出来事でイメージしやすい。

    行動分析学は、以前より動物の調教や療育などでも使われているが、この本を読んで応用範囲がとても広いことに気づかされた。

    家族に家事を頼んだり、会議で意見を活発に述べてほしいとき、悪い習慣を辞めたいときなど、会社だけでなく日常生活でも使えるし、人々も気持ちよくやってくれる気がする。

    ときどき読み返したい本の一つ。

  • 企業は社員によって構成されている。社員の行動の集積が企業活動そのものである。したがって、企業組織マネジメントの究極の課題は、社員、すなわち、人間の行動の問題といってよい。P10のこの一節は自身の最近の問題意識を的確に表現している。また、組織人事コンサルタントとして著名な舞田竜宣氏による「人の行動は、変えられる。組織の文化も、変えることができる。」という冒頭の言葉も大変心強く感じた。しっかりと通読はできていないが、その科学的・体系的な方法論を深く理解していきたい。人の性格や人格を変えるということではなく、人の「行動」を変えるということはポイントだと思う。

  • 例があり、とてもわかりやすい
    行動分析学、パフォーマンス・マネジメントは組織や個人のパフォーマンス向上に影響を与えることができる
    マネージャーやHRの人は読んだ方がいいと感じた

    出来る人は自分でやったことを自分で褒め、続けることができる環境を作っている

    行動は医学によって考えられる
    ポジティブな反応がポジティブな集団を作る
    好子、嫌子が強化、弱化されることで行動が形成される
    褒めるのは行動です 行動の60秒以内に褒めないと効果がない
    何回か一回に好子を与えるようにすると人はその行動を長く続ける(変比率強化スケジュール)
    行動をプロセス化して、具体化する、そしてどこのプロセスが苦手で何を強化すべきかを考えるべきである
    パフォーマンスは週に一回チェックするべきである
    シェイピング 細やかな中間設定 ギリギリのラインを越えた時に褒めるべき
    できない人にはバックワードチェイニング 成功のところから逆算させて、イメージさせる
    相手によって意見を変えるのは弁別刺激があるからである、それ変えれば意見を言うようになる 先行するイメージ
    トークン 代わりのことでそれを利用することで遠い先の利益を意識させ、好子を持てるようにする
    ずっとやるとマンネリ化するので時々変えたりなくすべきである
    苦手な人でも会う前に好きという気持ちを持ち、練習すれば苦手意識はなくなる

  • 分かりやすく応用しやすい

    自分の行動に当てはめてみると、気付きが多く、改善点が明確になった。
    これからの人生において、私の考え方や行動の基礎として、ずっと役立てていける内容だった。

    この本に出会えて良かった。

  • <紹介文より>
     一人ひとりが活き活きと働き、全体としてはどこにも負けない競争力を持つ そんな理想の組織はどうすればできるのか。 その答えは、行動分析学に裏打ちされた人と組織のマネジメントにある。 組織変革や人材マネジメントで注目を集める行動マネジメントを、基礎からビジネスへの落とし込みまでをコンサルタントと行動分析学の専門家が実例に基づくストーリーを通じて具体的に解説。 行動分析学を用いた個人の成長、組織活性化の具体的手法を解説。
     *行動分析学マネジメントの実践例 ・前向きな意見の出る職場作り ・成長に繋がる褒め方、無意味な褒め方 ・セルフマネジメント ・短期間で即戦力を育てる方法 ・苦手な顧客の克服法 ・コンプライアンスの意識づけ ……など

  • ”<一言>
    ---
    T:
    P:
    O:
    ---
    <読書メモ>”

  • P16
    行動分析学では、目安として「60秒ルール」と呼ぶように、行動をしてから60秒以内に起こらない結果には、ほとんど意味がないと考えている。

    P32
     行動は、行動直後の状況の変化によって変わる。専門用語では行動随伴性と呼ぶ。

    好子
    行動の直後に出現する行動を増やす刺激や出来事
    行動の直後に好子が出現すると行動は増加する

    ダイアグラムを書くさいには、左からではなく真ん中の「行動」から始める。(「社員が定時に帰社する
    」など)

     行動の理由は、直前直後の状況の変化にあるから、この行動の直前と直後に何が起こっているのかを考えるのだ。

     行動の問題を考えるときは、「頑張り」「努力」「良い仕事をする」という抽象的な言い方ではなく、できるだけ具体的に考えることが重要である。

    (重傷障害児の学級を生き生きと教える教師)「教師の行動を支えているものは、100%スーパーバイザーからの注目です」

    パフォーマンス・マネジメント
    ?口約束ではなく文書に残せ
    a何をいつまでにするか
    b行動した場合、もしくはしなかった場合には結果として何が起こるか
    を明記したものを作り、マネジメントする人とされる人との間で契約として交わす。

    ?効果的な好子や嫌子を探せ
     効果的なこれらが見つかれば、成功したも同然

    ?パフォーマンスを最低でも週に一回はチェックせよ

    ?ルールをハッキリ規定せよ

    シェイピング(できないことを段階的にできるようにしていくための工夫)の秘訣
    ?即時強化
     中間的にも設定した目標を達成したら、すぐに強化することがきわめて大切だ。
    ?細かな中間目標設定
    ?挫折したときは、戻るかあらたな中間目標の設定

    P237
    たとえば営業では、今回、課題分析と言うことを行いました。そして、営業のファーストステップであるご挨拶や(以下略)すべき行動を詳細に明確化しました。

    事細かにプロセスを分析し、フィードバックのポイントを設定し、指導してあげなければならない。

    P264
     目標設定はフィードバックなどの強化随伴性と組み合わせて行うと、いっそう効果的だと推察できる。

    P271
     (自分をほめることが営業がとれたときだけ)それでは、やはり少なすぎます。毎日の自分を強化しなければ。

    P275
     トークンというと、表彰制度で使っているあのカードのようなものですか?
     この場合は現金でよいでしょう。自分をほめたときに、「しるし」として500円でも1000円でも、どこかに蓄えるのです。そして、その蓄えで自分のために何か立派なものを買う

    P276
     ふむ。それは自己強化によって、毎日に張りが生まれたからではないでしょうか。

    P280
    3、行動の自己管理
    ?標的行動を定義する
     少なくとも、1日1回はする行動
    ?行動を記録する
    ?ベースラインをとる:従来の状況で起こる行動の量
    ?グラフをつける

    3強化のための好子
    ?ものとしての好子
    ?行動も好子になる
    ?社会的好子(人をほめる、自分で自分をほめる)
    ?フィードバック
    ?トークン
     金銭などの飽和化を防ぐ、すぐに与えられる(時間差を埋める)

    (苦手な得意先の写真を見て、笑顔と挨拶)まいにちこのエクササイズを行ったら、自分をほめてあげることを忘れないでください。

    P326
    「従いやすいルール」
     一階の行動に随伴する結果が適切な大きさで、確率が高ければ、そのルールは従いやすい

    「従いにくいルール」
     一階の行動に随伴する結果が小さすぎたり(累積的にしか現れない)、確率が低すぎたりするとそのルールは従いにくい

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著者プロフィール

舞田 竜宣(マイタ タツノブ)
HRビジネスパートナー代表取締役社長
HRビジネスパートナー株式会社 代表取締役社長
多摩大学大学院客員教授
グロービス経営大学院パートナー・ファカルティ
ピースマインド・イープ株式会社エグゼクティブ・コンサルタント

1964年生まれ。東京大学経済学部卒業。内外のプロフェッショナルファームで人事、組織、戦略の仕事に従事。世界最大級の人事組織コンサルティング会社ヒューイット・アソシエイツの日本代表を経て現職。現在は自ら得意とする人事制度改革や教育活動を行っている。主な著書に『行動分析学で社員のやる気を引き出す技術』(日本経済新聞出版社)、『10年後の人事』(日本経団連出版)、『社員が惚れる会社のつくり方』(日本実業出版社)など、共著に『行動分析学マネジメント』(日本経済新聞出版社)、監修書には『人事労務用語辞典』(日本経団連出版)がある。


「2013年 『MBB:「思い」のマネジメント 実践ハンドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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